テラーノベル
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コツ、コツ、コツ・・・
静かな空気を切り裂くように、固い靴音が薄暗い廊下に響く
並んだ二つの影からは、どことなく緊張感が漂っていた
無言のまま、重圧感がある木製の扉の前に立ち止まる
背が高い男が扉に手をかけて、声をかける
「・・・準備はいい?」
「・・・・・・うん」
ピンク色の髪の男は緊張しつつも、まっすぐ扉を見つめて答える
2人は手を繋いで、扉を開いた
夜の空を映す大きな窓に囲まれた室内には、赤い絨毯とキャンドルが先を誘うように置かれている
たどり着く先には白い祭壇が置かれていて、夜の景色と対照的に浮かび上がっていた
無人なのに、荘厳な雰囲気に2人は息を飲む
「・・・ホントに、こんな場所貸してくれるとは」
「友達に感謝しなきゃね」
真夜中11時、高層階にあるチャペルは眠りにつこうとする夜景に溶け込むように、キャンドルの光と温かみのある光が輝いていた
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2人だけで、永遠の愛を誓いたい
一緒に生活をし始めたものの、どこかで覚悟を決める機会がないかと、ずっと目黒は思っていた
だけど日中はやっぱり目立つし、海外に行くわけにはいかないしで、ズルズルと先延ばし状態になりつつある時にチャンスが巡ってきた
結婚雑誌のインタビューの仕事の時に訪れたのが、高層ビルの最上階にあるチャペルだった
ホテル併設のチャペルとは違ってこぢんまりしているが、大きな窓から見える空が印象的だった
高層階にあるメリットを見事に生かされていて、一面に広がる水平線がない景色を、目黒はずっと見ていたいと思った
そのチャペルの中で、インタビューを行う準備をしていた時だった
式場の担当者が挨拶に来て、顔を合わせると予想外の声がかかる
「あ、目黒だ」
「・・・え!?あっ!!」
清潔感のあるスーツに身を包んだ男は、目黒の顔を見てキョトンとした顔
よく見ると、高校時代のクラスメイトだったのだ
「今日のインタビューって、目黒だったのかよ」
「久しぶりだね、ここで働いてたの?」
「うん、一応、副支配人やってる」
「え、すげぇじゃん」
一連のやり取りを見て周囲はちょっと驚いていたが、目黒が気を悪くするような相手ではないとわかると空気が和んだ
準備が着々を進む中、2人は少しだけ懐かしい昔話や今の状況などを話題で盛り上がった
「俺、こないだ結婚して、もうすぐ子供が生まれるんだ」
「え、初めて知った」
「嫁がさ、人前で目立つのが苦手なタイプでね。だから結婚式も2人だけでやったんだよ、ここで」
「そんなことできるの?」
「ここ、式場だけで披露宴とかパーティができる場所はないからね。結構いるよ、ソロ婚の写真撮影とか」
「へぇ・・・」
「いろいろ対応しないと、やっていけないからね〜」
ヘラっと笑う同級生に、目黒は真剣な顔で問いかける
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#目黒蓮
machi
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「・・・あのさ、相談があるんだけど、」
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人目が気にならずに、2人だけで式をやりたい
秘密の相談に、かつての同級生は快く応じてくれた
特別に休日前の深夜の時間なら、人目を避けて静かで2人だけで過ごせるとアドバイスをもらって、目黒は速攻、佐久間に提案した
「大介、式しよう」
「へっ????」
突拍子もない提案に、佐久間は目を丸くした
真剣な目で迫ってくる目黒を落ち着かせて、訳を聞いた
「ずっと大介と一緒にいるために、誓いを立てる機会が欲しかった」
思ってもないことに佐久間は戸惑ったが、目黒の言葉が生半可な気持ちじゃないことがわかると、目に涙が溜まってきて俯いた
自分のことをこんなにも大切に想ってくれているのが、嬉しくて、言葉が出てこなかった
「・・・ごめんね、勝手に決めてきちゃって」
佐久間は俯いたまま、首を横に振った
「違うよ、嬉しいんだ」
「え?」
「蓮がそこまで考えてくれてたって、・・・なんか嬉しくて」
「大介・・・」
俯いたままの佐久間を目黒はそっと抱きしめて、ホッとしたように優しく微笑む
「ごめんね、遅くなっちゃったけど」
「ううん・・・、でさ、いつ?」
「今週の金曜の夜、オフでしょ?」
「は!?、おおおお、おまえ、今日、火曜だぞ!?」
あまりにもの展開の速さに、佐久間は卒倒しそうになる
普通こういうのって、時間をかけて準備していくものではなかったかな・・・?と、頭によぎっていた
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目黒は黒いタキシード、佐久間はグレーのタキシードを身につけて、チャペルに足を踏み入れる
式の前、佐久間はなにを勘違いしたのか「ドレスは嫌だ!」と言っていたが、目黒はそんなつもりは一つもなかったので、笑いを堪えることができなかった
「大介に女の子になって欲しいわけじゃないよ・・・、まぁドレスも似合うと思うけど」
「どういう意味だぁ!?」
「だって前にコスプレしてたじゃん、女の子の。結構、可愛かったし」
佐久間は言われて思い出した
マンガキャラのコスプレをやった時、ドレスじゃなかったけど、まぁまぁ女の子らしいフリフリの服を着ていた
我ながら、あの時のビジュアルのレベルは高かったと思ってはいた
「俺の横にいるのは、大介なんだから。大介らしい格好でいて」
そう言われて、真っ先に佐久間の目に留まったのがグレーのタキシードだった
仕事でも似た感じの衣装を着たことはあったが、黒よりも自分らしい感じがしてすぐに決まった
それに対して目黒が選んだのは黒
自分のカラーというのもあってか、親近感があってやっぱり落ち着くというのが決定打だった
「・・・さ、行こうか」
「うん・・・」
目黒は佐久間の手を握って、優しく声をかける
佐久間は繋いだ手から、少し緊張しているのに気づいた
誰もいない空間でも、雰囲気に飲まれそうになる
繋いだ手にそっと、もう片方の手を添えて佐久間は言った
「・・・大丈夫だよ」
その言葉に、目黒は佐久間の顔を見つめる
佐久間は優しい笑顔で言葉を続けた
「1人じゃないから・・・、一緒にいるから」
「・・・そうだね」
目黒も固くなりつつあった表情を少し綻ばせて答える
お互いに小さく頷いて、ゆっくり歩みを進め出した
祭壇の前に来て、目黒はジャケットの内ポケットから小さな箱を取り出す
「・・・なんだよ、こっそり用意してたのかよ」
「ふふ、黙っててごめんね」
小さな箱の中には、二つのリングが並んでいた
ゴールドとシルバーが、細い糸のように絡み合っている模様になっている
それぞれ一つずつ手に取って、お互いの左手を差し出した
ほぼ同時にリングを薬指に嵌めて、顔を上げて見つめ合う
「・・・神様に誓うんじゃなくてさ、蓮に誓うよ」
「ん?」
「この先、どんなことがあっても、オレは蓮の隣にいる」
「・・・・・・大介」
「ずっと、蓮のことを愛していくから」
暗闇の中で静かにゆらめくキャンドルの炎の光が、佐久間の目に溜まる涙に反射して輝いていた
目黒は佐久間の両腕を優しく掴んだ
「・・・ずるいよ、先に言うなんて」
「そこは先輩に譲れよ」
「俺も大介から離れないから、ずっと」
「・・・うん」
「愛してるよ、大介」
目黒はそっと佐久間にキスをした
都会の夜景の光と星だけが、2人だけの時間を見守るように輝いていた
コメント
8件
ロケーションを始め、すごく素敵なお話に引き込まれました。こういったお話を自分も思い描けるようになってみたいです。

初めてコメントさせて頂きます、2人の行く末を心配していたメンバーに挙式した報告も呼んでみたいです。