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その後も色々準備をしたりして、とてもじゃないけど遊んでる暇はなかった。一方の美柑は、観光したり買い物したりと日本を充実していた。そうこうしている内に、気付いたら春休みが後3日しかなった。そして今日は、ママとお隣さんの山田さんという方の挨拶回り。実はというと、来た当初から両サイドの所と林崎さんの両サイドの挨拶をしていたが、ここ数日タイミングが合わず、お隣の山田さんだけ挨拶をしていなかった。
「今日は居るかしらね」
ピンポーン
そうママはそう言いながらインターフォンをならす。暫くして、
「は~い」
するとカメラ付きインターホンから声が聞こえてきた。
「すみません。隣に引っ越して来た前田と申しますけども」
ママがそう挨拶する。
「ちょっと待ってて下さい」
しばらくしてドアが開いた。すると制服姿で私と同じくらいの女の子が出てきた。
可愛い…
「初めまして。隣に引っ越してきた前田といいます。あの~ご両親いる?」
「すみません。どちらとも仕事です」
「でしたら、これ受け取って貰えます?夏までの期間だけどよろしくね」
母親と2人との会話が進んでいく。
「ありがとうございます。夏までって事は今回は何かのお仕事ですか?」
「そうなの。内容は言えないけど」
そう意味深な答え方に首を傾げながら
「そうですか。宜しくお願いします」
そう笑顔で言う。
「宜しくね。そう言えばウチの子と歳が変わらなそうだけど、いくつ?」
「今年で18になりますけど」
「あら!年一緒じゃない敦美。挨拶しときなさい」
とお尻を叩いて私を前に押し出す。恐らく黙っているのが気になっての行動だろう。というか、話せる雰囲気ではなかったけども…。
「は、初めまして。前田 敦美といいます」
「山田 苺と言います。宜しくね」
「はい!よろ」「あら!貴女もフルーツの名前ね。下の子が美柑って言うのよ」
”いちご”というフレーズでママが思わず割り込んできた。
「そうなんですね。私自身も気に入ってて‥ってすみません、話の途中に。これから学校に行かないといけないので」
「春休みじゃないの?」
「そうなんですが、課題が余ってて」
話によると、私が1学期間通う青雲高校の隣にある、日ノ出高校の生徒で桜花大学附設校である。その学校は成績優秀の上の優秀しか行けない超難関校らしい。だから世間は春休みでも、今年受験生の彼女達は課題をしたり、友達と自主的に勉強会をしたりしているそうだ。
「そうなんだね。ごめんね、変なタイミングで来てしまって。それじゃ」
「いえ、次の機会に話が出来れば、失礼します」
そう言って玄関を閉めた。
「ねぇママ、私話しできなかったじゃーん」
「ごめんごめん、つい、我が子の名前と似てるもんだからね」
「もう…」
そう言って自分家の玄関を開ける
「「ただいまー」」
「お帰り~」
私達はそう言って玄関を上がってリビングに行くと、美柑が帰りの支度をしていた。
「あら、準備してたのね」
ママはその一言を言いながら、荷物を置く。
「子どもじゃないんだからもうやってるよ~」
実はもうすぐ春休みが終わるという事で美柑とは今日でお別れ。だから美柑は帰る支度をしている。
-18:45-
途中お姉ちゃんが通う病院に行く為、少し早めに家を出た。
「ちょっと時間が押してるから急ぎましょ」
「でもこんな時間に大丈夫だったの?」
急いで車に乗り込みながら、ママに尋ねた
「一応、病院と春美には今から来る事を言ってるから」
-19:03-病院
林崎さんの交渉でOKが出て、5分後に春ねぇがやってきた
「春ねぇー!」
二人して姉に駆け寄る
「久し振りー」
前田春美(マエダハルミ):21歳
3姉妹の長女。高校の時に『私もパパやママみたいに貢献したい』との事で、医療に興味を持っていた姉は、ママの故郷のここの桐山中央大学病院に通っている。私達はお姉ちゃんの事を『春ねぇ』と呼んでいる。今回は3年ぶりの再会で雰囲気も妹の私から見て思わず、綺麗と思ってしまう程美人になっている。
「少し痩せた?」
私は唐突に聞いた。
「まぁうん、結構ハードでね。ここに来てから5㎏痩せちゃった。充実してるけどね」
「体調には気を付けてよ」
「おっと?美柑からその言葉が出るとは、すっかり大人になったね」
「てへへ」
すると春ねぇは、こちらに歩いてくるママの方を向き、
「ごめんねママ、出れなくて」
「別にいいわよ気にしなくて。春美は学業に専念しなさい」
実は春ねぇもこのショーに誘われたのだが、丁度その日が実習期間と重なる為、今回は仕方なく断った。
「うん、ありがとう」
「見送りとか来れないの?」
美柑が寂しそうに尋ねた。
「そうしたいけど、明日早いからね」
「奈緒美さん、そろそろ‥」
ふと時間を見ると食事も含め、もう向かわないと間に合わない時間だった。春ねぇとの連絡はママがしてたんだけど、お互いのタイミングが合わず、結局この時間でしか会う機会がなかった。
「そうね。まだ夜ご飯食べてないからね。じゃ私達行くわね」
「「バイバイ」」
私と美柑は合わせてお別れの挨拶をする。
「バイバイ。会えて嬉しかった。ショーは頑張ってね」
「うん」
そう言って私たちは手を振り、春ねぇと別れた。
-20:50-空港
途中で食事を済ませて空港に着いた私達は、美柑だけじゃ乗れない為、林崎さんと一緒に乗る。そして再び飛行機で日本に来る。
「じゃ、仕事頑張ってね敦ねぇ」
「うん。授業サボるんじゃないよ?」
「私がサボる訳ないじゃない?敦ねぇこそ素敵なショーにしてよ?」
「勿論!」
「梨子、ごめんねこんな事を頼んじゃって」
「今更なんですか?最初に話し合って決めた事です。構いませんよ」
笑顔で伝える。林崎さんとママは、事務所を立ち上げてからの関係でもあるから、良い信頼関係が出来ている。
「じゃ後は頼んだわよ」
「はい。また後日」
私達は美柑と別れた。
to be continued…