「聞いてない!」
「も、もしもし」
「千夏(ちなつ)?」
繋がった途端、鼓膜を震わせたのは予想通りの声だった。
……いや、少し違う。
電話越しだからか、いつもより佐伯の声が低く感じて、緊張が 煽(あお)られる。
「……なんで私の番号も知ってるの」
なるべく不機嫌な声を出せば、 佐伯 (さえき)は「今更?」とかすかに笑う。
私はぎゅっと目をつぶった。
あぁ、だめだその声。
耳の奥がくすぐったくなる。
「今更でも気になるの……! 私のアドレスも番号も、なんで知ってるのよ」
「さぁ? なんでだろうな」
尋ねても佐伯は取り合おうとしない。
でも文句を並べていないとドキドキがばれそうで、さらに言おうとした時、佐伯が遮った。
「それよりメール見た? あんたいつも返信しないから、電話したんだけど」
言われてはっとした。
そうだった、メール……!
「ちょ*********
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