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今日もまた生きる。
目が覚めるのは、母の叫び声。
あの人はまた、母を傷つける。
毟る髪の毛は、抜けて、床に落ちる。
割れた皿の破片を、母は口に入れる。
切れた口が血だらけになり、
痛い、痛い、痛い、と掠れた声で言う。
あの人はもう家にいない。
それを認識する事が、母の精神安定に繋がる。
あの日の暮らしは、今は無い。
面影もない。
母さんは母さんでは無いし、
家族という形態も、見せかけになる。
母は臭い。
風呂に入ってないから、異臭がする。
母の歯は欠けている。
なにかの破片をいつも咀嚼するから、歯が割れる。
病院なんて、行けると思うか?
あの人がいる限り絶対にない。
最悪、食料には困らなかった。
カップラーメンが大量に重ねられている。
お湯を入れて、3分待つだけだ。
ちょー楽。
お昼ご飯を一緒に食べる、いや、食べさせている時の母とはたまに話す。
何言ってるか分からないけど、いつも笑う。
母との会話は楽しい。
あの人と違って、意味がわからないから。
だって、何を言ってるか分かったら、苦しいでしょ?
あと何日、この生活が続くのかな。
僕は食べ終わったカップラーメンのカップを放り投げる。
みんなこの生活は苦しいとか、おかしいとか、普通じゃないって思うかもしれない。けど、この生活だって、案外楽しいものだ。
外に出れないのは少し嫌だけど。
でも、みんなの生活と同じことが一つだけある。
それは、
今日も僕は生きている。