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水ねこ
この季節は異常気象というぐらいか、とても暑い。
廟堂の縁側にいても陽が差し込んで来るぐらいだ、顔が焼けてしまうような、眩しい陽の光。
スマホを触り、10回ガチャるのボタンをクリックする。また爆死だ。
そこで、ドタドタと聞き慣れた足音が聞こえてきた。
「マリちゃ〜ん!こんな暑い所にいたの?ねえ、今日どこかお出かけでもしない?」
聞き慣れた声。俺はすかさず答える。
「おいフサ、今日もかよ?せっかくの日曜日だってんのに、休ませてくれよ」
「え〜っなんで!動かないとデブになっちゃうよ!?マリちゃんのケチだなぁ」
「はぁ?ったく…しかたねぇな、今度の休みはせめて休ませろよ?」
「やった〜!マリちゃん大好き〜!」
フサがぎゅっと抱きついてくる。
俺の気も知らないで、こういう事をしてくる。
外に出る。さっきよりも日差しが酷くなった気がする。太陽がギラギラとしている。
「やっぱり最近あっついね…ここから降らないといけないの大変だなぁ」
「暑いから出かけるのやめたくなってきたか?」と少しからかってみる
「ち、違うし!!すごい暑いだけだから!!」
手をぶんぶん振り回し、ほっぺを膨らませる。いかにも怒ってるような顔。
子供が駄々をこねてるみたいだ。 こういう子供っぽい所も好きだ。
「ねえ、マリちゃん今日はどこ行く?俺はマスタベタウン行ってみたいなあ」
「フサが好きな所でいいわ、お前が出かけるって言ったんだからな。」
「いいの?ありがとう!」
しばらくしてから、マスタベタウンが見えてきた。
「わぁ、やっぱり人気な所だし、日中だからめっちゃ人いるね。」
町は観光客や買い物客で賑わっていた。やはり人気観光名所だからか。
「というか、なんでフサはマスタベタウンに来たんだ?」
「ここに売ってる、マスタベ団子って知ってる?」
名前は聞いた事がある。なんでもすごく美味しいんだとか。
「で、それを食いに来たって事か?」
「そう!!さっすがマリちゃん!」
そのマスタベ団子とやらが売ってる所に行ってみると、案の定、長蛇の列。
やはり人気なだけあるのだろうか。
「うげえ…こんな長い列並ぶのか?」
「並ぶに決まってるじゃん!大変だけど、それほど美味しいんだよ!」
自身満々に言う。こんな暑いのに客もよく並ぶなあと思う。
1時間後。やっと俺たちの番が来た。どれだけ汗をかいただろうか。熱中症になってもおかしくないんじゃないかと思うぐらい、体がとても熱っている。
「や…やっとだね…」
フサは疲れ切ったような声で俺に言う。
「ああ、だな。これで売り切れたりしてたら、台無しだぜ…」
「そ、そんな縁起の悪い事言わないでよ…」
ご注文は?と店員が聞いてくる。
「マスタベ団子2つください。」
「360ゲラです。」
フサがこっちを見てきた。俺は察する。こいつ俺に奢らせる気だ。
「…‥今度返せよ?」
「さっすがあ!もちろん!マリちゃんありがと〜☆」
「ったく仕方ねえなあ…」
俺はあまり金のない財布から 360ゲラを出す。
そしてマスタベ団子を受け取る。出来立てのようだ。
「俺三色団子なんて、久しぶりに食うな…」
「すごい美味しそうじゃない!?ね、マリちゃん、早く食べよ!」
店の近くにあったベンチに座り、一口食べてみる。
「ん…確かにうめぇな」
「へほー!?はっははらんだはいがはったへ〜」
「食ってからしゃべれっつーの…」
と、フサの口元を見てみる。団子の食いカスが付いていた。もっとゆっくり食えよと思いつつ、取ろうとする。
「フサ、こっち向け」
「んへ、なに?」
ふに、と指で取る。もったいないので、それを食べる。
「はは、うめえ」と笑いかける。
「え、あっ、付いてた?取ってくれてありがと…」
フサに目をやると、顔を真っ赤にしていた。
そうやって責められると弱くなるの好きだ、なんて
言えないよな。こんな事言ったら引かれてしまうよな。
心がぎゅっと締め付けられた感覚がした。
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