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カメラ 畠山 里香


「それでは、岩見さんの遺体は? カメラや機械は? 地下は?」

「ええと……申し上げにくいのですが……焼け跡からは何も見つかりませんでしたよ。機械? そんな大掛かりなものや地下への階段やら……何もなかったんですよ。失礼ですが、頭を強く打たれたようですから、そして、大量のガソリンを嗅いだようですので、意識が酷く朦朧としていたんでしょう。そんな状態で、判断力などが鈍って……脱出することができて本当に良かったですね」

刑事さんからは単に異常者による放火による火災と聞かされていた。幸いにも私は犯人扱いはされていない。

ただ、何故? 異常者による犯行なのだろうか。それは、恐らくゴミ屋敷での怪事件と関わっているのだろう。だけど、私には何も知らされていなかった。

「あ、一ついいですか。こんなものを見つけましたよ。焼け跡から……。これがなんだかわかりますか?」

刑事さんは、手のひらサイズの透明なビニール袋に入っている血塗られた小さなネジを見せた。

「これは……何かのネジですか? 血がついていますね。でも、いいえ。よくわかりません」

「うん。なんだか、このネジだけが残っていまして」

「刑事さん。確かに大きな機械があったんです。それで……岩見さんが……」

刑事さんは途端に首をかしげた。

「少し待ってください。確かに機械はありませんでしたが、岩見さんは今、行方がわかりません。あなたと同じく攫われたのかも知れません」

あ、そうか! 誘拐と放火。刑事さんは、この事件を異常者によって岩見さんと私が、攫われ。その上、西村 研次郎の家に放火をしたとだけ見ているんだ。

「うーむ。機械ですか……。一体どんな機械があったんでしょうか? ふーむ、大型の工業機械? そんな大掛かりなものが? あ、でも意識が朦朧といしていたはずですが、出来事を明確に覚えていらっしゃる。うーん……わかりました。こちらでも調べてみます。警告テープの張られたエレベーターもです」

「ええ、本当にお願いします」

私は頭を下げていた。頼んでいたコーヒーがやっと届いた。コーヒーの香りが効いて、ある人のことが頭を過った。実際、信じられなかった。

「あと……ある人を探してほしいんです。その人が犯人のはずですが、生きているか死んでいるかだけでもいいんんです……彼女の名前は……」

私は見たことを全て話した。


そう……彼女のこと……西村 研次郎の娘のことまで……。

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