テラーノベル
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第49話
次の日。
僕は、眠れた気がしなかったた。ビタリが、倒れるなんて……本気で、やり合わないと、倒れたりしない。
「おはようございます……あれ? 眠れなかったのですか?」
ヤバっ。バレてた……
「お恥ずかしながら……そうですね」
「今日はここから出ませんから、休んでてください。私だって、少しは自分の身くらい守れます」
「でも、強い者が来たら、いくら姫様が腕に自信があるといっても……」
僕がそこまで行ったところで、ニコラさんが宿屋に飛び込んできた。
「魔物の群が来たから、客を安全な場所に避難させて! ロルフ。姫様を連れて逃げて。族の仕業かも」
族かよ……面倒……
族というのは、国家反逆の奴らだ。とても図太くて、面倒。
普通に嫌い。戦略も、技術的にも、口調もちょっと苦手。
「姫様。裏ルートを使います。必ず、離さないでくださいね。ニコラさん。僕たちは街を出ますので伝達をお願いします」
そう言った僕はアニカの手を掴んで、宿屋を出た。
裏道から、気配のある所を、けていったけど裏道の少ないエルドはそれが通用しない。
「……ロルフさん。今日は休んでもいいのに、どうしてそこまで、私を……」
「もう何も、失いたくないんです。そんな家族も守れなかった僕の、自己満です」
「自己満って……」
……裏の手を使うか……面倒だな……
「目隠しとフードを、を付けてください。ちょっと、強行手段に出ます。僕も敵の数は把握できてませんが、万が一の事に備えて、弓を託します」
僕は、フードと、目隠しと、弓と矢をアニカに託した。弓は少し、アニカにとっては重いかもしれないけど、他に手段が思いつかない。
「失いたくないって、変わりたくないって事ですか?」
……まぁ、そうだけど……でも、僕の使命だし、失いたくないって……むぅ……
「今度こそ、使命を果たさないと、僕は……いや、失敗は許されない世界にいるんです。自己満と言いましたが、何も、傷つかないように、失望されないように行動しているだけです」
……ごめんね。黙ってて。
でも、アニカを傷つけたくない。いや、アニカは一番失望されたくない人だから……
「ロルフさん。私は世間からしたらもう、用済み。としか考えられてません。たった一人護れなかったからって……」
そこまで言うと矢が飛んできた。僕は剣で斬ったけど矢には、毒が仕込まれている。
こんな猛毒だと矢じりが残ったら、命に関わるくらいだ。
「矢が飛んできました。毒が仕込まれています。ここを強行突破しますので、僕の言う通りに走ってください」
「え?」
そう言って困惑しているアニカの手を掴んでもう、離さないと言わんばかりに握って走り始めた。
とりあえず、さっきのやつは斬れたから、道を進んだ。でも、周りに集まってくる。
三十人くらい集まってきて僕でも、危なくなってきたので「ちょっとじっとしてて下さい」と僕はアニカに耳打ちしてから剣を引き抜いた。
アニカは氷のように硬直しながら立っていた。その周りを僕が剣片手に舞っている。
ちょっと傷は負ったけど、掠り傷程度なので気にしない。
僕の隙を狙って五人くらいで襲ってきた。僕は二人までなら、斬れた。だけど、他三人は掠っただけだ。一人がそのまま、アニカを捕らえた。もう二人は僕の事を責めてくるけど、斬り伏せた。
くそっ……アニカを……
「それ以上近くな。この首を折るぞ」
アニカは必死に抵抗していたけど、首を絞められて、気を失った。
どうすれば……弓は……あっ!
僕は近くに落ちていた族の弓を取って、矢の予備で相手の腕を撃ち抜いた。
そいつが腕を押さえた隙に喉仏を刺した。
これで、もういないと思うけど、魔力を感じられない僕にはそこの判断が難しい。
アニカを抱いて僕は走った。アニカは軽くて、少しでも力んだら折れてしまいそうなくらい儚かった。
数刻後。
僕の傷はとりあえずの所は隠せたので大丈夫だ。服も着替えて、何事も無かったかのようにアニカの横で座っていた。顔の傷は隠せないけど。
アニカを木陰に敷いた布の上に寝かせて、布団をかけた。
……また、やってしまった……
僕が一人、反省会をしてるとアニカの青い瞳が僕を見つめた。
「ロルフ、さん……一体、私は……」
「族に隙を見せてしまいました。これは、僕の力不足です」
本当にやってはいけない事を……
「ロルフさんが無事でよかったです。力不足なんて……ロルフさんも人です。そんな、完璧にならなくてもいいんですよ」
アニカ……
記憶が無くても、あっても、根は変わらないな。
「以後このような事が無いように気をつけます」
僕は、もうこんな事をアニカにいわせまいと、心から反省した。
桜咲かな
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眠狂四郎
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コメント
1件
こはるさん、第50話読みました!もう眠れないほどビタリさんのことが気になってるロルフの心情が痛いほど伝わってきました……「また、やってしまった」って自己嫌悪するところ、胸がぎゅっとなります。でもアニカが「ロルフさんも人です」って優しく返すシーン、本当に温かくて、二人の関係性がじんわり沁みました。記憶がなくても変わらない根っこの部分って、こういう信頼なんだなあ。次の展開、すごく気になります!