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「ようこそ、僕の家へ」
どうやらここは、この人物の家らしい。
一人で住むには少し大きい気がするが……まぁ、オレが気にすることじゃない。
依頼は『この人と話をすること』……だけ。
話をするだけで良いのかと思ってしまう。それで何かを得られるのならまだ良いのだが。
だからまずは……この建物に入る。
なぜ依頼人はこの人と話をしてほしいのか。それを掴む事が出来たら一番良いだろう。
依頼されたことは言わないで、とは言われてないが言ってしまうとこの人は意識をしてしまうだろう。
この人はオレが来たことに不思議がっていたから、「なぜここに来たのか」……そう問われるだろう。
「……あの、中で話しませんか。迷惑じゃなかったらですけど」
そう彼に問うと、少し間が空いてから返事が返ってきた。
「良いとも。ここにお客が来ることは珍しいからね」
やっぱりここには人が来ていないみたいだ。
『初めてだ』とは言ってないから、人が来ることはあったという事だな。
ふと顔を上げると、彼と目が合った。
どうやら考え事をしているのが分かっていたらしく、待っていてくれたみたいだ。
「もう終わりました」と言うと、コクリと頷いて家の方に歩いていった。
オレも彼に案内され、家の中に入っていく。
家の中に入ると、どれも木でできた机や椅子などがあった。
机の上にはなにやら設計図のようなものがあり、機械などが机の横に置かれていた。
革製のソファには黒色の毛布が敷いてあり、瓶なども置かれていた。
これだけを見ると発明家にしか見えないが……彼が身に纏っている服は魔術師のような感じなので発明家と断定する事は出来ない。
……発明家だろうとオレには関係ないけどな。
2階へと上がる階段は部屋の奥の方にあり、そこにも色々な物が散らばっているのが見えた。
整理整頓が苦手なのだろうか。
「ここに座ってくれ。少々散らかっているが気にしないでね」
指を指している椅子にオレが座ると、彼も続いて椅子に座った。
「ねえ、どうして君はここに来たんだい?」
どうやって切り出そうかと考えていたら、彼が先に口を開いた。
どうして……。そうだな……。
「街から離れたところに人が住んでると聞いて」
「……それで気になって来た、というわけか」
「はい、そうです」
彼は「そうだな……」と何かを考えだした。
そして考えが決まったのか顔を上げて話し始めた。
「……僕はね」