第一章 勇者。
「おい!飯!」
「ごめんなさい……まだ……」
「チッ……役立たず!」
「母さんがいたら……」
「…………」
もういっそ、殺してしまおうか。
そう思い立った時、行動は存外早かった。
恐ろしい程に、何の感情も持たず。
「お父さん」
「あ?なん……」
「じゃあね」
「……」
あぁ……これじゃあもう、立派な “ 人殺し ” だ。
父さんの言ったとうりじゃないか。
「……もういいか。父さんはもう居ないんだ。」
「好きに生きよう」
それから…何千年か。
もう数えるのも諦めたほどの年月が経った。
こんな俺に手を差し伸べてくれたんだ。
「お前、俺らの仲間にならん?」
「は?」
突然話しかけて来た金髪の少年は、そう言った。
眼帯付けてんな。でも怪我してる感じはしない。
成程、厨二病の早とちりか。冒険したい欲が出たんだな。
そんな餓鬼には現実ってのを教えてやらないといけないかな。
「だーかーら!俺らの仲間にならん?って!」
「なるわけないじゃん」
「え〜……楽しいと思うんやけどなぁ……」
「なんの仲間なんだよ」
「そりゃもちろん 魔王討伐の!」
「んな事出来るわけねぇだろが。どっか行け」
「え〜」
「それに、仲間もいないじゃん」
「仲間は後で集めるんや!」
「はぁ……」
「……まぁいいか。どうせ暇だし」
「やった〜!!」
元気なやつだな……
こんな奴が本当に魔王を倒せるのか?
「……まぁ……やってみるか……」
気怠げに返事を返し、とりあえず彼について行くことにした。
____これが後、俺の人生に影響を与える事は、まだ知らない。
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