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「お前が大事だから!!!大切だから!!

みんな大好きだから守りたいんだよ!!!

みんなが守ってくれたように俺も同じように守りたい!!そう思っちゃダメかよ!?!?」

「ッッ 、ぐすっ、うっ 、あ゛ぁ゛ッッ、

あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁッッ 、、」

彼は声を上げて泣いた。俺はそんな彼を見ても、離すことはなく、黙っていた。やっと泣いたとほっと微かに喜んだ。

「武道の馬鹿ぁ !!大嫌い!!もう知らねぇ!!

嫌いっ!!嫌い嫌い嫌い!!離せ!!

もうお前のことなんて助けない!!もう口も聞かない!!大嫌い!!」

彼は俺の手をどかそうとしていたが、弱っているのか、力が弱く感じた。

嫌いと泣き喚く彼に、

「俺は好きだよ?だから守りたいんだ。」

「……ッッ 、ごめんなさ、ごめんなさいっ、

ほんと、は、そんなこと思ってなくて、

違っ、ごめんなさっ、俺も、俺も好き、

ごめんなさっ、」

苦しんでいる彼の手首を離し、抱き締めた。

彼はしばらく俺の胸で泣いた。



━━━━━━━━━━━━━━━



「落ち着いた ?」

彼はゆっくりと頷いた。

「それで、もう話してくれるよね、?」

彼は頷かなかった。話す気は絶対にないんだ。

「本当は辛かったんだよね?今も、苦しいんだよね?」


彼は頷き、「辛い、苦しい 、胸がいつも胸騒ぎがしてて、、落ち着かない、

どうしたらいいかわかんねぇし、そのうち自意識過剰にもなっていって、、

人の目が怖い、息が詰まりそうになる、呼吸ができなくなる、誰かに触れることも、声を聞くことも、

全部、俺に間違いだって思う、

みんな、俺の事忘れてしまったような世界に見えて、どうしたらいいかわかんない 、

わかんねぇんだよ、武道、相談する勇気もなかった、弱音を言ったら殺されそうになる、

わかんない、もう全部わかんない、

助けてください、そう言えば楽になれるなんて初めは思ってた、でも嘘ばっかり、

結局みんな他人事に過ぎないんだって思ったら、

そんなことも言えなくて、、

それでもみんなは寄り添ってくれて、でも、、

救われたいなんて思いたくない、裏切られるのかもしれない、離れるかもしれない、でも、お前なら、、

武道 、、助けて欲しい 、、」


彼の本音が聞けたように思えた。こんだけ彼を苦しめていたのはなんなのか、絶対に原因はあるはずなんだ。探してぶっ壊してやる。

千冬の中の苦しめてるもの全部俺が壊して、

千冬を助ける。救ってみせる。そう誓ったはずなのに、

「千冬は何が原因か心当たりはある?」

それの元となるものを!!

「いじめとかでも、虐待とかでもない、

それでも、言えない、言いたくない、それだけは、」

彼のその言葉に俺はどくんと心を思いっきり叩かれたように振動が身体中に広がった。

「どうしても言えないの?」

彼はゆっくりと頷いた。

「それはなんで??」

「言ったら、全部、壊れちまう、、

お前のやってきた事も無駄になる!!!」

俺は千冬の言っていることが理解できなかった。

俺のやってきたことが無駄になる。なんで無駄になんかなるんだ。千冬がいたからこそ、どうして、

「千冬、、分からないよ、俺には、無駄になんかならないよ、どうしてそう思うんだよ?」

「千冬、言ってよ、ちゃんとさ、」

「ごめん、言えない、俺は、、失いたくない、」


それから、彼は度々衝動のように、怯えていたり、とにかく落ち着かない状態だった。

彼なりに演じているんだろうけれど、彼が苦しんでいる姿を俺は数々見てきた。でも、

彼が原因を話すことはなかった。

一虎くんが今大人になって行っていることは、昔俺が彼にしていたこと以上のことをしてるんです。

彼は凄いですよ。



「ってことです、」

「成程な、」

隣を見れば、千冬は疲れてしまったのか、眠っていた。

「寝てる、」

「一虎、武道、少し千冬のふたりにしてくれないか?」

「え?まぁ、、はい、いいですけど、、」

「……下手なことはすんなよ。」

「わーってる。」



これまでに彼はみんなの支えでここまで生きてるのであって、みんなの支えがなければ、もうこの世にいない。

そう思うと彼の姿が、儚く見える。

「千冬、、」

2人だけの空間で、金木犀の香りが漂って、部屋中が病室の匂いと、金木犀の匂いが混ざりあって、

なんとも言えない香りを作り出していた。

俺は千冬の頭にそっと触れて、小動物を触るかのように撫でた。

すると彼は触られたことに気がつき、目を覚ました。すぐさま一虎か、タケミチをきょろきょろと探している姿を見て、何となく察し、

「二人で話してぇことがあってよ、少し出て言ってもらった。」

「話したいこと、?」

「千冬、原因はなんなんだ。」

「言うつもりはないですよ、俺は。

壊したくないんです。」

「壊れねぇよ。大丈夫。」

「いくら、場地さんでも、言えません、本当にごめんなさい、」

「そうか、」

質問をやりまくれば、彼がパニックになると何となく思って、しず、終わらせた。

「なんで、言ってくれなかったんだ、?俺に、」

「心配かけたくないし、迷惑かけたくなかったから、、ですかね、」

「…… そうか、」

俺はそっと彼の頭を撫でた。骨盤が傷んできた。まだ治ってないのかもな、

そんな顔を彼らに見せない俺も、同じ同類なんだろうな。

なんとなくそんなことをぼんやりと思いながら、外を見つめた。

「場地さん、?」

なにか困惑したような彼は俺の名を呼び、状況を教えてほしそうな顔で見つめていた。










「千冬は、もし、俺が死んだら、一虎が死んだら、って、考えたことあるか?」

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