最近、恋をしたかも知れません。
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ky side.
ピンポーン
見慣れた家のチャイムを鳴らす。
「はい」
「ども」
この人はレトさん。昔から変わらない、ずっと隣に居る当たり前のような人。
その人に出迎えられながら奥へと俺が進んでいく。
「よっ」
リビングに入ると先に着いていた人達が見えた。
俺は先についていた二人に挨拶を交わす。
一人は適当だけど、時々勘が鋭すぎるガッチさん。
そしてもう一人は。
俺が恋をしているかも知れない相手、牛沢だ。
何で、そんなことに気付いたかって?
そんなの簡単だよ。
なぁんかモヤッとして、気付いたらそっちの方ばーっか見て、自然と話してしまうから。
恋は何回かしたことはある。だからコレが恋って気付くのは遅くはなかった。
「今日は遅刻10分じゃん。」
「俺だって早く来るときくらいあるよ。」
「遅刻に変わりはない。」
「お、これうまっ」
四人でいつもの何気ない会話を駄弁る。そんな時間が在り来たりだからこそ、好きな人と喋れているのだろう。
だから、ガッチさんとレトさんの二人にはもの凄く感謝をしている。俺らしくないって言われるんだろうけどね。
けど、問題が山ほどある。
俺とうっしーが男。つまり、同性ということ。
もう一つはうっしーが既婚者なのだ。
諦めるしかないなぁ…
そうやって考えながら溜息をついていると、ガッチさんが「大丈夫?」と気にかけてくれる。
うっしーやレトさんもだ。
そうやって心配してくれるのが、この皆の温かいところ。
……こんな想いを伝えたらきっと、優しく曖昧に濁されてしまう。ちょっと、ぎこちなくなってしまう。
けれど、相談ぐらいなら…優しいあの人たちはのってくれるだろう。
自分が恋をしているのかさえ不安になってきた俺は実況をとりながら悶々と考えて、考えてを繰り返しながら俺は決心をした。
……あの人に相談だ。
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実況がいつもよりも早く撮り終わり、夕方前の時刻。俺はカフェに立ち寄った。
そこには先に帰る「ふり」をして貰ったガッチさんが一つの席に座っていた。
「ごめん」
「ん?別にいいよ。キー坊が相談なんてなかなかしないと思うからね~。」
くひひと意地らしく笑って軽口を叩いてなかなか鋭いことを言ってくる。
そこに少しだけ俺は恐ろしいと感じてしまい黙りこくってしまった。
ガッチさんがその光景を見て、俺が喋らないのはいつものことだが、突っ立っているままだったので「早く座りな」と落ち着いた声色で言ってくれた。
やっぱり、この人なら真面目に聞いてくれるかも知れない。
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俺はココアを頼んで早速本題へと入っていく。
「それで~?どうしたの?」
コーヒーをすすりながら聞いてくる。
「あのさ…恋ってどんなの?」
案外ガッチさんはその質問に対してなにも言わずに「うーん…」と少し考えて口を開いた。
「んー…そうだね~」
「その人を見てると愛おしくて、自分の物にしたいってちょこっと思っちゃったり」
「胸が温かくなることなんじゃない?」
恥ずかしいことをペラペラと言ってくるこの人は本当に凄いなぁと呆れながらも関心してしまう。
その話をきいて、ガッチさんの方をチラリと見ると少しだけ耳が赤くなっているのが見えた。
まぁ、こんな話をして恥じらいがない方がおかしいよな。
「へぇ…そんなもんなのかぁ」
「人によっては違うかも知れないけど、コレはほとんどの人が思っているとおもうよ?」
小さな脳みそで一生懸命考えてみる。
俺がうっしーへと思う感情を。
だって、ガッチさんの言う話と俺の思っている概念がかみ合わなかったから。
そうやって真剣に考えようと集中していたらココアが届いた。
いつもなら「ありがとうございます。」と言うのだがガッチさんが俺の様子を察してくれたのか、代わりにお礼を言ってくれた。
さて、あの人の優しさに甘えて考えてみよう。じっくり、ゆっくりと。
?
俺のはなんか違う。
あれ?
俺、恋、したことあったっけ?
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コメント
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キヨサンとウシザワサンだ!!めっちゃ好きなコンビなんで嬉しい😭♡ 連載?かな?続き楽しみにしてますっ!
追記 タイトルは「こいもく」と読みます。(番外編すっぽ抜けで書いていたやつです。)