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Suggested by Nisestnia on Pixiv
Reichtangle VS World!!!
Respecting Nisestnia
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「ふうー、もうこんな時間か……」
俺はドイツ。毎日朝の6時半ちょうどに起きて、太陽の光を浴びている。晴れていなかったらコーヒーを一杯飲む。今日は黒い雲が低く立ち込めていた。早速コーヒーを淹れようと一階に降りた。
棚から豆の入った袋を取り出して、俺はいつもの手順を踏む。朝に飲むコーヒーには砂糖もミルクもシロップも入れない、それが俺のやり方だ。ついでに簡単な朝食を準備してダイニングの椅子に腰掛け、ふと壁の肖像画に目をやる。
俺の家の壁には先祖の肖像画がある。神聖ローマ帝国、プロイセン、ドイツ帝国だ。父親のものは飾っていない。なぜなら彼はこの世に存在してはいけないから。考えただけでも吐き気がする。
そこで俺は異変に気がついた。ドイツ帝国の肖像画がおかしい。
昨日までの位置から若干ずれているし、第一顔が丸くない。長方形になっている。俺は幻視を疑ったが他のものは正常に見えているし、思い当たる原因もない。次に顔を入念に洗ってから再び肖像画を見た。やはりドイツ帝国の顔は長方形のままだ。
「一体どうなっているんだ……」
俺は朝食を放棄して考えた。誰かが家に入ってきていたずらで入れ替えたか? イタリアならやりかねないが、こんな肖像画はどこから調達してきたんだ。フランスに描いてもらったのかもしれない。俺は二人に電話をかけた。
「どいつ、どうしたの?」
イタリアがいつもの明るい声で答える。普段の俺ならうざったいとしか思わないだろうが、今は安堵すら覚えてしまう。俺はことの経緯を説明して、心当たりがないか尋ねた。
「え、知らないけど。フランスも最近は絵描いてないよ」
その言葉に、俺の安堵は一気に崩れ落ちた。入れ替えたにしろ俺の知らない誰かがやったことになるし、もし入れ替わっていないとしたら……?
そうだ、俺が寝ぼけていたんだ。そのせいでこの肖像画を購入し(もしくは誰かに描いてもらい)て飾ったんだ。そういうことにして俺は仕事に出かけた。
その判断が、間違いだった。
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