「大丈夫?僕がキスしたこと・・・怒ってる?」
私は首を振った
「私ったら・・・矛盾した態度ばかりとってるわねごめんなさい・・」
「僕は鈴ちゃんが来てくれて嬉しいよ・・」
私はため息をつき、後悔をにじませた声で言った
「あなたは黙って見ているには素敵すぎるのよ・・・ 」
「そう思っていてくれているなら何も考えずに僕の彼女になってくれたらいいのに」
彼が優しい声で言った
彼の腕の中で私は笑い、でも涙が次から次へと溢れてくる
彼は私を胸に抱き寄せ優しく頭を撫でてくれた
二人の間にポポが挟まっているけどちっとも構わないと言う顔をしている
「きっとあなたの目には臆病者に見えるでしょうね、でも私は自分の限界を知っているの。あなたは私が何を経験してきたか知らないわ・・・前の夫のとの事で・・・今は男性とお付き合いすることは無理なの」
もう二度とセックスであんな思いはしたくない、自分の中に男性を受け入れた時のあの激痛をもう一度経験するなんて耐えられない
これが本音だった
でも男女が付き合うとなったら当然避けては通れない道だ
小学生じゃあるまいしお手手つないで・・・なんとかでは済まされない
「鈴ちゃんが何に怖がっているかちゃんと理解するつもりだよ・・・なぜ僕との関係もこんなに大変そうにしているかも、だからといって僕が君を好きなのを辞めるつもりはないよ」
彼の声が心地よく頭の上で響く、私はそっと瞼を閉じたまた涙が一粒頬に流れた
「必要なだけ時間をかければいいよ」
彼が決意を固めたように言った
「君の心の準備が出来きて決意が固まるまで僕は待つよ、ただ、今の自分の気持ちを伝えておきたかっただけなんだ」
正直この言葉はとても嬉しかった、しかし今はとてもじゃないが彼の目をみれなかった
「この先だって・・・私はあなたの望みを叶えられないかもしれないわ・・」
「そりゃ鈴ちゃんとそういう関係になれたらとても素敵だと思うよ・・・でもそれだけじゃないんだ、一緒にいること自体に意味があると僕は思うよ」
私はすっかり気持ちが高ぶっていた、心の中で恐れや好奇心がないまぜになってしかしこの状況を喜んでいる自分もいる
とっても素敵な彼の事はこんなに好きなのに、彼女になりたいのにセックスは出来ないなんて
複雑に絡み合った感情はとうてい解きほぐせない
「今はそれで我慢するよ・・・でもキスはさせてくれるよね? 」
「うん・・・・ 」
返事をしようとした途端彼にキスをされた、彼は強く私を抱いて優しいキスをした
なんて素敵な人・・・
出会えてよかったと胸がキュンとなった、できれば俊哉と出会う前の無傷の自分で出会いたかった
私は自分の心の準備ができるまで、セックスはしないという条件で柚彦君の彼女になった