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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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彼はソファ近くにある大きなオフィスチェアに座って足組みをしている。


「もっとイかせたかったけど、お前が限界そうだったから我慢した」

どういうこと?

「なにそれ?」

なんで私をそこまで……。


「契約を交わそう。お前がこれから俺のいうことを聞けば、今日のことは旦那にも黙っておいてやるよ?」


「はっ?」

彼は教えてもないのに私の名前を知っている。

旦那がいるってことは、さっきBARで話したこと。


どこまで私のことを知っているの?

揺さぶられて、こっちから墓穴を掘ることは避けなきゃ。


「あなたのいうことなんて聞けない。これ以上脅迫みたいなことをすれば、警察に相談するから」

私の言葉に彼はハハっと笑った。


「どうして警察に相談ができるんだ?さっきのことは、お互い合意の上での行為だろ?」


「何が合意よ!無理やりここに連れて来たのはあなたじゃない!私はあなたに襲われたようなもの……」


言い返そうと言葉を続けようとしたが、彼が携帯を取り出し、ある映像を見せてきた。


それは、さっきの私。

全裸に近い状態で写っていて――。


<聞こえない>


加賀宮さんの声がしたあと


<……。気持ち良く……してください>


ドクン、ドクン、ドクン。

鼓動が大きく鳴る。

さっき私が言ってしまった言葉。


「これが無理やりに見えるか?お前が俺に強請ってるじゃん」


録画……。いつから?

頭がパニックになる。


「これを旦那に見せれば、不貞行為の証拠になる。例えば、離婚する上でもお前が不利だ。しかも相手が九条グループの息子であれば、かなりの慰謝料になる」


私、そこまで詳しく加賀宮さんに話してない。

九条の名前も伝えてはいない。

この人、何者?

呼吸をして自分を落ち着かせる。


「あなた、何が目的なの?お金?お金だったら無いわ。私が夫の給料を管理しているわけでもないし、夫の会社にはノータッチだから何もわからない状態なの。横領しろって言われても私には無理だから」


はぁと溜め息をついたあと、彼は

「俺の目的は金じゃない」

そう言い切った。


お金じゃない?だったら何?何かの復讐?九条グループへの?

いや、孝介自身だって恨みを買いそうな人だし。


「お金じゃなかったら何が……」


「今は秘密。とりあえずお前が俺のいうことを聞けばいいんだよ。どうする?」


この映像を孝介が見たら、義父や義母が見たら……。

大変なことになる。

こんな嫁なんて必要ないと言われ、お父さんの会社との契約も切られて……。

お父さん、お母さん、弟にまで迷惑が……。

会社が潰れることで、従業員さんも……。


「わかった。私ができることなら……。あなたに従うから」

私の返答を聞き

「契約成立な?」

彼はそう言った。


その後は、彼が自宅近くまでタクシーで送ってくれた。

一人で帰れるって無理やり帰ろうとしたが

「命令」

その一言で行動を制限される。


車内は得に会話はなかった。

いろいろ聞きたいことがあったけど、彼は話してくれないだろうと思ったから。

私のことをどうして知っているのか。

彼がどういった人なのか、全くわからないまま帰宅する。


彼と連絡先を交換した。

何かあれば連絡をするとだけ言われ、彼と別れた。

ベッドにうつ伏せで倒れ混む。

「シャワー浴びなきゃ……」

せめて身体だけでも洗い流したいと浴室に向かう。


鏡に映った自分の姿を見る、ボディソープで身体を洗うと

「んっ……」

彼に触れられた感覚が甦って、身体が反応してしまう。

これも惚れ薬《Love Potion》の効果が切れたら治るよね……。

疼く感覚を一生懸命我慢し、布団へ入り、目を閉じる。


これから私の生活、どうなるんだろう。

不安を抱いたが、もう何も考えたくなかった。

身体も精神的に疲労していたため、私はすぐ眠りについてしまった。






―――・・・・・――――


<プルルルル……。プルルルル……>


何回かのコールの後

<はい>

深夜にも関わらず、亜蘭が電話に対応してくれた。


「ごめん。こんな時間に」


<いえ。大丈夫です>


「調べてほしいことがある」


彼女《美月》が居たソファーに座り、残っていた資料に目を通していた。


<九条美月のことですか?>


さすがだな。

俺が何を考えているのか、すぐ彼《亜蘭》にはわかってしまう。


「あぁ。あと……」


<九条孝介についても……ですよね?>


見透かされている。

「……。そう。頼む」


<わかりました>

返事をした亜蘭だったが

<あんなやり方で良かったんですか?《《Love Potion》》……。ただのカクテルですよ?媚薬とか惚れ薬とか……。そんな効能はありません。そんなファンシーなこと、よくあの場で思いつきましたね>


ふぅと彼《亜蘭》は電話越しに溜め息をついた。


「お前、会話聞いてたのかよ。変態だな。ま、必死だったからな。でも結果良かっただろ?相手だって信じたんだし」


<らしくありませんね。計画性が感じられません>


そう、俺らしくない。

いつもならもっと冷静でいられるのに。


<あんなやり方したら、彼女に嫌われるのは当然ですよ>


だよな。

《《また》》彼女に会えると思っていなかった。

このチャンスを逃したくないという気持ちが強すぎて……。


「俺は俺のやり方でなんとかする」

今はそれしか言えない。


<……。わかりました。ほどほどにしてくださいね。明日は大事な会議もありますし。ちゃんと事前に資料、読んでおいてくださいよ?あっ、あと……。時間外労働、ちゃんと支払ってくださいね。社長>


抜かりないな。

「わかった」

電話を切る。


あぁ、明日は経営者会議だったな。

ソファに横になり、天井を見上げる。

過眠して……。着替えに戻って、シャワー浴びて……。出勤だな。

自分の予定を確認し、目を閉じた。



――――・・・・・――――

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