テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
サメくん
870
「ただいま〜」
「おかえり優、遅かったね。」
「うん、明日は本番だから、みんな気合入れてたみたい。」
優が疲れたような声で返す。
すると、陽が少し強張った声で言う。
「優、少し話があります。リビングに来てくれる?」
優は何か大事な話しだと直感的に悟った。
「…うん。」
_______________
優は、ウィッグとカラコンを外し、陽の前に座った。
「…話って何?」
一瞬間が空いてから、陽が話す。
「そろそろ、優も落ち着いてきたから、今が話す時だって思ってね……小日向くんのことについて。」
優が目を見開く。
そして、恐る恐る聞く。
「……それって、プロデュ……小日向悠がプロデューサーを”辞めた”こと…について……?」
「……はい。」
優が食い入るように陽を問い詰める……数ヶ月前の優ならそうしただろう。しかし、今の優は陽を一心に見つめる。
「…小日向くんは、病院で…うつ病と診断されたの。それで退職届けを…」
優は一瞬言われたことに理解できなかった。
「……え?……でもプロデューサーはいつもにこにこしてて……、辛そうな顔なんて一度も……」
「……それは小日向くんが優のこと誰よりも大事に思ってるからだよ。」
「優のことが大好きだから、心配してほしくなかったんじゃないかな。」
優の目から涙がぼろぼろと出る。
「……でも、気づくべきだった!!……私、誰よりもプロデューサーのことが大事で大好きで、そして理解してたと………思ってた、。」
「…私、女優失格だ……。……相手の気持ちも理解できないなんて………、、。」
優が手で涙を拭く。それに対して、陽がハンカチを渡す。
優が深呼吸する。そして、心を落ち着かせ、優が陽に問う。
「…ごめん。急に泣いたりして…。……話の続きを聞かせて。…なんで、うつ病に……?」
「………それが、わからないの。」
「……え?」
「小日向くんは、うつ病と診断されたとだけ言って、他には何も言わなかったらしいの……。」
お茶の間に静寂が流れる。
すると、優がその静寂を断ち切る。
「……私、夢ノ咲に転校したいって言ったのは、気の迷いだった………。」
「 …ある噂で夢ノ咲にプロデュース科が新設されるって聞いたの。……だから私もしかしたら、プロデューサーがいるかもって………」
「でも、今考えたら、頭おかしいよね……。プロデューサーを辞職したのに、夢ノ咲にいたら、辻褄が合わないもんね……。……ほんと私、プロデューサーのことになるといつもこう。」
陽がふふっと静かに笑った。
「…そうだね。優は小日向くんのことになると、どこか抜けてるよね。いつもは器用なのに。 」
少しだけ温かい雰囲気になった。
「…話を戻すと、だから私、夢ノ咲に通ってる意味がないって分かってるのに……でも、私、Trickstarとあんずさんと出会ってから毎日が楽しい。……その気持ちが交錯し合ってどうしていいか昨日まで分からなかったけど」
優がはっきりとしたした声で言う。
「今、 夢ノ咲に通う理由ができたよ。」