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『お前が生まれてきたせいで私たちは政府に目をつけられたんだ!もうおしまいだ!お前なんか生まれてこなきゃ良かったんだ!』
『化け物だ……この子どもは化け物だ!』
『そうだ、こいつを桃に売り飛ばそう!そうすれば俺たちは助かるかもしれない!』
羅刹学園、校長室にて
「ある地域に昔鬼の集落があったんだけど、今はほぼ壊滅状態でね。けどそこが何かキナ臭いんだよね………そこで無人くんに出向いてもらいたいんだ」
「……きな臭いとは」
「鬼神の子だ」
「淀川」
「その集落に、鬼神の子がいると噂が以前からあってな。けどあまりにも田舎の集落だから鬼機関もまともに機能してねぇ…だから偵察部隊派遣として俺も同行したってわけだ」
「なるほど。その鬼神の子を連れてくればいいんだな」
「あぁ、だが俺が行って見て見たはいいがそこには小さな神社と古い病院みたいなのしかなかった。しかも厳重にロックされてて中には入れなかった。恐らく桃……いや、何かしら大きいものが関わっているはずだ」
「それで俺が呼ばれたわけか」
「そゆこと。これは隠密だから無人くんと練馬の偵察部隊隊長の真澄くん2人にしか知らせてないから。もし鬼神の子がいたら連れてきてほしい」
「ここがそうか」
「あぁ」
後日俺は淀川と例の地域に来ていた。もちろん変装して。
人はまばらにいるが……なんだか妙に薄気味悪いな
「すまない。少しいいか?」
おれたちは通りすがりの老父に声をかけた
「あぁ…どなたかな」
「あの山にある祠は何が祀られているんだ?」
「……なぜそのような事を聞く?」
老父は少し警戒したような目で2人を見た
「俺たちは寺や神社を見て回るのが趣味なんだ。特にそれ以外意味はない」
淀川がフォローした
「ほう……まぁ、特に特別な祠ではないぞ。だが、たまにだがあそこに見える病院から数人出てきて祠で何かしているのを見たことがある」
「何かとは?」
「そこまでは知らん、死にたくたいんでな……」
「「……………」」
それからその老父は去っていった
「おい、無陀野」
「あぁ、まずあの病院に向かうか」
ザザッ…
『真澄隊長、無陀野先輩。聞こえますか』
「あぁ、聞こえてる」
遠くの方で待機している馨から無線で連絡がきた
「何か分かったか?」
『えぇ、とても興味……いえ、気持ち悪いことがね』
「…なんだ」
『そこは病院ではありません。鬼を研究する研究所です。そしてあの祠……あそこに例の鬼神の子を連れていき、生贄の儀式をしているらしいです』
「ッ!!」
『2人が知っているように、鬼神の子は他の鬼に比べてチートな能力……回復力も桁違い。それでその回復力を試すかのように仮死状態にまでして3日3晩祠に閉じ込める……そしてまた生きていれば研究をするを繰り返す………不老不死のように』
「チッ、胸糞わりぃな」
「同感だな」
『ちなみにそこの研究所は日本政府………つまり桃太郎機関です』
「へぇ…てことは無陀野ぉ」
「あぁ、この建物壊して問題ないな」
「馨、例の鬼神はどこにいる」
『………地下です。地下2階………ですがほとんど人がいない………建物の中に10人ほどしかいないです』
「了解。だったら外におびき寄せてからの方が楽だな」
「あぁ…………『血蝕解放ー 雨過転生ー』」
「おぉーおぉーさすが無陀野様だぜ。馨、どうだ? 」
『えぇ、確認しましたが中には誰もいないです。鬼神の子の保護お願いします』
「そんじゃ、回収にいきますか」
「ここだな、開けるぞ」
キィ…
扉を開けるとそこには
ベットに寝かされベルトや手錠、目隠しで拘束された血まみれの小さな子どもがいた
2人は言葉を失った
「………おい馨、ほんとにここだあってるんだな?」
『え、あ、はい。今そこにいるのが真澄隊長と無陀野先輩、そしてもう1人いるのがきっと鬼神の子です………どうかされましたか?』
「……………ガキだ」
『え?』
「お前がさっき言っていた話全部、相手はガキだったんだよ」
『!!』
大人が寄ってたかってやることか
胸糞悪すぎる
無陀野と真澄は普段はポーカーフェイスだがさすがに眉間にシワがよった
「……だぁれ」
「「ッ!!」」
「………だれかいるの?」
か細い声で話す子ども
2人はどうしようか考え無陀野が傍に寄って言った
「俺は、外から来たんだ」
「………お外?お医者さんじゃないの?」
「違う。俺は教師だ」
「きょうし?」
幾つか分からない小さな子ども……
「とりあえずお前の目の布を外すからな」
1度断りをして目隠しを外す
目隠しを外された子どもがパシパシと目を擦り開ける
「うっ………わ!おにいちゃんたちかっこいい!」
何とも拍子抜けな
「とりあえずここを出るか」
「そうだな」
無陀野が子どもを抱き上げて歩く
「おにいちゃんの服……汚れる………」
「構わない。お前は少し寝ていろ」
「ん……」
そして無陀野に抱き抱えられた小さな子どもはウトウト眠りに入ったのだ
無陀野と真澄は遠くで待機していた馨と合流し、急いで羅刹学園へ戻ることになった
薫は基地に戻り、真澄は無陀野共に羅刹へ向かった
さすがに血だらけのままだとアレなので毛布で身体を包んであげた
羅刹へ戻り子どもはすぐに花魁坂の元へ連れていった
話は聞いていたが子どもだったとは思わず花魁坂も顔を歪めた
「絶対キレイに身体治してあげるからね」
そう言って子どもを優しく無陀野から受け取り治療に入った
その間2人は校長に説明をしに向かった
「………まさか子どもだったとはね…辛かったろうね」
「引き続き淀川の部活に身辺調査を頼んでます」
「うん………そうだね。それまではしばらくここで預かるしかないね。2人とも、お疲れ様」
2人は花魁坂の元にきた
「花魁坂、どうだ」
「あ、まっすーにだのっち!うん、身体の傷はキレイに治ったよ。本人の治癒力のお陰でもあるかな、けど栄養状態はかなり悪いね……推定年齢は2〜3歳くらい、けど慎重も体重も平均以下。生きてたのが奇跡なくらいだよ」
2人は無言で子どもを見つめていた
「大丈夫だよ、今は点滴流してるから寝ている間はとりあえずこれでいく。目が覚めたら何か美味しもの食べさせないとね!」
3人は子どもが1日でも早く目が覚めることを祈った
「……んっ」
あれから1週間たち、子どもは要約目覚めた
「ここは……」
ゆっくり体を起こし周りを見る
薬品のニオイに白い壁にベット………見たことある景色……だけどいつもの場所じゃない……ここはどこ……
キョロキョロしているとガチャ…
扉が開きピンクの髪の人が入ってきた
俺が起きてるのを確認するとビックリしたけどすぐに笑顔になり傍まで来た
「起きたんだぁ!良かった!体は痛いところない?お腹は空いてない?何かあったら聞いてね!あ、そうだだのっちとまっすーにも連絡!」
何か一人で喋ってる…
少し待っていると2人入ってきた
あ、あの人たちここに連れてきてくれた人だ
3人とも俺と目線合わせるために椅子に座ってくれる…
優しいな………
「改めまして、俺はここの医者だよ。もちろん君がいた所の医者じゃなくて人々を救う医者だ。花魁坂京夜だよ、よろしくね!」
「おいしゃさん…きょ、きょうやおにいちゃん?」
「お!か、可愛いいいい!」
「うるさい黙れ花魁坂。俺はそもそもここにはいねぇ。淀川真澄だ」
子どもの頭にポンッと手を置いた
「!……えへへ」
「え、何今の顔!かわいい!まっすーだけずるい!」
「うるせぇ黙れ刺すぞ」
「ひどい!!」
「…俺は無陀野無人だ。ここで教師をしている」
「きょうし?」
「学校の先生だ」
「せんせい…」
「そうだ!君の名前教えてよ!名前呼べないと不便だし!」
「えっと……1123番」
「は?」
「え?」
「あ゙?」
3人ともフリーズしてしまった…
「えっ名前………え?」
「あ、でもオニ?とかバケモノ?とかでも呼ばれてたからおれナマエ3個あるのかな?」
空いた口が塞がらないとはこのことか…
あまりにも衝撃的すぎて誰も声を出せなかった
は?名前が番号だと?鬼?バケモノ?ふざけてんのか?
こんな小さな子どもに……
無陀野は子どもにソッと寄り添い
「お前のそれは、名前ではない」
「え?そうなの?」
「あぁ、お前の本当の名前は淀川の仲間が探してくれている。だからそれまでは不便だが……」
「ますみおにいちゃんの…うん、おれだいじょうぶ」
「フッ、偉いな」
優しく子どもの頭を撫でると
クフクフと頬を赤くして笑顔が見れた
その笑顔が見れて大人たちは少しホッとした
真澄はその後すぐに拠点へ戻って行った
馨にだけ任せるにはそろそろ限界だろうってことと子どものこともすぐに調べたいからだ
その間無陀野と花魁坂が子どもの子守りをしていた
そこで大きな事件が起こったのだ
真澄が練馬に戻り、仕事の合間に子どものことも薫と調べていた
胸糞悪い内容ばかりだった
あの薫でさえ人を殺しかねない顔をしていた
俺はすぐに羅刹……無陀野と花魁坂に連絡した
プルルルル…
「お、まっすーからだ!やっと分かったのかな?だのっち」
「あぁ」
「やっほー!まっすー元気!?何か分かった?」
『あぁ、それよりガキはそこにいるか?』
「いないよ。だのっちが校長に預けに行ったから。いない方がいいでしょ?」
『そうだな』
「悪い、待たせたな」
「それじゃあリモート会議しちゃいましょうか!」
『……まず名前は一ノ瀬四季。年齢は3歳だ』
「へぇ、四季くんね!いい名前だね……って3歳!??」
『あぁ…あいつは元々ちゃんと一般人の両親がいたらしい。稀に一般人からも鬼が生まれることがあるらしいがそれが鬼神の子だったわけだ』
「なるほどね」
『けど外で暮らしてた分、桃機関に見つかってしまい両親はあいつを捨てたんだ』
「「……」」
『しかも鬼神の子だったから余計に価値が高く、子どもを研究の材料にしたいと言ってな。そんで両親は高額の取引をしてあいつを桃に売った。それが1歳のときだ…』
「なにそれ、酷すぎ」
『だからあいつは1歳からあの研究所で暮らしてる。自分の名前が分からねぇのもそのせいだろ。誰も人として見てくれなかったんだ』
「…………」
「実は俺達もまっすーに話さないといけないことがあるんだよね?」
『…なんだ?』
「四季くんを保護して、まっすーが帰ったじゃん?俺とだのっちで四季くんとご飯食べようと思ったんだよ……そした何したと思う?あの子、ゴミ箱漁り出したんだ」
『…は?』
「俺もだのっちもビックリしちゃってさ。ゴミ箱に顔突っ込んじゃってだのっちが抱き上げたらキョトンてしてんの。………何となく察したよね……ご飯をマトモに与えられず残飯処理させられてたんだ…道理でやせ細ってて栄養状態最悪だったわけだ」
『クソだな』
「……ご飯もさ、まともなの食べてなかったから何をあげればいいかわからなくてお粥とかあげても胃が受け入れずに最初の頃はよく吐いてたよね。今はスープを少しずつ飲めてきているとこ」
『そうか…』
「お風呂も知らなくてキッチンの蛇口に頭突っ込んじゃうし、ベットで一緒に寝ようって言ったら何もない床で布団もかけずに隅っこで丸まって寝始めるし……俺耐えれなくて泣いちゃった」
『お前が泣くのかよ』
「だのっちが頑張って今お父さん代わりしてるんだよ(笑)……少しずつだけど当たり前な人間らしい生活に戻れてると思う」
『そうか…来週くらいなら時間作れそうだからそっち行くわ。なんか子ども服でも薫に聞いて持ってく』
「あ、そうだね!子ども服ないから助かる!」
後日
「よう、来たぜクソガキ」
「……あ!ますみくんだあ!」
「元気にしてたか?」
「うん!いまね、ムダにいちゃんに文字?おしえてもらってた!」
「そうか…」
真澄は優しく頭をポンポンと叩くと四季は嬉しそうにハニかんだ
「四季、まだ途中だ。最後まで終わったら休憩だ」
「はあい!」
トテトテと無陀野のとこまで戻って行った
「まっすーおつかれさま!いろいろありがとね!」
「あぁ、これが服だ。俺は分からねぇから薫に頼んだ」
「いいよいいよ!ありがとね!今四季くん自分の名前書く練習してんの!まっすーが名前教えてくれてから本当の名前で呼んでるんだけど最初の方は違和感あったのか中々馴染めなくてね………今はマシになったよ」
「そっか、だいぶ顔もフクフクしてきたな」
「うん、スープ食べても吐かなくなったから今はお粥さんチャレンジしているとこ!量は食べれないけどだいぶ体重も増えてきたよ!」
「よかったじゃねぇか」
「……そう言えば見つかったの?」
「あぁ……夜の街で酒の店で豪遊カマしてたとこな。手っ取り早くガキの写真見せたら顔色変えて逃げようとしたからとっ捕まえて今は練馬の拠点に幽閉してる」
「へぇ……まさか合わせるつもりじゃないよね?」
「は、まさかだろ。あいつと同じ苦しみ味あわせてやるよ」
季節は巡り2月4日
「「「しき/四季くん/一ノ瀬/誕生日おめでとう!」」」
「……たんじょうび?」
「…まあ、知らないと思ったよね!誕生日っていうのはね、四季くんがこの世界に生まれて来たことを祝う会なんだよ!生まれてきてくれてありがとうって!」
「……」
「四季?」
ポロッ…
四季は涙を流していたのだ
「え?ちょ、四季くんどうしたの??もしかして嫌だった??」
花魁坂がそう聞くと首を横にフルフルと振る
一体どうしたのか3人は分からずにいた
「……ッおれ、生まれてきてよかった?」
「!」
まさかそんなことを聞かれるとは思ってもいなかった
「………お、おれ…いまなら分かる…父ちゃんと母ちゃんに捨てられたんだって………おれ、いらない子だって……」
四季は涙を我慢するが次から次へとボロボロと流れてくる
小さな肩を震わせながら
「四季、俺たちはお前と出会えて嬉しい」
「!」
「うんうん!毎日血なまぐさいから癒されるよね!」
「まぁ…ヒマにはならねぇな」
「………ッ」
四季は更に涙を流した
「…四季くん、実は四季くんの本当の誕生日は知らないんだ。ごめんね」
「…え?」
「……今日は、お前と出会って1年……俺たちがお前を見つけた日だ。その日をお前の誕生日にしようって3人で決めた」
「一ノ瀬、お前の生い立ちは確かに地獄だ……けどな、まだお前はこの世界を知らない。これからたくさん見ていくんだ」
「……ひっく、うっ……お、おれ、いきててもいいんかな…」
「…俺たちは、お前に生きてて欲しい」
「〜ッう、うわぁぁぁぁあぁん」
その日四季は初めて泣いた
3人は四季が泣き止むまでずっと頭を撫でたり背中をさすっていた
「………ひっく………ぐす…ッ……」
「………泣き疲れて寝ちゃったね」
「無理もない。こいつは背負うものが大きすぎた」
「何だかんだ泣いたの初めてじゃねえか?」
「四季くんには笑っててほしいよね…」
「……けどさ、結局まだ見つかってないんだよね?あの研究所のトップは」
「あぁ…調べてはいるが尻尾を出さねぇ……クソッ」
「政府が絡んでいるからだろう…」
「やり方が汚ぇやつらだ」
「せっかく四季くんも普通の生活に戻れてきてるからこのまま何事もないといいけど…」
「そのために俺たちがいるんだろ」
「そうだね…」
「……とりあえず、一ノ瀬も寝てるし俺達もこのまま寝るか」
「賛成!みんなでこのまま川の字で寝ちゃお!」
「テメェ蹴ったら刺すからな」
「まっすーひどい!!」
無陀野は四季の涙の跡を擦りながら
「……おやすみ、四季」
どうかこの子にいい夢を…
あれから更に1年経ち、四季は5歳になった
羅刹で保護されて2年
四季はもうそのへんの子どもたちと同じくらいの体重身長になりスクスク元気になっていた
今日は無陀野も花魁坂も派遣のため一人でお留守番の四季
真澄はもともと練馬配属なので滅多にこれない
一人と言っても校長に預けられている
過保護な3人は四季を1人にすることを酷く嫌がる
一人で留守番出来ると言っても『お菓子あげるって言われたらついていっちゃいそう!』と何とも複雑な気持ちになる
でも大切にされていることが伝わるので何も嫌な気持ちはしない
確か兄ちゃんたち3日は帰ってこないって言ってたな…
ヒマだぁ〜〜
「校長先生、お山に散歩してきてもいい?」
「お山?」
確か今日はどこかの部隊が演習場を使うって言ってたかな…
「いいよ。ただし演習場には近づかないようにね。夕飯までには帰ってくること」
「わかった!」
いつも京夜兄ちゃんやムダ兄ちゃんが一緒だから1人はちょっとドキドキするな!
山の中を散歩していると何やら地鳴りが聞こえた
なんだろ…ドキドキしながらゆっくり進むと大人の人たちが何人もいた
何か血を使ってる…………?
そっか、ここ校長先生が言ってたとこだ
近づいちゃダメって言ってたから戻ろうかな…そう思い振り返ると
「あ?なんだこのガキ」
大人の人が四季を囲んでいた
ビクッ!
「おいガキ、なんでこんなとこにいる?どこの子だ?」
「あっ……」
四季は無陀野、花魁坂、真澄、校長以外の大人と関わることがほとんどなく、知らない男の大人の人が目の前にいることで震えが止まらなかった
「おい、どこから来たか聞いてんだよ」
「い、いちのせ……しき……」
「一ノ瀬ぇ?」
「おい、こいつじゃね?鬼神の子で無陀野さんたちが保護したガキ」
「あぁ、こいつか。なんだ普通のガキじゃん」
「こいつのお守りのせいで無陀野さんたちの派遣が減って部隊が死んでいってんのに呑気なやつだよな」
え?
「そ、そんなの…知らない…だって、兄ちゃんたち、いつもヒマだから……遊んでくれて……」
「お前バカかぁ?そんなの嘘に決まってんだろぉ!」
「うそ…」
「ほんとはお前のことうっと惜しくて困ってんじゃねぇの?ハハッ」
「………」
男たちは言うだけ言って歩いてどっか行ってしまった
俺はその場から動けなかった
「ムゥ〜?」
「ムッくん……」
このピンクのムッくんは何故かおれの傍によく来る
ここに連れてこられたときから友達のように兄ちゃんたちがいない時はいつも遊び相手になってくれたし傍にいてくれた
だいじな友だち
「おや、早かったね。おかえり」
俺は散歩する気分になれず校長先生のもとに戻ってきた
「うん、なんか疲れちゃった」
「…そう?それならご飯にしよっか」
ご飯を食べてお風呂に入ってあとは寝るだけ
校長先生は少し仕事があるって言って部屋を出ていった
「ムム〜〜」
「ムッくん、おいで」
今日はムッくんと寝よう…
その時
プルルルル…
「ッ!?」
びっくりした………あ、ムダ兄ちゃんから電話だ
兄ちゃんたちは俺にスマホを持たせてくれた
何かあったら電話出来るようにってくれたんだった
とりあえず電話でなきゃだよね
「も、もしもし?」
『四季か?』
兄ちゃんの声だ……
『元気にしてるか?ご飯は?怪我はしてないか?』
「ヘヘッ、大丈夫だよ!ご飯も食べたし怪我もしてないよ!」
兄ちゃんの声が聞こえるだけで元気がでる…
『そうか…四季、来週には帰れるから。すまない1人にして』
「ううん、校長先生もいるしムッくんもいるから大丈夫」
『……四季、何かあったのか?元気がないように聞こえるが…』
兄ちゃんは凄い
声だけで分かるんだ
でも迷惑はかけれない
「ううん、今日は散歩して疲れただけ……」
『そうか……そろそろ寝る時間だな…四季、また連絡する』
「うん……おやすみなさい」
そう言って電話を切った
俺はムッくんを抱きしてめ寝た
次の日は外に出る気分には慣れなくて校舎の中をウロウロしていた
何だか寂しくてムッくんをずっと抱きしめていた
「〜〜〜〜、〜〜」
「?」
誰かの声がする……
ソッと廊下の端から覗いた…
すると昨日四季に当たりが強かった大人たちがいた
「ッ!」
何話してるんだろ…
「今回の戦闘かなり長引いてるよな〜」
「だりーよなー」
「おかげ不眠不休……さすがにまいるぜ」
「それもこれも全部あの鬼神のガキのせいだろ」
「!」
おれ?
「あぁ、研究所から消えた鬼神の子を桃が探してるんだろ?あんな役に立たねぇ甘えたのガキの何がいいんだか」
「あのガキ家族もいなくて天涯孤独なんだってな。だったら内緒で桃に売り飛ばしても問題ねぇよなー」
「おいやめとけ、無陀野さんたちに殺されるぞ」
「あぁ…やけに気に入ってるもんなあのガキのこと」
「あのガキ渡したら戦いもすぐ終わるのになー」
笑いながら2人はどこか歩いて行った…
ギュッ…
「むぅ?」
おれはムッくんを強く抱きしめた
もしかしておれ、めちゃくちゃ迷惑かけちゃってる…?
俺がいない方が平和になる?
ポロッ…
「む……」
俺は静かに涙を流した
まだ日が登る前、おれは早めに起きて荷物をまとめていた
きっともう、ここにいない方がいい
嫌だけど、もといた場所に戻るしかないのかな…
楽しかったな…
「おかしいな、なんでまた泣いてるんだろ…早く荷物入れよ」
ムダ兄ちゃんがくれたリュック
京夜兄ちゃんがくれた帽子
ますみくんがくれた靴
これは俺の大切な宝物…これだけは持っていきたい
お手伝いしてもらった少しのお小遣いと着替え
スマホ………きっとこれは置いて行った方がいいよね
スマホはテーブルの上に置いた
島の港まで歩き、周りを見渡し誰もいないのを確認
今のうちに船に乗って隠れよう
足を踏み出したそのとき
「むっむぅぅぅ!!」
ムッくんがダッシュでやってきて俺の服噛んで離そうとするしない
「むっ!むっ!」
「ムッくん……」
「むぅ、むぅ…」
おれはムッくんを優しく抱きしめた
「ムッくん、寂しい時傍にいてくれてありがとう。おれ、ムッくんとお昼寝するの好きだったよ」
「む…」
「元気でね、ムッくん……」
おれはムッくんとサヨナラをして船に乗り込んだ
プルルルル…
ピッ
「はい」
『無人くん、単刀直入に言う………四季くんがいなくなった』
「は?」
「こ、ここが東京………」
おれは船に忍び込み、なんとか港におりた
ど、どうしよ…とりあえず歩こうかな
おれは島しか分からないからこんなに賑やかなの知らなかった…
ビュウッ
「うっ……あ!帽子が!」
風で帽子が飛んでいった
京夜兄ちゃんが買ってくれた帽子!
おれは帽子を追いかけた
ビーッビーッ
『街で鬼の気配感知………この顔……鬼神です、鬼神の子を見つけました。位置情報を送ります!』
おれは走って帽子を追いかけた
「あった!よかった…」
おれは帽子を拾った
「やぁやぁ、そこのボクゥ?」
「?」
スーツを来た男の人が2人…
おれは咄嗟に後ろにひいた
「君、鬼神の子でしょ」
「…なんでおれのこと知ってるの?」
「そりゃ知ってるよ!君有名人だもん!無陀野たちのお気にってね!」
「!」
ムダ兄ちゃんたちのこと知ってる…?
「……もしかして、桃?」
「お、正解!おれたちは桃太郎だよ」
桃太郎ってことは…
おれはリュックをギュッと握りしめ
「…………お兄さんたちに着いて行ったら、ムダ兄ちゃんたちに何もしない?」
「あ?……………あぁ何もしないよ」
不気味な笑い方をした桃………信用出来ない……でも……俺が出来ることは…
「じゃあ………ついて行く」
バンッ
「おい校長どう言うことだ!」
無陀野、真澄、花魁坂が校長室に入ってきた
「ごめん……僕も分からないんだ。朝起きたらいなくて……」
「電話わ?連絡はしたんですか?」
校長は首を横に振り
「これ……」
「それ、四季のスマホ」
「部屋に置いてあった」
「……てことは攫われたわけではないよね」
「チッ」
「四季……どこ行ったんだ」
どうしたらいいか分からず途方に暮れていると
ドドドドドド
何かこちらに向かって走ってくる
「むむぅーー!!」
「「ムッくん!」」
ムッくんが泣きながら走ってきた
確かこのピンクのムッくんはやたら四季に懐いていた
「むっ!むむ!」
俺たちに背中の音声を押し付けてきた
「……もしかしてムッくん何か知ってるんじゃない?」
俺たちはムッくんの背中の音声のボタンを押した
ザッ…ザザーーー…
『こいつか、無陀野さんたちが保護したガキって』
「!!!」
それには俺たちいない、隊員と四季の会話が録音されていた
『あのガキが桃に渡ったら少しは仕事減るんじゃねぇのか?』
『ギャハハハ!』
『ぐす…………ひっ…』
俺たちがいない間、四季はずっと一人で悪口を言われ、泣いていたのか…
直接四季を責めるやつもいれば四季に聞こえるようにわざと大声で言うやつ
腹が立ってしかたない
俺たちは悔しくて口や手を強く握りしめた
『ムッくん……おれ、ここにいない方がいいんかな………』
四季…
『おれ、ここにいたい………でも、みんなに迷惑かけたくない…』
迷惑じゃねぇ、ずっとここにいろ…
『兄ちゃんたちがくれたリュックと帽子と靴だけは持っていくことにした………じゃあね、ムッくん……元気でね』
四季くん……俺たちのプレゼント大切にしてくれてたんだね
そこで録音は切れた
「………」
俺たちはしばらく無言だった
「校長 」
「分かってる。四季くんを連れ戻したいんだよね」
「あぁ」
「あのガキ勝手に出ていきやがって少し躾ねぇとな」
「とかいいながらめちゃくちゃ心配してるくせに!」
「うん、行っておいで。その代わり、必ず連れ戻してきてね…港からの情報によると子どもが一人乗ってたらしい、きっと四季くんだね。そうなると場所は東京だ」
「「あぁ」」
「おれも行きたいのは山々なんだけど、もしものとき戦えないからね…悔しいけどここで大人しく校長と待ってるよ」
「四季はちゃんと連れて帰ってくる」
「うん、絶対一緒に帰ってきてね!またみんなでご飯たべよ!」
四季は桃と大きな建物に入っていった
「………ここは?」
「ここはね、これから君が暮らすとこかな?」
「え、おれ?」
トンッ
「うっ」
ドサッ
四季は気を失い倒れた
「君は貴重な鬼神の子だからね!これからたくさん実験させてもらうね〜ククッ楽しみだな〜」
そう言って桃は四季を連れて奥に入っていった
「クソッ東京って言われても広すぎんぞ」
「無駄な戦闘は避けたい。あいつが桃にまだ捕まってないと信じたいが…」
四季は鬼神だ、見つければただじゃすまないのはすでに知ってる
一刻も早く見つけたいが港を降りたあとの手がかりがない
「クソッ」
「馨にも手伝ってもらうように連絡した…けど東京ってだけじゃ難しいらしいからこっちでも探し回るしかねぇ」
「時間が惜しい、行くぞ」
ピッ………ピッ……
「ん…」
「あ、気がついた?」
「ここ……うっ」
頭痛い……身体が動かない
「あぁ、身体動かないでしょ。今君には薬を打ってるから力が入らないと思うよ」
「くすり…」
「あの古びた研究所では惨い拷問みたいなことされてたと思うけど僕はそういうの好きじゃないんだ、ここでは違うやり方でやらせてもらうから精々死なないように頑張って」
「…………」
それから2週間…
『真澄隊長、遅くなりました!四季くんの居場所が分かりました!』
「!……どこだ」
『桃太郎の東京都本部です』
「分かった。助かった…………無陀野」
「あぁ、すぐに向かおう」
本部前正門
「………ん?お、おい!あいつ!」
「あ?……おい!なんで無陀野がここに!」
血蝕解放
「緊急!こちら正門!無陀野です!無d…ぐぁアッ」
我龍転生
「おい!無陀野1人だ!応援くるまで持ちこたえるぞ!」
「お、おう!………うわぁッ」
ザシュッ
「おい!どうした………うっ」
スゥーーー……
「おい、誰が無陀野1人って言ったよって……あぁ、もう死んでるか」
血蝕解放 ー 完全拒絶 ー
「おい無陀野、時間がねぇどんどん行くぞ」
「あぁ」
建物の中は地獄絵図になっていた
床も、壁も、天井も血まみれ
死体も転がっている
けど2人は淡々と前へ進んで行った
1つの扉の前にきた
この奥に四季がいる
早く会いたい、抱きしめたい、たくさん頭を撫でたい
扉を開けた
「アハッ早かったねー」
「……誰だお前」
「ここの研究者って言えば分かるかな?子どもはこの奥にいるよ。鍵は僕が持ってるけど」
「……奥に四季がいるんだな」
「さぁね、自分たちで確認してみれば?僕はもともと非戦闘員だから君たちがここに来た時点で詰みなんだよねー」
「………淀川、こいつを縛れ」
「俺に命令すんじゃねぇよ…」
カチャ…
鍵を手に入れドアを開けた
「………四季?」
薄暗く、何か色々なモニターがある
ツーンとした薬品のニオイ…
その奥のベットに四季がいた
ピッ……ピッ…
「…………」
「………四季」
「…………」
「おい、一ノ瀬」
「…………」
返事がない
四季はたくさんの管に繋がられていた
全身包帯だらけで眼元も包帯で隠している
包帯からも血は滲み、所々切り傷があった。特に腕は点々とした痣が酷かった
注射器で打たれて出来た跡が無数にあったのだ
包帯で巻かれているから分かりにくいが血の気がほとんどない
生きているのか不思議なくらい青白かった
けどギリギリのラインで殺すつもりは無かったのか、心電図が繋がれておりその音で生きていることは分かった
たった1週間、されど1週間なのに包帯の隙間からでも分かる
酷く痩せ細っていた
ずっと点滴だけだったのか…
やっと……やっとあの地獄から連れ出せたのに
やっとまともにご飯を食べれるようになったのに…
この子が何か悪いことでもしたのか?
罪を犯したか?
本当なら外で元気に笑って走り回りたい年頃だ
けどこの子の生い立ちがそれを許さなかった
今すぐ殺したい、憎い
けど今ここで殺すともしも何か能力をかけられていたら対処が出来ない
ここは生きて捕まえて連れて戻る
そして拷問にかけて自白させてからでも遅くは無い
とりあえず目の前の四季が最優先だ
無陀野と真澄は細く、力のない小さな四季の手を優しく握った
「……四季」
「………」
「四季、1人にしてすまなかった…」
「………」
「……一ノ瀬、俺たちはお前のこと迷惑とか思ったことねぇよ」
「………」
「……お前は優しすぎる。もっと甘えろ、ワガママを言え」
「………」
「……四季、お家に帰ろう」
「………」
クスリの影響でか分からないが四季に声をかけても反応がない
このままここにいるのも気分が悪いため一刻も早く四季を連れて出たかった
けどたくさんの管で繋がれている四季
無理に抜いて命の危険に繋がるかもしれない
俺たちは花魁坂にテレビ通話を繋げた
四季の状況を目の当たりにすると医者な分余計に俺たちより思うことがあったのか普段のあいつがしない顔をしていた
けど冷静に指示をもらい、四季に負担をかけないよう優しく抱き上げゆっくり進んだ
初めて保護したときを思い出すな
軽いな…
あの男は淀川が並木度に連絡してたから回収するだろう
俺たちは帰路した
四季は花魁坂に託した
数時間後
ガチャ…
「…どうだ」
「………分からない。けど、身体に物凄い量の……何種類もの薬剤が投与されていた……致死量のね、毎日定時でやってないとあんな昏睡状態になってないと思う…四季くんだから生きてた……てことかな」
「………治るのか」
「…………」
「そのことでみんなに提案があるんだけど」
「校長…」
「…………彼をここから離そうと思うんだけど」
「「「!?」」」
「おいおい冗談きついぜ校長さんよぉ」
「校長、どういうことですか?」
「ボクの知り合いにクスリに特化した能力を持っている人がいてね……一度その人に預けてみてはどうかな……京夜くんにも不得手なことあるでしょ」
「……ッ、確かに俺には外傷は治せてもクスリに関しては限界があります……悔しいですが」
「ううん、大丈夫だよ。……それでどうかな、もちろん絶対治る保証はない……けどここよりも設備のいいところで見てもらえる」
「その知り合いってどこの誰なんだ?」
「それは言えない……だから、彼が治るまで会うこともできない。機密事項だから、ごめんね」
「…………少しでも四季が治る可能性があるなら俺はお願いしたい」
「……俺も…しばらく会えなくなるのは悲しいけど、きっとまた会えるって信じてる」
「絶対治せよな」
「手厳しいなぁ〜うん、では意見が揃ったという事ですぐに先方に連絡するね。明日にでも出発するから」
そう言って校長は部屋を出ていった
「「「………」」」
俺たち3人は意識のない四季の傍に行き、手を握ったり髪を撫でたり顔を触ったりしていた
「四季、しばらくの間お別れだ」
「きっとまた会えるから……俺たちはここにいるよ」
「…必ず戻ってこいよ」
それぞれ四季に話しかけて、次の日四季は羅刹を去った
きっとまた逢える日まで
あれから12年後 ——
「今日から新学期かーーだのっち1年担任でしょ?ほとんどだのっちがスカウトしてきたんだっけ?また結構な問題児らしいじゃん(笑)」
「使えないと思った時点で退学だがな」
「……おい、なんで俺まで呼ばれてんだよ」
「まっすーおはよー!なんでだろうね??てかみんなで校長室に呼び出しって何かな?なんか学生の頃みたいだね!」
「何笑ってやがる気持ち悪い」
「ひどい!!!!」
ガチャ…
「失礼しまーす!校長先生呼びま……した……」
校長室に入ると1人男の子…羅刹の制服?を着た生徒がいた
誰だろ…………どこか………見たことある…………俺たちの大切な…
その男の子はゆっくり3人に振り返った
「「ッ!」」
あぁ………ずっと、ずっと待ってた……長かった……
その子は飛びっきりの笑顔で言った
「ただいま!ムダ兄ちゃん!京夜兄ちゃん!真澄くん!」
「「「おかえり、四季/四季くん/一ノ瀬」」」
四季は俺たちの元へ走り出し抱きついた
俺達も抱きしめ返した
俺たちの大切な四季…
もう二度と離さないとそれぞれ心の中で誓いながら…
おまけ
「じ、じぎぐ〜〜ん゙!!!!お゙、お゙がえ゙り゙いいいいい」
「ワハハハハ!京夜兄ちゃんめちゃくちゃ泣くじゃん!」
「そういうお前は泣かねぇのかよ」
「いや、めちゃくちゃウルッてきてるよ!そーいう真澄くんもずっとおれの頭撫でてるけど」
「ぁあ゙?撫でちゃいけねぇのかよ」
「ううん!いっぱい撫でて!」
「四季、身体はもう大丈夫なのか?」
「うん!クスリの副作用が酷くていろいろヤバかったけど何とかね!体力とかも全然無くてさ、車椅子生活してたりとかまぁほんといろいろ大変だった!兄ちゃんたちと離れ離れは本当寂しかったけどあのままだと俺本当に足手まといだったし迷惑かけてばかりだったろうから結果的よかったかも……」
「……四季、何度も言うが俺たちはお前のこと一度も迷惑とか」
「あ、うん!それは今は本当に思ってないよ!だって特にムダ兄ちゃんとか真澄くんて嫌なことは絶対顔に出るじゃん?だからそれは本当なんだって分かるよ!」
「「……………」」
「それに俺、もう弱いだけのガキじゃねぇし!………本当はさ、治ったらすぐにここに戻って来たかった。けど、弱いままじゃまた同じこと繰り返すのが嫌でさ……校長に頼んでしっかりリハビリしてからは血のコントロールの特訓したからそこそこ戦えるくらいにはなったよ!」
「………そうか」
「………ぐすっ、そういえば四季くん羅刹の制服着てるけどまさか…」
「おう!今日からここの生徒!よろしく先生!」
「ええー嬉しい!また一緒にいれるねー!」
「あ、俺ここの生徒になったからさすがに『兄ちゃん呼び』は止めた方がいいよね!……ムダ先、京夜先生、真澄隊長?」
「えええええ!ヤダヤダヤダぁそんな距離が出来たような呼び方やだァァァ」
「えぇ………でも先生と生徒だからさすがに良くないって」
「じゃあ、授業以外でならいいんじゃないのか?」
「うーん、それならまぁいいけど」
「………それなら我慢する」
「おい一ノ瀬ぇ、スマホ持ってんだろ。貸せ」
「え、あぁ、はい」
「お前また一人どっか行きそうだからな。GPS付けとくから絶対スマホは肌身離さず持っとけよ」
「じ!え??GPS!??」
「ぁあ゙?文句でもあんのか。お前のせいでこちとらお前に出ていかれたのトラウマになってんだが?」
「うっ…そ、その節は大変申し訳………」
「あぁ、あと四季。お前の寮の部屋は俺と同室だ」
「ええええええええ!??」
「なんだ?寂しくて一人で寝れなくてムッくん抱きしめただろう」
「な、なんでそんな……」
「これは決定事項だからな」
「………本当、みんな俺のこと好きだよな」
「「「当たり前だろ/でしょ/だ」」」
「ッ!………ヘヘッ俺も大好き!!」
それから3人の四季への過保護っぷりや執着心が暴走したり
3人が四季への家族愛と思ってたら恋愛感情だと分かってすったもんだしたり
四季は四季で3人からのアプローチにキャパオーバーして逃げまくったり
四季が卒業したら3人と同棲始めるのはまた別の話…