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32 - 2nd.Escort Ⅰ 「銀河と花梨のアクシデント」⑥

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2025年02月20日

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「銀河、ねぇ…あんなことして、よかったの?」


「いいだろ、あれぐらい」


不安いっぱいな私に対して、まるで大したことじゃなさそうに銀河が口にする。


「だけど銀河、もしかしたら花梨に目をつけられたかも……」


心配になり、置いてきた花梨の方を振り返ろうとする私を制して、


「目をつけられようと、別に俺はかまわないから。それより、おまえはもっと自分のことを気にしろよ。あんな風に言われたい放題で、いいのかよ?」


そう話す銀河に、「うん……」と、気まずい思いでうつむく。


「だって花梨はいつもああいう感じだから、周りはみんな目をつぶってて。なんか反論したりすれば、さらに責められたりしそうだし……」


なかなか強気に出ることが出来ない、どうにも消極的な自分の性格に嫌気が差す。


「それでいいのかよ。あんなの野放しにしといたって、ろくなことになんねぇし。だいたい理沙の中身も知らないで、言いたいことばっか言ってただろ」


「うん……」と、また口ごもった後で、


「……だったら、銀河は私の中身、知ってるの?」


ついそんなことを確かめずにはいられなくなった。


「知ってるぜ。前にも言っただろ? おまえは素直じゃないって。さっきも内心では彼女の態度にイラついていたのに、そういう感情にフタをして、無理に丸く収めようとしてただろ。


まったく素直じゃねぇよな……怒りたいんだったら、怒ればいいんだよ。そうやって感情を押し殺してたって、誰も本当のおまえになんか気づいちゃくれないんだから」


自分から尋ねたのにも関わらず、あまりにもあっさりと心の内を見見透かされて、


「……知った風なこと言わないで……」


またしても、へそ曲がりな自分が顔を覗かせた。


「……そんな風にいつも感情をストレートに出してたら、誰も相手にしてくれなくなるじゃない……」


もっともらしい言い訳をする私に、「ふぅーん…」と、銀河がぞんざいに相づちを打つ。


「じゃあおまえは、このまま自分を隠してでも、周りとなんとなく付き合えればそれでいいんだな?」


彼の言葉が痛いくらいに胸に突き刺さって、


「そんなこと……」


と、唇を噛み締めた……。


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