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「ご、50万…..」
目を点にし瞳が一瞬揺れる。
同様の顔色を見せた千野が息を呑んだ。
「ないならやるつもりは無い。」
ウチは金には口煩くしているからな。
しょうもない依頼でもしっかり払ってくれればやる事はやる。
たとえ達成できなくても金は返さんがな。
「ッ…..だい、じょうぶです。ありますっ!お願いします!」
ガタッとソファーから立ち上がり90度に腰を曲げてお礼をする。彼女の顔は期待に満ちた晴れやかな顔をしている。
それ程までに期待されようとできなかったら泣くのだろうか。面倒事は嫌いだ。金は好きだ。
楽に稼げればそれでいいのに、なぜしもこんな面倒事の塊のような仕事を選んだのだろう。
たまに頭をよぎるそんな考えもすぐさまどこかへ去ってゆく。
「森神仕事が入った。始めるぞ。」
「はぁい!」
「っ、よろしくお願いします!」
「森神、WiFi切れたぞ。直してこい」
「えぇ〜……分かりましたー」
パソコンのWiFiが切れ森神命に行かせた。
その間俺は先程までやっていた作業を一旦やめて珈琲を入れようと立ち上がる。ブランデーの珈琲の香りがほのかに香る。
豆を引き本格的な珈琲の完成だ。森神が何処からか仕入れたブランド物の豆は伊達では無い。
さきほどやっていた作業とは千野の妹が生まれたという病院のサイトを調べていた。
その病院は院長が変わり病院名も変わってしまったことから少し探すのに困った。
病院の名前は、景井病院。元の名を日内病院。
今の院長は景井誠。有名人な医大を卒業して実績のあるやつらしい。まぁ今回のこととは全く関係ないな。
「カイさん、直しましたよー。WiFiきてます?」
「ん、あぁ来てる。…お前この病院に行ってなにか情報を聞いてこい。」
「えぇ!今ですか!?」
「明日でいい。頼んだぞ。」
これから途方もない人探しが始まる。
地道な作業でどうやって千野姉妹を引き合せるのかはたまた失敗に終わるのかそれはまだ分からない事実。