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レンブラントは性格において色々問題はあるかもしれないが、顔だけはかなり良い。ひいき目無しに、渋めのイケメンだ。


すっと通った鼻筋。意思が強そうな凛々しい眉。黄色とオレンジ色の間のような瞳は、不思議な色合いで獣のように鋭いが、その奥にはきちんと温かさを湛えている。


本人も目つきが悪いことを自覚しているのか、前髪は軍人にしたら少々長い。


自分の顔の出来が良いことを自覚した者だけができる片側の前髪だけを下した髪型は、大変気障ったらしいが、彼らしいとも言えば彼らしい。


そして背が高くしっかりとした体格で、軍服が憎らしい程良く似合っている。

つまり彼は、初対面の人間でも、この人女性に苦労したことが無いだろうなぁと思わせる容姿だ。


しかしレンブラントは、イケメンではあるが、お世辞にも青年とは呼べない。


良く言えば、物腰が落ち着いており、言葉を選ばなければ、貫禄がありすぎる。小言と説教が好きなところが、おっさんくさい。


そんな理由から、レンブラントの年齢は三十代半ばだとベルは判断した。胸を張って、ドンピシャだと断言できる。


……と思っているのだが、どうやら間違いのようだった。


「おい」

「……んぁ?なんですか、ロリコン軍人さん」


凄みのある声で呼びかけられたが、ベルは雑な返事をする。


なぜなら性懲りも無く包帯取りを再開し始めて忙しいからだ。


「手を止めて、話を聞け」

「大丈夫、聞こえてますから。あなたの話なんて、ながら作業で十分です」


ついさっき涙目で謝罪をしたことなど嘘だったかのように、ベルはだだくさな態度を変えようとはしない。


その態度に、レンブラントの眉がピクリと跳ねた。


「おい、手を止めてちゃんとこっちを見ろ。アルベルティナ嬢」


急に口調が変わった彼に異変を感じて、ベルは格闘する手を止めて前を見る。


目の前の銀髪軍人は半目になっていた。


「君に確認したいことがある。黙秘は許されない。いいか?」

「……は、はい」


ついさっきの出来事を思い出して、ベルは大人しく両手を膝の上に乗せて頷いた。


「では質問するが、君は先ほど何と言った?」

「……えっと”なんですか”……と」

「違う、もっと前だ」

「え゛、あー……何を言いましたっけ?」

「とぼけるな。目が泳いでいるぞ。答えろ」

「”上司の下で働くラルクさん達が、気の毒でなりません”……と言いました」

「上手いこと誤魔化したつもりか?重要な部分を端折るな。もう一度、言え」

「ロリコン上司の下で働くラルクさん達が、気の毒でなりません……と、言ったような……言わなかったような……」


最後は、ごにょごにょと不明瞭な言葉を紡いで、ベルはそぉっとレンブラントから目を逸らすが、顔には「あ、やべえ」としっかり書いてある。


それを、至近距離にいるレンブラントが見逃すはずはなかった。


「アルベルティナ嬢、もう一つ質問だ」

「ぅあ……はい」

「俺は幾つに見える?忖度なしに言ってみろ」

「え、さん……いや、にじゅう」

「人の顔色をうかがうな。思った通りの年齢を言え」


ぐいっと前のめりになったレンブラントの目は、バキバキだ。


(言えるもんなら、もう言っているさっ)


そんなことをベルは心の中で叫んだ。息するように毒を吐くベルだけれど、そこそこ空気は読める。今は、毒を吐いてはいけない時である。


ベルは、ちらっちらっとレンブラントを見る。どう見たって三十代だ。


窓から見える羊飼い少年を呼び止めて聞いたとしても、間違いなく自分と同じ年齢を口にするだろう。でも言いかけた瞬間、レンブラントの眼光がギラリと光ったから違うのだ。


じゃあ、彼は幾つなんだ!? と、逆にベルは訊きたくなった。だが真っ正直に尋ねれば、馬車の空気は更に悪くなるだろう。


「……素直に言いいますけど……ね?」

「ああ」

「絶対に怒らない?」

「ああ。約束する」

「殴ったりもしない?」

「アホか。そんなことするわけないだろう。ああ……そうだ。もしそうなら、これで刺していい──ほらっ」


レンブラントが投げてよこしたのは、軍の紋章が入った短剣だった。それが自分の膝に落ちた瞬間、ベルはもう逃げられないことを悟った。


覚悟を決めて、短剣をぎゅっと握りしめながら、見たままの年齢を口にする。


「───……そうか」

息すら苦痛に覚える沈黙が数分続いた後、レンブラントは静かな声でそう言った。


彼の本当の年齢は25。ベルが予想していたより、7つも下だった。

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