気付けば、意識を失っていた。
痛みも感じない。
僕、死んだのか。
死後の世界ってこんな感じなんだなぁ…ってか存在したんだ。
目の前に広がるのは、真っ白な部屋。
…と言うか、空間。壁も天井も無い。
「もしかしてずっとここに居ないといけない感じ?」
そう言って歩き出すと、後ろから声がした。
「災難でしたね。星咲りるるさん?」
勢い良く振り返った。そこに居たのは、仮面を被った綺麗な男の人。
仮面越しなのに、確かに目が合った気がして息を飲んだ。
「私、貴方の事ずーっと待ってたんですよ?」
…何言ってるんだこいつ。
僕は何となく構えた。
だってこいつ、知らない人だ。気配もしなかった。
それに何で僕の名前を知っているのか。
「そんな緊張しなくて大丈夫ですよ。それより、時間が無いんです。落ち着いて聞いてください。」
そう言って男の人はゆったりと話し始めた。
「星咲りるるさん。貴方は今、特別な者だけが来られる『死後の世界』に居ます。貴方は死にました。何者かに刺されて。ただ、死因はそれではありません。」
全く理解が追い付かない。
特別な者?死後の世界?マジで何言ってんの?この人。
「貴方の死因は、貴方の守護対象である『夢咲まる』さん、『葉咲みな』さんが何者かに刺されたからです。そして、貴方の事は私が殺しました。」
「は?」
「誤解はしないでくださいね。まるさんとみなさんを殺したのは私ではありません。貴方の使命は、特定の時間までこの二人を死なないよう守り通す事。」
「ちょ、ちょっと待って。何言ってんのか全く分かんないんだけど。それに何?使命?て言うか、失敗したらどうなる訳…」
「輪廻転生します。」
輪廻転生…?
「失敗した場合、成功するまで輪廻を繰り返します。貴方がこれから目覚める時間まで。」
「いや待ってよ!!何で僕がそんな事しなきゃいけない訳―」
「おや、もう時間がありませんね。さて、頑張ってください。それではしばらくさようなら。」
そう言い終わると、空間が崩れ始めた。
僕は床と一緒に何処かへ落ちて行った。
胃が浮く。
重力が消えて、体が真っ逆さまに引きずられる。
咄嗟に男の人の方へ手を伸ばす。
でも、男の人は何も言わずに何もせずに見ているだけ。
崩れた床の瓦礫が上から降ってきた。
「…あ、やば―」
―。
アラームの音。
僕を1階から起こそうとするお母さんの声。
僕は自分の部屋のベッドの中で手を伸ばしながら目を覚ました。
はぁ…と溜息をついて、額に手を当てる。
「どうする事やら…」






