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「ガッチさん、ちょっとカフェで先に待っててくれない?………相談したいことがあるんだけど…。いい?」
話ってなんだろなぁ。
頼られるなんて、照れちゃうからおじさん頑張るぞぉ~。
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って、思って来たのはいい物の…。
ずっっとコイツは何を考えているんだ。
まぁ、恋の悩みなんて年下らしい甘酸っぱい相談されたから優しくしてあげたんだけど。
さっきからココアも飲まずに目を白黒させている。
…少し、釜かけてみよっかな。
「ねぇ、もしかしてさ。」
いつも通りの声色で語りかける。
「恋じゃないとか、思ってるの?」
ギクッなんて擬音がよく似合うような感じで固まってしまった。
…当たりかぁ。当たっちゃった、かぁ………。
「図星ねぇ…」
「う、うん。」
「どれ、言ってごらん?」
「キヨの概念。」
「……………………………。」
「…一緒にいると、楽しいんだ。そ、それで…楽しい。えー、楽しくて……。」
うんうん。楽しいしかないな。コイツ。
それ、絶対過去にもあったな。
とんだ、勘違い野郎だ。
ま、俺はぁ?いいおじさんだから、オブラートに包んで言ってやるよ。
「それは…違うかもねぇ~。」
「……そっか。」
「てか、好きな人って誰なの?知ってる人?」
「…んー…まぁ、はい。」
酷くしかめた面をして答えてくれる。
「じゃ、その子とどれくらいいるの?」
「えー…約10年です。」
「ありゃ」
「そんな長いこといて好きじゃないからもう無理かもね。」
「諦めた方が良いんじゃないかな?」
キヨの心の為にも。
それ以上思い込むと、きっとお前が病むからね。
そこだけは厳しく止めるよ。
だって、一番年上だもん。
「そうだね。」
「……うん。そうしな。」
やけにあっさりしてるな。逆にビックリしちゃうよ。
「恋って…ホント、何なのかなぁ」
「うーん……当たり前過ぎて案外気付いてない物かもね。」
「そんなことあるか…?」
「あり得ない事ではないと思うよ。」
「そっか。ありがと。今日はごめん。先に帰らせたり、色々。」
「ホントだよ~。」って言うつもりだった。
だけど、お前が寂しそうな顔を浮かべてたから言うのはやめにした。
「いいよ。別に。」
一言。優しい言葉をかけてあげて俺はカフェを出た。
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「にしても…違ったのかぁ。」
独り言を空に向けて呟く。
うーん…てっきり俺は。
レトさんのことが好きなのかと思ってたのに
いっつも、電話するときとかちょっとニヤけて面白い物を見つけたかの様に楽しそうにしてるのに。
10年くらいだったら、同級生とかもいるかぁ
けど、俺も知ってるんだよな?
んー…あ!俺とか?キャー!モテちゃう、照れちゃうよおじさん!
「はぁ…ま、一番あり得ないな。」
それに、話を戻すとレトさんは男だしね。俺の勘違いかな。
地味にスッキリしないモヤモヤを抱きながら、俺は聞き慣れた声の主に電話をかけるのだった。
「あ、もしもし?」
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