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「離婚して寂しいんじゃないのか」
ニヤニヤしていて、心配をしているという雰囲気ではない。
しかも、今このフロアには宇座課長と私の二人しかいなかった。
「いえ、そんなことはないです、それではお先に失礼します」
と言って録音しているのを悟られないように社内での持ち歩き用のトートバッグにスマホを入れると立ち上がった。
「アソコに蜘蛛の巣が張っているんじゃないのか、おれので払ってやろうか」
気持ち悪い
「結構です」
「多少薹が立ってるが、顔は悪くないからな。晩飯を奢ってやるから」
そんな暴言を吐きながら肩に手を置かれて背筋がゾゾゾゾゾと寒気が走った。
なんなの急に、とにかくかわさないとと思っていた時「奥山さーん」と大きな声を出しながら里中くんが朗らからに入ってきた。
「課長!お疲れ様です。奥山さんアガリですか?僕もです。Ryoの新作がSNSでアップされてるんですよ帰りながら見ましょう」
里中くんの背後に阿弥陀如来かと思うほどの後光がみえた。
「そうね。と、言うことですのでお先に失礼します」
そう言って二人でフロアから出ようとした時
「奥山、さっきのは冗談だからな本気にするなよ」という声が聞こえてチラリと課長を見ると醜悪な表情をしていた。
「里中くんありがとう、すごく助かったけど新人のあなたが変に悪目立ちするのは色々とマズいかも」
エレベーターを待っている里中くんが振り向いてニッコリと笑う。
「平気ですよ、てか冗談だからでなんでも済まそうとするところがヤバいですよね」
「あんな風にあからさまなセクハラは初めてかも、ってどこから聞いていたの」
「蜘蛛の巣あたりですかね、って僕の言葉じゃ無いですからね聞こえたままの言葉です」
恥ずかしくて全身が熱くなる。
「もう少しオブラートに包むとか、他の部分を引用するとか」
「おれので払ってやるですか?」
「最悪、どう言うつもりなんだろう」
エレベーターが到着して扉が開き誰も乗っていない箱に二人で乗り込む。
「フリーになったからじゃないですか?ヤレればラッキーあとは脅してなんとか〜って感じっすかね」
「向こうは家族がいるでしょ」
「奥山さんに旦那さんがいたらそっちから慰謝料請求されるかもしれないからとか?どっちにしてもゲッスーの考えていることはわかんないっす」
ウッザーとかゲッスーとか面白いけど、立場上乗っかっちゃダメよね。
「Ryoの新作って?」
「嘘です」
ちーーーーーん
エレベーターは1階に到着した。
「念のため駅まで一緒に行きましょう。てか、しばらくはウッザーに気をつけた方がいいですよ。ボイメモとか録ってます?」
「ええ、一応」
「ちゃんとバックアップとってくださいね」
バックアップ、たしかに今日のようなことがまたあるかもしれないしボイスレコーダーを別に購入した方がいいかもしれない。