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15 - その視線の先に

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2025年05月14日

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第十五話:その視線の先に





その日、陽翔はいつも通り教室に入った。

でも、空気が……明らかに違っていた。


ざわっ


すれ違う誰かが、小さく笑いながら何かをひそひそと話してる。

その内容が、自分に向けられてるってことは、すぐにわかった。


「……おはよう」


声をかけても、返ってくるのは乾いた「あ、うん」だけ。

やけに視線が集まるのに、誰もちゃんとは目を合わせてこない。


胸がざわざわして、心臓がずっと落ち着かない。


そして休み時間、スマホに届いた1通のメッセージ。


「これってお前らじゃね?」

画像添付


添付された画像には、夕暮れの駅前。

真白が陽翔の頭を撫でながら、手を繋いで歩いている姿が、遠目から撮られていた。


──全部、バレた。



──放課後、誰もいない教室


陽翔は自分の机に突っ伏していた。

扉が開く音に顔を上げると、真白が立っていた。


「来るの早くない…?」


「お前の様子、心配だったからな」


真白は静かに近づいてきて、陽翔の机の前で膝をついた。


「…バレたな」


「うん。噂になってる。たぶん、明日には学年中に広がってる」


「……怖いか?」


陽翔は唇を噛み、しばらく何も言わなかった。

でも、小さく首を振って答えた。


「…ううん。怖いより、悔しい。

ちゃんと向き合ってるのに、知らない奴らに笑われるのが、すごく悔しい」


その言葉を聞いた真白は、ゆっくりと立ち上がり、教室の扉に近づいた。

そして、教室の外を歩いている生徒たちに聞こえるような声で、こう言った。


「俺が付き合ってんのは、陽翔だ」


「――!」


陽翔は驚いて立ち上がった。

真白は振り返って、堂々とした目で陽翔を見た。


「俺たちは、お互いちゃんと好きで、ちゃんと付き合ってる。

誰かに笑われるために一緒にいるんじゃねぇ。

笑う奴がいたら、俺が全部守る。陽翔をバカにする奴は、俺が許さねぇ」


廊下が一瞬しん…と静まりかえった。


でもそのあと、小さな拍手と「…かっけぇ」っていう声が聞こえた気がした。



──夕方、帰り道


陽翔は黙ったまま歩いていた。

でもその手は、真白の手を強く握って離さなかった。


「…先輩、あんなこと…よく言えたね」


「本当のことだし、俺、ずっと思ってた。

誰かの顔色気にしてお前と過ごすくらいなら、堂々と愛してるって言ってやりたかった」


「……ずるいよ、そんなの。カッコよすぎて、また惚れる」


「じゃあ、何回でも惚れ直して?」


陽翔は笑いながら、真白の肩に寄りかかった

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