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久しぶりに、若井から「飯でも行かない?」と連絡が来た。涼ちゃんは迷ったけど、
なんとなく“行かなきゃ”という気持ちが勝って、
「うん、行くよ」と返した。
約束した時間。
ファミレスの駐車場に着くと、
ガラス越しに先に席に座っている若井の姿が見えた。
手を振ると、彼はすぐに気づいて笑った。
「おー、久しぶり!」
「うん、久しぶり」
席に着いた瞬間、若井の笑顔がふと止まった。
涼ちゃんの頬が、前より少しこけていた。
顎のラインも鋭くなって、
全体的に細くなった印象。
「……痩せた?」
「ん、まぁ……ちょっとね」
「ちょっとってレベルじゃないだろ。スタイル良くなったってより……なんか、、、」
涼ちゃんは笑ってごまかした。
「最近、食欲なくてさ」
「それでその格好? まだ暑いのに長袖?」
「……なんか、落ち着くから」
彼の袖口から、少しだけ手首がのぞく。
骨ばっていて、肌の色がいつもより白く見えた。
若井は一瞬だけ視線をそらして、
メニューを開いた。
「ま、とりあえず何か食べよ。俺奢るから」
「いいって」
「いいから。来てくれただけで充分だし」
その言葉に、涼ちゃんは小さく笑った。
けど、その笑みの奥にある“疲れ”を、若井は見逃さなかった。
料理が運ばれてくるまでの間、
二人の間に少し沈黙が落ちた。
若井はストローをいじりながら、
ぽつりと呟いた。
「……なんか、無理してね?」
涼ちゃんは一瞬だけ目を見開いて、
そして、ゆっくりとうつむいた。
「……してるかも」
そう言った声は、
笑っているようで、泣きそうにも聞こえた。