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1人の少女が、何らかの原因で亡くなってしまったとする。
少女の肉体はボロボロであったが、少女の魂だけは、辛うじてそこから抜け出していた。
それを、1人の少年が”別のどこかに閉じ込めたとして。
_それは、生きていると言えるのだろうか?
少女が閉じ込められた魂として、魂の檻の中で形を保って生きていたとして_
_それは、少女にとって__幸せと言えるのだろうか?
___
「メテヲさん、何言ってるんですか…?私はこで確かに生きて……… 」
みぞれの反応をいにも返さず、メテヲは、続ける。
「ううん。」
「…きっと、自分でも薄々…気づいてるんじゃない?」
1つの静寂が、辺りを冷たくする。
みぞれは、腕は下ろしたまま、拳を強く握り込む。
「…私は信じません!!!」
冷たい静寂を、みぞれが大声で破壊した。
「わたしはそんな…そんなこと…!!!」
「私はレイマリさんから時計、貰いました!!」
「それで何度も、何度も何度も繰り返して、やり直して……!!!」
みぞれは無我夢中で否定した
「何度も…皆さんが居なくなっちゃうところ、見て…!!!」
泣きそうな目をするみぞれを、メテヲは正面から抱きしめた。
_双方から力が抜けて、床に座り込む
メテヲはみぞれの震える肩に頭を乗っける。
「ごめんね。」
「みぞれさん、本当にごめんね。」
メテヲは優しく、みぞれを慰める
「…ずっと苦しめて、本当にごめん。」
「…もう、苦しむところを見たくない、なんて勝手なことを思って、ごめんね。」
「_でも、でもね、もうみぞれさん、は…」
「もう、戻れない」
「……ひっぐ、うぅ、うぅ……」
みぞれは、涙をボロボロと流していた。
止まらない嗚咽が、みぞれの崩壊を確実に進めていることを実感させてしまった。
「…わた、わたし、わたし、」
「なんかいも、くりかえして、でも、みんなのこと、ぜったい助けられなくてぇえ…!!!」
メテヲは、みぞれから吐き出される苦しみを、ただ黙って寄り添い、聞き続ける。
「じぶんのむりょくさがにくくて…っいやで…!いやで…!!」
まるで思春期の子供の感情が爆発しきったかのように、みぞれは嗚咽しながらずっと泣き続けた。
「ぜったいたすけるって…いえもんさんとやくそく、したのに…っむりで!! 」
「とけいが…とけいがわたしをたすけてくれるんだ、って…」
メテヲに、涙を流し続けるみぞれの顔ははっきりと見えていた。
_おそらく、みぞれのループを、知ったからだろう。
メテヲの安心感は、本当に最年長なんだと思い出させてくれる。
___
みぞれの感情が落ち着いた頃、ただ静かに、ゆっくりとメテヲに体重を預けた。
メテヲはそれを難なく受け止め、しばらくこのままでいるうちに、みぞれは眠りに落ちてしまった。
すう、すうと寝息を立て始めたことに安心し、メテヲはみぞれをベッドへと運ぶ。
_まるで子供のようだった。
メテヲは眠るみぞれをしばらく見守っていると、コンコンと小さくノックする音が聞こえた。
メテヲがいいよ、と返すと、レイマリが入って来た。
「…これ、みぞれさんに渡してあげてください。 」
レイマリはそう言って、時計の入った小さな箱を手渡す。
「あー、みぞれさんが言ってた時計ってやつ?」
「…はい。」
「…動揺しない…ってことはさ、レイマリも_ループのこと知ってるんでしょ?」
「……」
レイマリはしばらく黙り込んだのち、観念したかのように答えた。
「…はい、知ってます。」
「…ごめん、なさい。」
メテヲは、黙り込んだ。
今自身を蝕む感情が__なんなのか分からなかった。
憤りや怒りか?それとも不安か?
_それとも、安心か?
メテヲには、この思いを言語化することが出来なかった。
最年長はただ、最年少を、複雑な目で見ていた。
「…私の、身勝手でした。」
_レイマリは語り出した。
「…この時計が過去に戻れる時計_って、私が買った時は気が付かなかったん…です。」
「…きれいで、宝石が輝いてて。」
「…針、合わせたら、使えるし…って。」
「骨董品屋の人から…こんな能力、説明すらされなくて…」
「…でも…事故、あったとき、もしかしたら、なにかあるかな、て…」
「もう、いやで…信じたくなくて…!!!」
「 針、もどしたんです…。」
「そしたら、頭、痛くなって…時間、が…: 」
「…でも…っう、でも…!!」
レイマリは腕で顔を覆い、涙で服を濡らしながらも必死に言葉を紡ぐ
「みぞれ、さんは、前日に…事故で…っう、亡くなって…」
レイマリは涙声であった。
必死に、呼吸をする。
過呼吸気味のレイマリに、メテヲはどうすればいいのか分からない様子だった。
「…レイマリ…なんで、みぞれさんを…助けようとしなかったの…?」
「ずっと…!ずっと苦しんでたんだろうよ、みぞれさん、は……!!」
「…メテヲは…っどうすればいいの……?」
その声は、ひどく掠れていた
誰かを悪いとすることは出来なかった。
「…レイマリ…ごめん、どうしたらいいのか分からない_」
「…ごめん、ごめん…今は、顔が見れない。」
「…泣きたいのに…」
「涙が…出てこないんだよ…」
「…わかり、ました。」
「…わたしも、今は…どう話したらいいのか、わかんなくて。」
「ごめんなさい…」
レイマリは俯くメテヲに背を向け、ふらふらと部屋を出る
メテヲはみぞれの眠る部屋に、1人残された。
「…」
「…ごめん。」
「強く言ったって…なにも変わらないのに…」
「この現状は…なにも…」
メテヲは、部屋の扉の前で崩れ落ち、両手を床につけただ静かに泣いていた。
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