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ここと🌹🫶 @低浮
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#異能力バトル
名無の男2
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コメント
1件
うわ、この話めっちゃ熱い展開じゃん! 一条ってキャラ、登場からして既に異様なオーラ放ってるし、理沙の出席日数の話を持ち出してきたのがもう最高に嫌な感じだわ。煌は確かに遅刻とか部活未加入とか、規則的にグレーな部分はあるけど、それを「腐った蜜柑」扱いして退学に持ち込もうとする一条の正義感、悪役として完成度高すぎてゾクゾクする。理沙の件がどう転ぶかで、この後の修学旅行編とか一気に空気変わりそうだな。続きが気になって仕方ない! はる。のストライクゾーンど真ん中だわ🔥
青天井。
金網フェンスに四方を囲まれた屋上で、
購買部から買ってきたパンを頬張る。
九月の頭はまだ暑い。
前髪は額に張り付くし、日陰にいなくちゃ大粒の汗が流れる。
屋上の提案に乗ったのは、野崎が人のいないところで話したいと言いだしたからだ。
しかし、そこに流星が参加してきた現状において、わざわざ空調の効いている教室を離れて炎天下に出向く必要性は潰れてしまった。
そのまま屋上へ向かうことを容認してしまったのは失敗だったと、心底から思える。
それは共通見解であるはずだろうに、まるでお構いなしといった風にこの男は――――、
「ねーねー海ちゃん! 彼氏とかいないのー!?」
「いるさ、求められても彼の話はしないけどね」
「もー! 海ちゃんのウッソつきー! 俺っちのこと突き放すためにそんな嘘言ってるっしょ?」
「分かっているなら諦めろ馬鹿者! それに、その馴れ馴れしい呼び方もやめろ」
「えーなんでよ!? 愛称よ愛称! 俺っちのことはホッシーとかテキトーに呼んでよ!」
「呼ぶものか、気色の悪い!!」
「もぉー、イケズだなぁ海ちゃんは! でもそんなトコもいいよねー」
「……こいつ…………、彫塑にしてやろうか……!」
己の額に手を置こうとする腕を掴み、下ろさせ、なだめる。
やめろ、野崎。
お前の仮面は流星みたいな洒落じゃ済まない。
「全く、理解に苦しむよ。 私なんかのどこが気に入って接近してきていると言うんだい」
「その包帯!! ルッキズム主義が暗黙の主流となったこの現代において……! その全身包帯はアンチテーゼのシンボルに他ならないワケよ! そーゆー気概を内側に秘めるだけで終わらせず、外へ示すってのは最高にかっけーし! 簡単に出来ることじゃねーし! ミステリアスでエロいし!」
流星といると、解釈ってのは本当に人それぞれなんだなあと考えさせられる。
話や考え方を聞いてる分には面白いが、こいつのタチ悪さはそれを押し付けてくるところだ。
「君の情欲など知ったことか。 第一、私は軽い男は嫌いなんだ。 天渦君は明らかに軽いじゃあないか」
「いえいえ! 俺っちはすごく硬ぇ、カチカチな漢ですよ!! 浮気もしない、ギャンブルもしない、酒もタバコもきっとしない! 夢のような有料物件ですからー!!」
「はぁ……、あれもこれも煌のせいだ……。 君が災害磁石じゃなければ……、くそ……!」
いや、まず最初に巻き込んできたのはそっちじゃねえか。オレのせいにされてもだな……。
「にしてもアッチーな。 これも最近の異常気象ってやつ? キツいねこりゃー……、夏休み中も酷かったもんなー。 煌ってあんま外のアクティビティやってるイメージねーけど、夏休み何してたん? ずっと引きこもり?」
「ンなわけねえだろ、人一倍は日光浴びてたわ!!」
人一倍っつーか、数十、数百倍以上な。
『黄昏症候群』のせいで日焼けもリセットされちまってるだけで。
もし紫外線に焼かれた肌色がループを越えて継続されてたら、今頃オレは現代に蘇った化石、ガングロ男子高校生と化していたことだろう。
「異常気象、文化祭頃には落ち着いてくれねーかな。 去年みたいに大雨で小規模決行なんて嫌だし」
「文化祭? 日継高校の?」
「そっか、二人は転入だもんな! 十一月の頭にあんだ、日継の文化祭。 ウチはかなりフリーダムでさー、出店とかの自由度も高ぇのよ! でも生徒主導ってこともあって、誰もリーダーになって引っ張りたがらねえから最近は小規模になりつつあるらしくてさ。 まー、面倒事は誰だってやりたくねーよな。 その上、去年は長期の大雨が直撃したせいで校舎外でやる目玉企画とか丸潰れだったわけ。 めっちゃサゲだったわー。 てか、修学旅行は流石に潰れて欲しくねーな、結構楽しみにしてんのに」
「……待て、修学旅行? 修学旅行っていつだ?」
「なーに言ってる! 来月の頭だろ!」
「らっ、来月……!? あと一ヶ月じゃねえか……。 そういやぁ転入してきたは良いものの、学校のイベント行事とかほとんど把握してねえぞ……! そうだ、行先は?」
「沖縄だよオキナワ! 二泊三日! 学生生活における大見出しみてーなイベントに興味がねー把握してねーとか、どーなってんのサ」
……今日帰ったら、急いで神無月の両親にすぐ伝えよう。
理紗はまだ学校にも来れてねえし、きっとこのままじゃ修学旅行もスキップだよな……。勿体ないが、仕方ないか……。
「皮算用。
夏季休暇が終わったばかりというのに、
もう修学旅行の話とは……、な。
気早な転入生だ……。
自身も京都へ行けるとは、
決まっていないというのに」
これから修学旅行の夢話を始めようかという時に、冷たい声音が水を差した。
貯水槽を乗っけた小屋の扉を開け放ち、彼はそこに立っていた。
2メートルはあろうかという長身、広い肩幅に、筋肉質な体格。ツンツンとした黒のショートカットが体育科系っぽい印象を掻き立てるが、その下の悲しげな目が冷たさを演出する、熱血と冷血が同居する男。
一目見た時、彼を教師だと勘違いした。
あんな大男が高校生なものかと、疑ったからだ。
しかしながらその疑念は、彼の着用している服を見て晴れることになる。
その大男が着ているのは、オレたちと同様の高校指定の制服だった。
それ即ち、彼もこの学校の一生徒を意味しているということになる。
しかも、まだこの炎天下だというのに学ランを着用している。
しかもしかも、その学ランは黒ではない。まるでゲームにおける2Pカラーと呼ばれるような反転色。純白の学ランを身に纏い、立ちはだかっていた。
彼は、見たところ全てがイレギュラーだった。
「……一条じゃん? こんなトコに何の用よ?」
「流星、あいつ誰なんだ?」
「会長だよ、生徒会長!」
大男は青の腕章を掴み、
刺繍がよく見えるように引っ張って、
「己は一条大亞。
二年A組、生徒会長兼、風紀委員長だ。
日継高校の生徒なら覚えておけ」
先日、鮫島の件でもその名を聞いた。
不良ピアスが風紀委員の話題が出た瞬間に呟いた、”一条”。
きっと彼が、その一条だろう。
生徒会長兼、風紀委員長って肩書きなら奴らがビビってた理由も頷ける。
「転入生、いいや、劣等生。
己は回りくどいのが嫌い……、だ。
単刀直入に言わせてもらう。
お前には、退学してもらう」
「…………は?」
……退学?
退学とは、何をどうしてそんなことを急に言い出したんだ……?
「日継高は自由な校風として有名だ。 進学パンフレットにもそう載ってる。他校では見られないほど多岐に渡る選択科目、数多の部活動、同好会、そして広い敷地に建ち並ぶ設備の数々。 眩しいだろう、この高校は。 故に、蝿が集る。 自由を履き違えた異分子が……、な」
「何が言いたいんだ……?」
「お前だよ、神無月……、煌。 自由というものは、行き過ぎた行動によって制限される。 ルールを逸脱すれば取り締まられ、モラルを欠けば縛られる。 授業中に携帯電話を鳴らす者がいるから、校舎内への携帯電話持ち込みは禁止される。 私服で授業を受けようとする者がいるなら、衣服や頭髪規則が設けられる。 この学校ではまだそうなってはいないが、雑草が放置されて伸び続ければ、いづれはそうなる。 そうして自由が制限されるきっかけとなった悪者は、いつだって同じことを言う。 これくらい皆しているだろう……、と。 そういった『ライン越え』が生まれる前に、予備軍を発見し、潰す必要がある。 腐りかけの蜜柑を箱から追い出すのが己の役目……、だ」
一条の言っていることは、至極真っ当だ。
それこそが、風紀委員長としての役割、この行いとして正しいものだとも思う。
でも、その言い方じゃあまるで……、オレがその腐った蜜柑みたいじゃないか。
「劣等生、お前のことを調べた。 お前は当校に入ってから既に、三つの規則違反を犯している。 一つ、お前は9月1日の学期始業式、転入初日に遅刻しているな」
「……ああ、そうだ。 でも遅刻程度で退学だなんて、流石に大袈裟すぎだろ」
「そうだな。 それが退学だけなら……、な。 二つ、お前は暴力事件を起こしているな? 二年C組の坂崎聖也、奴も不良だ。 報告によると、女生徒の取り合いになったとか。 喧嘩だな?」
その名前と喧嘩って単語を聞いて、ピンときた。
あの不良ピアスは……、鮫島にザキと呼ばれていたことを。
もしあの喧嘩を誰かが目撃していたら……、それはきっと風紀委員や教師陣の耳に届けられる。一条が「報告によると」と言っていたのが、それを裏付けている。
だが……、その情報は間違っている。
確かに傍から見ればただの喧嘩に見えてしまったのだろうが、オレは女生徒の取り合いも、反撃だって一切していない。
「冤罪だ。 オレはただ巻き込まれただけで、手出しもしていなければ規則に反することなんてしていない!」
「ならば何故、直後に教師へ事件の話をしなかった? それは、自分側にも非があると自認があったからではないのか? 自身も処罰されるからだろう」
「違う、それは…………!」
「三つ。 君はまだ、部活動に所属していない。 転入初日に遅刻してきた君だ、きっと担任教諭の話をまともに聞いていなかったのだろう? 当校では学生の自主性と多様性を助長するための施策の一つとして、全ての生徒の部活動または同好会所属が義務付けられている。 やむを得ない事案を除き、二週間以上の無所属期間がある場合は生徒指導のもと面談、一ヶ月以上の場合は処罰が下ることとなっている」
「なんだよ、それ。 知らなかった……。 それに、そんなの教師にもまだ警告されてないし」
「そうだろうな。 お前は異分子だ、教師陣の管理リストからも漏れていたのだろう。 だが、己は見逃しはしない」
「……でも退学ってのは言い過ぎだろ。 第一、お前にどうしてそんなことを言う権利がある? 生徒会長で風紀委員長って役職だから、生徒指導する立場ってのは分かる。 でも、そんな重い決定を出来るわけがねえはずだ!」
そうだな、と一拍が置かれ、
「だが私には『ライン越え』の予備軍を発見し、追放する役目がある。 私に退学を言い渡す力はなくとも、学長に進言する権力はあるのだ。 それこそが、自由を守る公正な生徒会長としての力……、だ」
「……確かにオレは遅刻もした。 でも一回だけだ! それに喧嘩には巻き込まれただけで手は出してねえ。 部活動の制度については知らなかったんだ。 それで退学だって? 不当だろそんなの! 情状酌量の余地どころか、まかり通るわけねえよそんな判決が! 明らかにそんなのおかしいじゃねえか! 何を適当なことを……!」
「己は去年から生徒会と風紀委員に加入している。 そこで、腐った蜜柑をこれでもかと言う程にたんと見てきた。 その全員にひとつだけ共通点があると気付いたよ。 それは、図星を突かれると激昂することだ。 眼前で罪状を読み上げられる犯罪者のよつに、悪あがきしようとする」
「当然だ、そんなの悪者じゃなくたってする! 特に異議有りや冤罪って時にはな!!」
「そう……、か。 お前の発言が真実なら、確かに退学は間逃れる。 経過観察になるだろうな。 それでお前は助かるわけだ。 お前は……、な」
「……言いてえことハッキリ言えよ!」
一条は横殴りに吹いた涼風に乗せて、白い学ランをたなびかせて淡々と述べる。
「転入後、一度も登校記録がない。 出席日数不足まで一直線、そして同時に部活動所属義務にも違反している生徒がいる。 一年A組、神無月理紗。 劣等生、お前の妹だろう。 彼女は、お前以上に『ライン越え』に近い。 当然、漂白しなければならない」