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「……いいからもう、ほっといて……」
投げやりに会話を打ち切る。
わかっていた……だからこそ認めたくはなくて、そんな自分が許せなくて、それ以上深くはツッコまれたくなかった。
「おまえが聞いてきたんじゃん」
「おまえじゃないし…」
すねた子供みたいにも言って、唇をとがらせる。
すると、銀河が「そうか…、」と、ふと呟いて、
「おまえって…理沙って……昔の俺に、似てるのかもな…」
そう、ぼそりと口にした……。
「昔の俺、って……?」
「ああ、ちょっと思い出したっつうか……」
いつだって自信に満ち溢れて見える銀河が、珍しく翳りのある表情を窺わせる。
「……昔の話、聞かせてくれない?」
一見、軽い男にも感じられる彼に、そんな顔をさせるような過去とは一体どんなものだったんだろうと、にわかに興味が湧いた。
「いや、その話はいいだろ…。それに話したって、なんもおもしろくねぇからな…」
銀河が、明からさまに話題を避けようとする。
彼を知りたい気もちに嘘はなかった。自分の気もちに嘘をつくことで、今までは本心を偽ってきていた。
だけど、いつもならそこで呑み込んでしまう胸の内を、さっき銀河に指摘されたこともあって、思うままをちゃんと伝えてみようと感じた。
「……ねぇ、銀河。私、あなたのことが、もっと知りたいの」
そう告げると、前を歩いていた銀河が驚いたように顔を振り向かせた──。
「……理沙の性格的に、ああ言えば、もう聞いてはこないだろうと思ってたんだがな……」
私の言動を見透かしていたらしい銀河に、
「残念ね。私だって本音くらい言えるんだから……」
応えると、我ながらちょっと晴れがましくも思えるみたいだった。
「まいったな…知りたいなんて言われたら、教えずにいられなくなるだろうが……俺の性分としては」
「うん、そうだろうと思ってた」
ふふっ…と笑って言う私に、
銀河が、「おまえは、そういう風に笑ってた方が、ずっといいな」と、笑い顔を向けて、
思わず照れてしまいそうにもなった……。