テラーノベル
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大学2年、9月。
「仁ちゃああああああん!!!」
海女さん姿のまりかが後ろから走ってくる。
そのまま仁義の腕を掴み爆速で拉致。
「えっ」「ちょっ」「なんなん!?」
軽音部室。
まりか「脱いで。」
仁義「え。」
まりか「これ撮るから。」
まりかの手には映画『潮騒』のプリント。
仁義「まってどういうことかわからん」
まりか「文化祭の展示。」
「潮騒だから。」「海じゃん。」「仁ちゃんだよ。」
仁義「いや意味わからん。」「なんで僕……」
まりか「ぜったい仁ちゃんしかいないから!!!」
そういって網とズボン、ベルトを押し付ける。
仁義「網」
「映研で借りた」「これも」海女さん姿を指すまりか。
「ほら!着た着た!!」
10分後。
軽音部室裏。
上半身裸であらわれる仁義。
厚い胸板。逞しい二の腕。
締まった腹筋。
まりか「やっぱり。」「かっこいい。」
仁義ダチ「やべぇ」「仕上がってる。」
仁義「……。」「恥ずかしい。」
まりか「なんで?」「島じゃ昔は毎日泳いでたんでしょ?」
仁義「島とじゃ違うんよ。」
まりか「とりあえず前撮りしてみようか。
そっち立って。」
仁義「⋯⋯⋯。」
まりか「めっちゃ映える。」「逆光最高。」
「筋肉の影出る。」
「ちょっと髪の毛ふわふわすぎるけど。」
そういって勝手に仁義の癖毛にポマードを塗りたくる。
本撮影。
まりかが寄り添う。
まりか「仁ちゃん、左腕もうちょい右。」
仁義「こう?」
まりか「違う違う。」
「もっと『海の男』感。」
仁義「海の男やけど。」
まりか「網もうちょい上。」
「光こっち!」「顎引いて!」
仁義「なんなん……。」
まりか「完璧。」
仁義「これ誰が見るん。」
まりか「皆。」
仁義「やめて。」
まりか「動画も撮ろう。」
仁義「いや。」「写真だけやろ。」
まりか「動画のほうが臨場感あるじゃん!」
仁義「臨場感いらん。」
まりか「1回だけ!!!」
結局ほんとに一回だけ撮る。
まりか監督「はい!」「波見て!」
平地で無茶を言うまりか。
仁義「……。」「波、ない。」
棒立ち。
まりか「もっと海を愛して!!!」
仁義「……。」「愛しとるけど。」
まりか「違う違う!」
「もっと映画みたいに!」
「もっと!!」
「パッショネイトに行け!!!!」
アジカンMVの山本監督になりきるまりか。
仁義「……。」「パッショネイトって何。」
まりか「知らん!!」「でも足りん!!」
仁義「…………。」
海(という名の平地)を見る。
三秒。
振り返ってカメラを見る。
まりか「カメラ見るな!!!」
仁義「どこ見たらええん。」
まりか「水平線!」
仁義「だからないんやけど。」
まりか「全然感情がない!」
仁義「感情ある。」
最終的に映像確認。
まりか「……。」「大根。」
仁義「ほら。」「言うたやろ。」
まりか「写真にしよ。」
仁義「うん。」
※顔の甘さと肉体が不釣り合いすぎて
「仁義なんか間違ってねえかこれ」
ってなるけど公式見解です
コメント
1件
えぬたさん、こんばんは🤍 第17話、めっちゃ笑いました……! まりかの強引さと仁義の困惑がもう、軽音部室の空気が目に浮かぶようで。特に「パッショネイトって何?」→「知らん!!でも足りん!!」の掛け合いが好きすぎる🥀 しかも最後の「大根」でしっかり着地してて、でもその後の「※顔の甘さと肉体が不釣り合い」って補足で仁義のギャップ萌えが確定しました。 海女さんコスプレ撮影、学園祭の準備ってこんなに楽しいものだよなあって懐かしい気持ちにもなりました。青春ってこういう全力の無駄遣いの積み重ねだよね……🌙 次も静かに読みにきますね。