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✧≡≡ FILE_039: 死なない ≡≡✧
Kが分電盤の前に立ち、操作を始めた。
Aは膝を震わせながらも、Bの隣にしゃがみ込み、爆弾を押さえる。
Bはもう笑っていなかった。
ただ、何かを見届けるように──その金属の球を見つめていた。
「いい? 流すよ」
Kの声は震えていた。
「ま、まって。なにがどうなるの……?」
Aが喉を詰まらせる。
「電線の“向き”を変えるの。今は街→家→爆弾に電気が来てるけど、逆に、爆弾→家→街へ流す。──“逆流”させるの」
「……爆弾の電気を、外に逃がすってことか」
「そう。ルミライトは温度と電荷が揃って暴走する。温度は自然に下がる。だから、抜くのは──“中の電気”。」
Bがぽつりと呟いた。
「賢いね、K。……さすがそっちの専門だ」
Kは答えず、ブレーカーのロックを外した。
カチッ。
切り替えスイッチが入る。
その瞬間、空気が変わった。
電流が流れる音が、かすかに“ひゅう”と唸る。
爆弾の表面に、淡い光の糸が走った。
Aが息を呑む。
Bが手を添える。
Kが見つめる
ひゅう……。
「……!」
Aは思わず目をこすった。
「光が、消えた……?」
Bが指を離し、爆弾を押し出すようにそっと置いた。
「──止まった、ね」
Kは手の甲で額を拭った。
呼吸が荒くなり、足から力が抜けたように座り込む。
「……はぁ……っ、止まった……!ソーラーパネル付いてて良かったわね……不幸中の幸いよ」
Aは泣き笑いのような顔で、地面に座り込んだ。
「……良かった……! 生きてる……」
「“死なない”って言ったじゃないか」
Aはハッとして顔を上げる。
「お前……まじで、心臓止まるかと思ったんだぞ!」
「止まらなかったでしょ」
「いや、そうだけど……!」
「Aの顔、すごく面白かった」
「笑いごとじゃないっ!!」
Aは涙と汗で顔をぐしゃぐしゃにしながら怒鳴った。
「こっちは死ぬかと思ったんだぞ! ほんとに爆発したら──」
Bは肩をすくめて笑った。
「うん、まぁ……寿命は3年くらい縮んだかもね」
「……は、はあ?」
「さっき、ちょっと短くなった」
にやり、と笑う。
「でも安心して。死にはしないよ。まだ、ね」
Aは一瞬、言葉を失い、声が詰まった。
「……お前、そういう冗談やめろよ」
「冗談だよ?」
「……ほんとに?」
「……さぁ? どうだろうね」
ふざけてるのか、そうでないのか。
Aには分かってない。
手のひらには冷たい金属の感触が残っていた。