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第7話秘密
夜が迫ってくる中、私達は宿探しに奔放していた
「こんな時間に空いてる宿なんてあるのかなぁ…」
半分以上諦めている私は情けない声をあげる
〔この辺りはホテルや民宿が密集してるから少しは空いてるかもだけど、個別の部屋は無理だろうね…〕
と、博識のように教えてくれる
なんでそんなことまで知ってんだよ、とは突っ込めなかった
{あ、あそこ!宿だよ!}
紬が指をさす方向を見る
『たしかに、宿だな』
『俺ちょっと見てくるわ!』
と、そのまま数メートル離れた宿へ飛んでいく
「私達もいこっか、!」
期待薄で歩く足はなんだか重い
『空いてるっぽいぞ!どうする?』
いそいそと戻ってきたはるちゃんが教えてくれる
〔一旦話を聞いてみようか〕
そういう光希の後ろについて、宿へ
「ふぅ〜…、一時はどうなることかと思ったよ〜、」
女将に話を聞いたところ、二部屋だけ空いていると教えてくれた
なので、私と紬、光希とはるちゃん、敬ちゃんの組み合わせでチェックインした
「すっごいひまだ…、」
まさか泊まることになるとは微塵も思っていなかったため、何も持ってきていない
{こんなことになるなら、トランプとか持ってこればよかった〜!!}
必要としない物を事前に持ってくるなんて不可能に近い
諦めて早く寝ることに
夢の中、今日のことを思い出す
あのときの春ちゃんはなんだか、雲の上の存在のように見えて、近かった距離が遠くなってしまったように思えた
そして、私たちの前で刀を振るう春ちゃんを見て、私は__
はっと目が覚める
まだ夜が明けきらない早朝の時間
もう寝られる気がしなくて、一人ベランダに出る
冷たくも心地の良い風が髪をなびかせる
「なんて夢を見てんだか…」
言い切らなかったが、私はあの言葉の続きを知っている
きっと、夢の中の私もそう思っていたのだろう
『はやいな』
隣のベランダから春ちゃんが顔を出す
「目が覚めちゃって」
昇ってくる太陽だけを見て答える
少しずつ照らされていく横顔をじっと見つめている
「…なに、そんなに見られたら恥ずかしいんだけど、」
『いや?よく見てみるとあんって美人だよなって思ってさ』
『あと、朝日の色と髪色が似てるなって』
「お世辞はいいよ?」
照れ隠しに言葉を拒否
『いや、本心だって』
『そういえばあんと同じくらい紅い髪の奴が他にもいたn……』
そう言いかけた所で口が閉じられた
『いや、なんでもないや』
聞くには、今しかないと思った
「ね、春ちゃん」
「天寧さんって誰?」
『え…?』
ただ静かなベランダを真っ赤な太陽だけが照らしていた
第8話藤堂平助
青い空が広がる
山の中からカッコウの声が聞こえる
結局あの時春ちゃんから秘密を聞くことはできなかった
聞いた後の沈黙が気まづくて、何かを隠しているように思えて、不快でしょうがなかった
途中で紬が割入ってくれなければどうなっていたやら
〈さて、今日こそ戒光寺に向かうぞ〉
と、敬ちゃんが意気込む
「少し駅から離れちゃったから…、歩いていく?w」
今いる宿から駅までは少し距離がある
なら直接戒光寺に向かったほうが早いと私は判断した
〔たしかにそうだね〕
〔昨日は泉涌寺道駅で降りたし、戒光寺まで徒歩7分くらいだってさ〕
スマホを片手につらつらと天才くんを装う
{じゃあ出発~!!}
小学生の遠足のように縦1列
いくつもある周辺の寺院を通り過ぎた所に戒光寺はあった
ここもまた、新撰組のファンらしき人々が参拝に来ている
鳥居の前で記念撮影をする人も多々
「わ…、この中から藤郷さんを見つけるのか…」
{あん、藤堂さんだよ?w}
「あっ、w」
心のなかで藤堂さんという方に謝罪
「敬ちゃん見つけれそう?」
〈いや…、まだ〉
{…ん??あれ、なんか変じゃない?}
と紬が指さす方向には、参拝客のカメラに向かってピースをする男性がいた
{なんかみんな見えてなさそうだし}
[?]
こちらに気づいたであろう男性がひらひらと手を振る
咄嗟に私も手を振り返す
[!?]
あからさまに驚いたような表情を表す男性
それは、こちらに走って__
ではなく、飛んできた
「ぅわっ!?」
[えっ、あんた俺が見えてんの!?]
「え、はい」
「こっちの子も…」
と紬を紹介する
[はぇぇ…、初めて会ったわ]
と、顎に指を置く
[…ん?あれ、お前山南さんか!?]
[それにそっちは総司!?]
[どういうこっちゃ…]
戸惑いを隠せていない藤堂さんに説明をするため、少し離れた公園へ向かった
[えぇっと、つまり?]
[山南さんと総司は、みんなを探すためにこいつらといるってわけ?]
〈まあ、〉
『そういうことになりますね、』
「てか!こいつって言わないで!?」
「私は杏菜」
「こっちは紬」
[おう、あんなと、つむぎだな]
すんなりと名前呼びを了承してくれたことに驚く
意志が硬そうなのに
……この一言は余計だったかもしれない
『で、藤堂さんはなんで観光客と写真を…?』
『写りませんよね?』
[まあ…、そうだが俺のファンってことだろ!?]
[見えなくてもファンサってやつよ!]
昔の人のはずなのに現代語を使っていることに笑ってしまう
『はあ、』
春ちゃんは、理解ができないかのような返事をした
〈ってことで、藤堂さんもついてきてくれませんかね〉
と、話を戻す律儀な敬ちゃん
[あそれは全然おけよ]
すんなり了承
またもや驚いてしまう
『あと、俺のことは近藤春政って呼んでください』
[?おう]
頭上にはてなマークが出ていたことまるわかりですよ
[あ、そういえばあれは見つかったのか?]
その言葉に私と紬が顔を見合わす
『…藤堂さん、その話は内密で、』
「あの、藤堂さん、それ詳しく」
『っちょ!?』
隠し事をしている春ちゃんの様子がおかしかったから
間髪入れず藤堂さんに聞く
ここは譲れない
[…あれだよ、近藤の彼女だよ]
という藤堂さんの言葉に私は青ざめる
何故こんなにも胸が締め付けられるのだろう
ただ、昔の彼女を今も探しているだけだと言うのに
「そう、でしたか、」
その一言しか出てこなかった
次回→陽藍の方で
おくれてごめん…!!
しかも短い…w
設定
名前 藤堂平助(とうどうへいすけ)
性別 男
性格 明るい、快活
関係性
近藤=同僚
山南=上司
戒光寺(かいこうじ)
コメント
10件
ないすぅ! いや〜やっぱ天才っすねぇ、、
わ〜、第4話「秘密」読ませていただきました! 朝のベランダでの春ちゃんとのやりとり、すごく良かったです…「あんって美人だよな」って自然に言えるのが春ちゃんらしくてドキッとしました。でもその後の「天寧さんって誰?」の空気が一気に変わるところ、読んでて胸が締め付けられましたね。 藤堂さんの登場でまた空気が変わって、でも「近藤の彼女」っていう言葉であおいちゃんの気持ちが揺れるのも伝わってきて…続きが気になりすぎます!✨