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目を開けると、そこは光に満ちた森の中。葉がかすれ合う音と、木漏れ日が気持ちいい。
 よく見るとこの光景はまるで昔から見る夢みたいだ 。視界から察するに今私は仰向けの状態らしい。
 傍には、心配そうにこちらを見る9人の精霊の姿があって、その中にはルーナスらしき精霊がいることに 気がついた。
 そして、やけに光景が鮮明なのに違和感を感じる。
「 私を庇ったせいで、、、メリア様は、、」
 大粒の涙を零しながらルーナスらしき精霊は言った。
 「あなたのせいじゃないよ、光の精霊さん」
 言ってないはずなのに、口が動く。というか、この状況、もしかしてルーナスが言ってた、前世の私が死ぬシーン?じゃあこれは前世の記憶なのだろうか?
 そう思っていると、他の精霊たちも口々に話し出した。
 「メリア!しっかりしてよぉ。」
 「おいツーレス!ウォレア!回復の方はどうなんだよ!」
 「今やってるが、正直、助かる見込みは低いだろうな、、」
 「そうですね、ツレースが言っている通り、傷が相当深い、、この傷の深さだと回復が追いつかいないです、、」
 「じゃ、じゃあ、メリアは死んでしまうのですか?」
 「あいつに刺された場所が悪かったんだよ、、だからもう、、メリアは、、」
 「嫌だ!メリア死なないで!」
 「お願いだから逝くなよ!メリア!」
 夢では聞こえなかったはずのメリアの名前がはっきりと聞こえる。
 それにさっきから異様に感覚がリアルなことから考えると、どうやら本当に前世の記憶みたいだ。
 「みんな、、大好き、だよ」
 前世の私がそういうと徐々に今の私の意識も遠くなっていき、私は意識を手放した。
 
 ――――――――――――――――――――
 「アヤ様!」
 目を見開くと、先程までいた場所だった。傍にはルーナスが涙を浮かべながら私の名前を呼んでいることに気がついた。
 「、、、ルーナス?」
 私が目覚めたことに気がついたのか、ルーナスは抱きついた。ぎゅっと抱きついて私の名前を言いながら泣きわめいた。
 私は先程までの威厳とは程遠いくらい子供らしい姿のルーナスに驚きつつ、これがルーナスの本当の姿なのだろうと思った。
 おとぎ話通りになったのなら、前世の私が死んだ後、あの場にいたルーナス以外の精霊は消えていったということになる。
 それから今までずっと私が転生するまで1人で頑張っていたのだろう。寂しさや、悲しみ、不安に蓋をして見ないように、気づかないようにして。
 そしてようやく出会えた私が急に倒れてどれだけ心配しただろうか?怖かっただろうか?きっと今の私には到底想像できないような苦しみを味わったのだと思う。
 今ルーナスに何をすればいいのか分からないけれど、私は何も言わずにルーナスの頭を優しく撫でた。
 「!アヤ様、、、」
 「大丈夫。私は今ここで生きている。今まで1人で寂しい思いをさせちゃってごめんね。でもこれからは私もルーナスの隣にいるから。今まで頑張ってくれてありがとう。」
 そう言って私はルーナスを抱きしめ返した。そうしていると、安心したのか、
 「ありがとうございます、アヤ様。」
 涙を流しながらもルーナスは笑って言った。その顔は今日初めて見せた笑顔よりもずっと素敵な笑顔だった。
 ――――――――――――――――――――
 それからしばらくした後、少年が目覚めた。
 目覚めた少年は、何も言わず、座ったまま動かないでただこちらを見ているだけだった。
 「君、名前は?」
 「、、ウォレアです。」
 ただ少年はそう呟いた。彼の目は何もかも諦めて、生きる気力さえもなくなっているように見えた。ルーナスは
 「親はどこかにいるのですか?」
 と少年に聞いた。しかし、少年は名前も顔も知らないそうだ。
 となると、彼の帰る場所はないということになる。私はどうにかして彼の役に立ちたいと思った。
 「じゃあさ、私の家に来ない?」
 「えっ、、、でも、俺はこの通り奴隷の身で、精霊契約してないですし、、」
 「?、奴隷ってこと別に気にしないよ?
ていうか契約してないなら今しに行っちゃおうよ」
 先程まで無表情だった少年は少しだけ驚いた顔をした。
 「で、でも、、」
 少年はそう言ったが、少しした後、
 「、、行きます」
 と言った。少し強引気味ではあったと思うが、少年の目には先程よりも少し希望があるように見えた。
 私とルーナスは顔を見合わせ、少年と私たちはもう一度精霊契約の儀式会場へと向かうのだった。
 ――――――――――――――――――――
 会場の入口に着くと、精霊契約の儀式の挨拶をしていた精霊官がでてきた。そしてルーナスを見るなり、
 「ル、ルーナス様ぁ!?」
 と、言って驚いた顔をしていた。私の契約精霊ということを知るとより驚いた顔をして
「さ、先程は失礼いたしました!」
と、ペコペコしている。精霊のレベルが高いほど地位が高いこの世界ではこういうのが当たり前になっている。
でも、『どれだけ地位が高くても偉そうな態度はとってはいけない。』これはロリード家で何度も言われたこと。私はこのことをこれからも守っていくつもりだ。
だから偉そうな態度は取らないで私は快く許すことにした。そしてウォレアのことを話すと精霊官は軽蔑するような目をして、
「こいつは奴隷ですよ?精霊契約したとしても無駄だと思うんですがね」
精霊官がそう言うと
「あなたは、黙って、アヤ様がやりたいということに従えばいいのです。分かりましたか?」
と、すごいオーラを放つルーナスがそう言った。精霊官は怖気付いたのか、
 「そ、そうですよね!し、失礼いたしましたぁ!」
 と言い、ルーナスのおかげですんなりと私たちは会場に入ることが出来た。