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今回も早めの投稿ありがとございます。 続き待ってます
ワンピースを着て保育士と歩き出す。
布おむつの大きな膨らみが歩きにくくいつものように歩けない。
(大丈夫よ、だれもオムツしてるなんておもわないから)
と言われても物心着いてから初めてのおむつで、しかも布おむつをあてたさゆりはヨチヨチと歩くことしかできなかった。
園舎から体育館に繋がる外の通路を進む。
春とはいってもまだまだ肌寒くワンピース一枚しか着ていないさゆりは体をブルブルとふるわせていた。
たいして長くない通路だか体育館までが果てしなく遠く感じる。
体育館の入口の前。
中から
(では、入社式は以上です、保育士の皆さんはこのまましばらくお待ちください)
アナウンスの声が聞こえた。
(式終わっちゃったね、来賓の方が出てくるから入るのは後にしましょ)
来た道を引き返す2人。
春の風は冷たくさゆりの体に襲いかかる。
(寒いね、ちょっと急ご!)
急に保育士に手を引っ張られ転びそうになる。
(早くして!来賓の方のご迷惑になるといけないから)
来た道を引き返すふたり。
なんとか園舎の方まで戻ってきた。
(今日は園舎内の案内があるんだけど、それよりもおむつの準備しましょ、園長先生に言ってくるわ)
さゆりひとりを残し、体育館の中に入っていく保育士。
(おむつの準備ってなに?園児のおむつってわざわざ買いに行ってるのかしら?)
帰ってきた保育士と一緒に来たのは園長で
(話は聞いたから一緒に買ってきなさい、サイズとか分からないでしょ)
サイズも何も分からないさゆりは
隣の保育士の方を見ていた。
(じゃあ行きましょ、今日は初日だから園から買ってくれるって)
保育士の車の助手席に座る。
(園からの経費で出してくれるって滅多にないことなの、よかったわね)
その言葉を聞いて少しピンときたさゆり。
(まさか私のおむつじゃないよね…待って!わたしオムツなんて要らない!)
頭の中で思っても言えるはずもなく、ただ動く車の窓から外を眺めていた。
着いたのは、やはりとゆうか赤ちゃん用品店で
(おいで、いくわよ)
おいでと言われても自分のおむつが買われてしまうのかと思うとすぐには車から降りれずにいた。
(早くして!保育園にもどらないといけないんだから!)
車から降り店内に連れていかれる。
いらっしゃいませ!
平日で人が少なく暇なのかすぐに店員が二人の近くに来て
店員(なにかお探しですか?よろしければご案内します)
保育士(紙おむつなんですけど、どこにありますか?)
オムツなんて言わないで!
顔をあからめるさゆり。
店員の後をついて行く2人。
赤ちゃん用品店なのですぐにそのコーナーに来て、
(彼女のおむつなんですけどサイズが分からなくて)
保育士と店員が話している間にも恥ずかしさのあまり下を向いて店員の顔を見れないさゆり。
だが少しだけ顔を上げるとたくさんの紙おむつが陳列されていてさゆりの羞恥心をかきたてた。
(彼女でしたらこのサイズかと)
見本に置いてあったおむつをさゆりの体にあててきた店員。
(やだ!やめて!)
言葉には出さなくても体が後ずさりをしていた。