そんな私の言葉を聞き
「移動しようか?」
彼に手を引かれ、ソファに優しく押し倒される。
キスを交わしている間に、服の上から胸に優しく触れられた。
「あぁっ……!」
彼がそんなに強く触れたわけじゃないのに、声が抑えられない。
「服、邪魔。脱いで?」
彼に服を脱がされる。
どうかしてる。
どこかもわからないところで、こんなことしてるなんて。
彼もバッと上衣を脱いだ。
服の上からじゃわからなかったが、引き締まっている身体。
思わず腹部に触れてしまった。
「キレイな身体……」
私、なにを言ってるんだろう。
薬のせいで頭まで正常に働かなくなっちゃったの?
私の発言を聞き、フッと彼は笑った。
「なんだよ、それ」
あれっ?
笑うと意外と可愛いかも。目の錯覚?
「んっ……」
キスされながら、下着のホックを外された。
「恥ずかし……」
胸が露になる。
思わず手で胸を隠すと
「ダメ」
加賀宮さんに手を退けられ、胸の膨らみにチュッと軽くキスをされた。
「あっ……」
そのまま指先、舌で上半身を責められる。
私の喘ぐ声が室内に響く。
「もっと……。もっと声聞かせて?」
耳元で囁かれる。
「んんっ……あぁ!」
どうしてこんなに感じるの?
私の身体、どうなっちゃったの。
「もっ……ダメ……」
「何がダメなの?」
身体がおかしい。
気持ち良くて、小刻みに痙攣してる。
「イっちゃいそう……なの」
胸だけでイくなんて、今までの私からしたらありえない。
加賀宮さんは
「じゃあ、一回イっとくか?まだまだ続けるし」
「えっ?」
まだまだって。
こんなこと続けてたら本当に自分じゃなくなっちゃいそう。
「待っ……。あぁ……!」
彼に両胸を指と舌で責められ――。
「イっ……あっ!」
気持ちとは反対に、身体は絶頂を迎えてしまった。
ビクっと大きく痙攣した私を見て
「まずは一回目」
満足気に加賀宮さんはそう呟いた。
「休ませないから?」
そう言って、私の下半身に彼の手が伸びる。
「いやっ……」
彼の手を止めようとした。
でも言葉だけで身体が動かない。
「んんっ!」
彼の指先がショーツの中に入り、敏感になっている部分に触れた。
「美月。すげー濡れてるけど?」
それは自分でもわかっていた。
「もう。止めて。お願い……」
彼の指が動く。
「あっ……!」
さっきイったばかりなのに、彼の指が動くたびにまた身体が反応してる。
「んっ……んん」
「どうした?もう感じてんの?」
悶えている私を見て、彼は笑っている。
「そんなわけ……ない」
彼に屈しちゃいけない。
威嚇するように睨みながら必死で抵抗する。
「そっか。わかった」
加賀宮さんが私のそんな様子を見て、見下したかのような目をした。
次の瞬間
「ああっ!!」
彼の指が私の体内に入ってきた。
容赦なく出し入れされる。
「はっ……あぁ!」
その度に水音が室内に響いて、自分のだらしない身体に嫌気が差した。
「感じないんだろ?だったらこの音なに?」
返事ができない。
それどころかまた快楽に襲われていく。
止めてほしいのに、止めてほしくない。
「んっんん!」
どうしよう、また……。
身体が再度痙攣し始めた。
「イっ……」
また絶頂を迎えてしまうんじゃないかと思った時、急に加賀宮さんの手が止まった。
「ただイかせるのも面白くないから……。お願いして?俺に」
「なに……を?」
「イかせて欲しいって?」
そんなこと、言えるわけない。
言いたくもない。
「イヤ」
私の返答に
「素直に求めればいいのに」
冷たい目を向けられた。
その後の彼は悪魔のようだった。
責められ、絶頂を迎えようとすれば、止められる。
それを何度も繰り返された。
「んんっ……!」
頭の中が真っ白になる。
彼を求めているかのように、止められると身体が疼く。
もう……。ダメ。
「お願い……」
息を切らしながら、彼に伝えた。
「俺に何をお願いするの?」
わかってるクセに。
本当に性格の悪い人。
どうしてこんな人と出逢ってしまったんだろう。
「……してください」
欲求に耐えきれず、私は懇願してしまった。
「聞こえない」
加賀宮さんに冷たく言い放たれる。
「……。気持ち良く……してください」
感情がぐちゃぐちゃで、涙が零れた。
悔しい。恥ずかしい。
そんな私を見て
「その顔、ヤバい。もっと壊したくなる」
加賀宮さんがそう言った。
しかしそんな言葉とは裏腹に、私の頬に優しくチュッとキスしたかと思うと
「良く言えました」
頭を撫でられた。
そして――。
「あぁっ!」
彼によって二回目の絶頂を迎えてしまった。
その後の記憶は覚えていない。
目を覚ますと洋服を着て、そのままソファに横になっていた。
洋服、着せてくれたのかな。
上半身を起こし、辺りを見渡す。
時計を見ると、日付が変わっていた。
もうこんな時間!ヤバい!
近くに置いてあったバッグの中から携帯を取り出す。
画面を見るも、何の通知も来ていなかった。
孝介から連絡が来てない。良かった。
ふぅと肩の力を抜くと
「起きた?」
加賀宮さんがパソコンが置かれているデスクのイスに座り、腕組みをしながらこちらを見ている。
先程までの光景を思い出し、顔が熱くなる。
これは一夜限りの関係なんだ。
「私、帰ります」
もうこの人と関わりたくない、関わっちゃいけない。
バッグを持って立ち上がろうとした。
「あっ……」
足元がふらついた。
少し寝たとは言え、身体がまだ戻ってきていない。
前のめりに転倒しそうになったが
「無理するな」
加賀宮さんが両腕を出し、支えてくれた。
なに、この人。
さっきまであんなことしておいて、何がしたいの?
あれっ?なんで私もこの人に抱きついているの。
自然と彼の腰に手を回し、身体を預けていた。
薬の……。
Love Potionのせいで引き寄せられてる!?
「話がある。座って」
彼に言われ、もう一度ソファに座った。