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yn視点
「いやー、最近マジでにっしー可愛いんだよねー」
おさでいからこの言葉を聞いた俺は、心に何とも言えない冷たい塊がズンっとのしかかっていた。
すにすて㌠でのカメラ配信があった後、帰りたくないと駄々をこねた俺の彼氏、おさでいだけが俺の家に泊まることになっていた。
2人でカーペットの上にぴったりとくっついて座り、会話を挟みながら配信の感想をエゴサしていた。そんな時、突然おさでいがそんな言葉を発したのだ。
「え?急に?」
俺は出来るだけ気持ちを悟られないよう、半笑いでそう尋ねる。
「今日もだったけどさ、あのポンコツ具合が可愛いよね、にっしー」
俺も、気持ちは凄く分かる。あのクールなにっしーがたまに見せる天然には、俺には及ばないけど凄まじい可愛さがあると思う。
ただ、それ恋人の前で言う?
きっとおさでいのことだから悪気がある訳じゃないし、思ったことを言っただけなのだろう。切り抜きでも何度もにっしーが可愛いと話すおさでいは見たことあるし、それは全然耐えられる。でも流石に恋人との2人きりの時間に言われるのは話が違う。
「まぁ、そうだね」
俺は少し冷たく返事をしてしまった。
俺より可愛いなんて、思ってないよね?
ヤキモチやいた、なんて女々しいことは意地でも言えない。
でもやっぱり気づいてほしい、という期待を捨てきれずおさでいの腕をぎゅっと抱きしめた。
おさでいの肩が少し揺れる。目を大きく見開いた後、今度は逆にぎゅっと細めて俺との距離を更に詰めた。
「なーに?珍しいね、今日は甘えたなの?」
なんて、おさでいは猫でも相手にしているみたいな声で俺のことを見つめる。自分の身体があまりにも暑くて、おさでいから距離を取ろうとする。すると、肩に手を回されギュッと抱き寄せられる。
俺は仕方なく、自分の頭をおさでいの肩に預けた。仕方なくだからね、仕方なく。おさでいは嬉しそうにして俺の肩に置いた手に力を込めた。
イチャイチャしていても俺の気持ちは伝わらない。配信ではいつも言えることだけど、今日だけは少し勇気を出して言ってみた。
「俺の方が可愛いけどね、」
おさでいの喉がひゅっと鳴った。流石にちょっとキモかったかな?なんて反省していると、唐突に抱きしめられる。
「それはそうですわ!!やなとが世界一可愛いですよ!!」
おさでいの急に変わるテンションについて行けず、思わず笑みが溢れる。
「もうー!暑苦しいって!」
笑いながらおさでいの胸板を押し返す。
「やなと、今めっちゃ嬉しそうな顔してるのに?」
ニヤニヤしたおさでいにそう聞かれる。自分の気持ちが全部バレている様でむず痒い。
「そりゃ、彼氏から抱きつかれたら誰だって、、嬉しいでしょ?」
後半に行くにつれて声が出なくなっていった。おさでいの顔が見れない。
「今日なに!?やなとさん可愛すぎだよ?妬いちゃったの?」
なんて大きな手で頭を撫でられながら言われると、睨むくらいしか抵抗できなかった。
「ねぇ、キスしていい?」
真っ直ぐ見つめられ、おさでいにそう問われる。
俺は小さく頷いた後、目を瞑った。
俺の頭の上にあった手が後ろに降りてきて、頭の後ろでがっしりと固定される。
ギュッとおさでいの方へ寄せられ、そのまま部屋に小さな甘い水音が響いた。
――――――――――
os視点
やなとの家に泊まった朝、俺たち2人は飛び起きた。そう、寝坊したのである。その日の予定にはすとふぇすのリハが入っていた。起きた時にはもう、10分しか準備する時間がなく、昨日のイチャイチャはなんだったのかと思う程、忙しい朝だった。
なんとか時間に間に合い、青組での立ち位置の確認があった為、一旦やなととは別行動で動くことになった。
確認が終わった後、ころんくんに話しかけられた。
「おさでい、なんか今日めっちゃ元気じゃない?」
「そうっすか?」
自分ではそんなつもりなかったので驚いた。でも、心当たりはある。
「もしかしたら、昨日うちの猫が可愛かったからかもです」
昨日のやなとを思い浮かべながらそう言う。
「え?おさでいって猫飼ってるの?」
「飼ってませんよ?」
え?どーゆこと?なんでドヤ顔なの?なんて言うころんさんに笑顔で別れを告げ部屋を出た。
俺はやなとの姿を探した。
すぐにやなとの姿を見つけ、急いで駆け寄った。やなとの近くにはらおらおとにっしーもいた。にっしーがやなとの腰に手を回し、やなとも楽しそうに笑いかけている。
きっと、にっしーがやなとにセクハラっぽいことをしている「ノリ」なんだろうな。それはちゃんと分かっている。分かっているのに、気づいたら自分の頬の内側に噛み跡がついていた。
俺はやなとの体をぐいっと引っ張って自分の方に引き寄せた。
「ダメだよにっしー!やなとは俺のだからね!」
出来るだけわざとらしくなるように心掛けながらそう言った。
やなとは焦ったように、何かを訴えかけるような目でこちらを見つめる。
それもそのはず、俺とやなとが付き合っていることはメンバーには内緒にしているのだ。先程の「俺の」宣言で関係が周りにバレるんじゃないかとヒヤヒヤしているのだろう。でも、俺はやなとを誰にも取られたくなかった。
すると、にっしーは俺の発言が本当だとは夢にも思わず、ノリだと思ったのだろう。逆にやなとに近づき、俺の腕の中からやなとを引っ張り出した。
「えー、やなとは俺のだよね?」
いや!勝てないわ!!流石ASMR王。見事なイケボをやなとの耳元で囁いた。こんなんされたらリスナーちゃん何人か死んじゃうでしょ。
「めっちゃイケボ!」
やなとは笑いながらにっしーの腕の中に収まっている。
やなとがにっしー好きになっちゃったらどうしようと頭がぐるぐると回る。
「やだ!やだ!俺の!」
俺はそう言ってやなとの腕を引っ張る。やなとはやれやれという顔で、でも嬉しそうに俺の方を見てくれた。すると、
「にっしーダメだよー」
と、呆れた声のらおらおがにっしーを止めた。
らおらおは俺たちが付き合った次の日に、
「お前ら付き合ってるよね?」
なんて、勘だけで当ててきた、俺とやなとの関係を知っているたった1人の人間である。BLやってるだけあるなぁと感心もあるが、流石にちょっと怖かった。
そんならおらおもこういう時は本当に役に立つ。
「ごめんね!俺が連れてくから!」
そう言いながら、にっしーを引っ張ってどこかへ行ってしまった。その言い方だと流石ににっしーにバレちゃいそうだけど、まぁいっか!
「やなとー、何処にもいかないでね?」
そう言ってやなとをギュッと抱きしめる。するとやなとも優しく俺の背中に手を回し、トントンと叩いてくれた。
「行く訳ないでしょ」
耳を真っ赤にしながらそう言うやなとを見て、その可愛さに思わずキスをしそうになる。
「ちょ!ここ事務所!」
やなとのその声でハッとする。いつ誰がくるか分からない状況でやるのは流石に迂闊だったかもしれない。
「じゃ、手つなご?」
そう問いかけるとやなとは少し悩んだ後、まぁ手なら、なんて言ってそっと俺の手を握った。
「おさでいも結構ヤキモチ焼くよね?」
やなとが悪戯な顔でそう尋ねる。
「やなとも昨日焼いてたじゃん!」
不貞腐れるフリをしてそう言うとやなとは笑いながら俺を小突いた。
「ははっ、俺たち似たもの同士だね?」
「ね、ほんとに!」
「もう不安にさせないでね?」
やなとがしっかりと俺の目を見てそう聞いた。
「絶対させない、やなともね?」
「うん、もうさせない」
俺たちはお互いの手をぎゅっと固く握った。
まぁ、全然その後もお互いに嫉妬しまくりだった。
メンヘラ気質な俺たちには無理な約束だったのかもしれない。
おまけ
nsk視点
俺は何故からおに腕を引っ張られ、何処かに連れてかれていた。ようやく、止まったと思うとらおは不機嫌そうな顔で口を開いた。
「にっしー!なととでい、付き合ってるんよ!」
…………?
「え?それほんと?」
信じられなくて事実確認をする。
「ほんと!」
「え?もしかして俺、とんでもないことしてた?」
「そうだよ」
らおがやっと気づいたのか、と言う顔で頷く。
俺は自分の無能さに頭を抱えた。
すると、らおも少し不憫に思ったのか、俺の背中をトントンと叩き慰めてくれた。
「まぁ、にっしーはそこが可愛いよ」
コメント
2件
この作品好きです!!