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「そうだ、もう一つ嬉しいことがあるんだが、明日の土曜から華さんが旅行に出かけるそうなんだ」
「その話は、私も華さんから聞きました。お友達と旅行に出られるって。だけどそれが、嬉しいことって?」
今度は私が不思議にも感じて、彼に訊き返した。
「いや、嬉しくないか? 小さい頃、親が旅行でいない時って、何をして過ごそうかと、わくわくしただろう?」
目を輝かせて言う彼に、そういうことだったんだと納得をする。いつもは紳士的な彼が、たまに見せるこんな風に少年のような一面も大好きでと、微笑ましく思う。
「確かに子どもだった時には、親がいないとドキドキわくわくしましたけど、今はあの頃とは違い大人になっちゃいましたから」
さっき彼がそうしていたように、拳を口にあててふふっと笑う。
「いや大人になっても、やっぱり心踊るだろう? 明日は、華さんがいたらできないようなことを、二人でしようか」
まるで遠足前の子どもみたいに楽し気な彼を見ていたら、こっちまでなんだか楽しくなってくるようだった。