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第二章 故郷。
「ゆあんは強いなぁ〜!」
「将来は世界一強い戦士になれるね!」
「えへへ……!」
暖かい家族に囲まれて、毎日笑顔になれる。
それがとても貴重だということは分かっている。
だから、日々女神様への感謝は忘れず、
この世に生まれてきたことを後悔しない。
それなのに、女神様は……
それを全て壊してしまった。
「ゆあん!逃げなさい!」
「おかあ……さん……」
「早く!」
「っ!」
どうして??
なんで母さん達が死んだの?
優しい母さん達より、
俺が死ねばよかったのに。
もう、女神なんて信じない。
全部クソ喰らえだ。
でも、せめて……
「将来は世界一強い戦士になれるね!」
夢は叶えてやる。
「なぁ!お前仲間にならん!?」
赤毛の吸血鬼を連れた眼帯男が話し掛けてきた。
話を聞けば、魔王討伐の為仲間集めをしているらしい。
魔王討伐、て事は強くなれる?
世界一強い戦士に、なれる!
「!いいよ!なりたい!」
これで、強い戦士になれる!
_____よね?
「おらっ!」
「……ゆあんくん」
「ん?なに?」
「お前、力みすぎや。ぎこちない」
「え?」
「なんかなぁ……強いんは強いんよ。でも、」
「でも、なに?文句あるの?」
「…………あのな、文句じゃないねん」
「お前、なんか抱え込んどるやろ」
「!」
「昔なにかあったんやろ。話してみ」
「……」
「言いたくないか?じゃあ いつでもええから話してな」
「話してもいいかなって思ったら話してくれ」
「俺は、」
味方やから。
「!!」
「……うん」
正直、分かってた。
心にモヤがあるのも、それを知らないフリしてるのも。
全部、全部。
分かってんだよ。
「あれ……なんで……」
視界が歪んだ。
頬を伝うなにか。
喉が苦しくなる。
心が苦しくなる。
全て苦しくなる。
「……大丈夫……?」
「!じゃぱぱ……」
「なんか、悩んでるんだってね」
「……」
「……泣いていいよ。苦しいでしょ」
「え……?」
「誰だって泣きたくなる時はあるんだよ」
「人間なんだから」
「…………!!」
「そうだね」
「思う存分、泣いてやる」
「付き合ってくれよ、じゃぱぱ」
「はいはい」
「ふふっ……甘え上手ですね〜!」
「そうやねぇ〜……」
朝、二人が目にした光景は、ゆあんがじゃぱぱの服にしがみつき鼻水をボロボロと服に付け、それにドン引いているじゃぱぱの姿だった。
これだけでもう面白いのだが、
とんでもなく間抜けな面で寝ているゆあんが余計面白さに拍車をかけている。
「やっぱりゆあんくんもまだちゃんと子供なんですね」
「せやね〜」
「いや〜清々しい朝ですなぁ〜!」
「俺は清々しくねぇよ………」
どんよりとしたじゃぱぱの顔に反し、
ゆあんの顔はサッパリした風呂上がりかと言いたくなるような笑顔だった。
他の二人は笑ってた。