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─兎赤エンド



どうしてこんな状況になったのか。

わかるようでわからない、考えるだけ無駄かと赤葦はため息をついた。

木兎の部屋で2人きり。

しかし、部屋の電気はついておらず薄暗い。

もっとおかしいのは床に座る赤葦の両手足が梟谷指定の青いネクタイで縛られているということ。

対する木兎はベットに腰をかけ赤葦を見下ろしていた。



ここ最近、機嫌が良くないな、とは思った。

大抵の事は寝て起きたら忘れるような人だからこんなことは珍しい。

そろそろ機嫌を治してもらおう、どうやって機嫌を取ろうかと考えてるうちに木兎さんの家について部屋に招き入れられた。

そして気づいたらこの有り様。

でも俺の手足に巻き付くネクタイが跡もつかないくらい緩く巻かれているところを見るとこれが本気じゃないことがわかる。

これが彼にとって、ただの監禁ごっこであるということが。

大方、先日俺が告白されたのが気に入らなかったんだろう…

必然的に上目遣いになりながら木兎さんを見つめて、俺は尋ねる。

「どういうつもりですか」

木兎さんの顔は暗くて良くは見えないけど 笑っていないように見えた。

「…赤葦、俺のものになってよ」

「俺はあなたのものですよ。どこにも行きませんよ。」

「そういうんじゃなくて!俺はッ…俺はお前の全部が欲しい。」

全部。

そう言う木兎さんの顔は真剣で。

俺はなんと返せばいいのか分からなかった。

「ねえ、赤葦。赤葦はなんで俺と付き合ってくれたの?お前黒尾が好きって言ってたじゃん。付き合う時だって俺のことが好きとは言ってなかった。…ホントは好きじゃない?」

「何言ってるんですか!好きです。好きに決まってるでしょう?」

「黒尾は?」

「そ、れは…前の話です。誰よりも一生懸命なあなたに惹かれたんです。」

「それじゃあ俺が1番じゃない!」

ガタンと音を立てて木兎さんが立ち上がった。

「赤葦が色んなやつに告られてんのもやだし、俺意外と仲良くなるのもやだ!」

「そ、んなこと…言われても」

「…重い?俺ってそんなに重い?」

当たり前だ。嫉妬して恋人を物理的に縛るやつが重くない訳がない。

まあ木兎さんの場合物理的の前から束縛は激しかったけど。

でも俺はそんなあなたでも愛します。愛しています。

さすがにこんなこと言えないし今言っても本気だとは思ってもらえなさそうだから言うつもりもないけど。

「俺、心配なの。どれだけ一緒にいてもGPSつけても、赤葦がどっか行っちゃうんじゃないかって…」

こんなに弱った木兎さんは初めて見た気がする。

俺はどこにも行きませんよ。あなたが望む限りずっと。そう伝えて抱きしめたくなったけど俺の手は残念ながら縛られていた。

せめて言葉だけでも…

「木兎さん、俺は…」

「でもさ!」

その瞬間、木兎さんの目つきが変わった。

「俺知ってるからね。赤葦のこと。」

ベットから降りた木兎さんは俺の前にしゃがみ込んだ。

「赤葦さ、さっきは誤魔化したけど黒尾のこと好きだろ?」

「ちッ…ちが…」

「黒尾だけじゃないよな。孤爪とかツッキーとか、あと…木葉とか?もしかしてバレー部の他の奴らも目つけてたりするの?」

「俺は、…」

「なに?言い訳があるなら言いなよ。否定しなくてもいいの?」

突然の図星と木兎さんの冷たい声。

木兎さんにバレていた…?

木兎さんはきっと失望したんだろう。

自分のことが好きだと言っていたくせに他の男にも気があった…って。

怖くて目を合わせることも出来なかった。

「モクヒは認めたもドーゼン!ってことでいい?」

違う。違くないけど違うんだ。

そんな、俺が何股もかけてたような言い方…

ちゃんと伝えなきゃ…でもどうやって?

実際、木兎さんが言ってることも思ってることもあながち間違ってないのでは?

そもそもこの状況を作り出したのは?

悪いのは全部____俺じゃないか。

「赤葦?なんで泣くの?」

自分勝手だとは思うし、本当に女々しい奴だと思う。

それでも、耐えられなかった。

木兎さんに失望された、嫌われた、捨てられる という現実に。

「俺ね、赤葦の泣き顔好き。」

木兎さんは俺の顔を片手で掴んで前を向かせた。

しかし俺がまだ目を合わせられずにいると、親指で俺の涙を横に伸ばしながらこう言った。

「そういえばあの時も泣いてたよな。俺がクラスの女子と付き合ってるって噂が流れた時。木葉に赤葦の泣き顔見られたのは嫌だったけど、理由が俺が浮気したと思ってってのが可愛くてすごい嬉しかったんだ。」

そうだ。あの時だった。

木兎さんが今までの人とは違う特別だってことに気づいたのは。

木兎さんの方が俺を試したあの時。

本当に俺の事を好きになってくれたんだと実感した。

俺が誘導できる、操れるような単純な人じゃなかった。

じゃあどこからが木兎さんの意思?

もしかしたら、もしかしたら…

そんな都合のいいことを考えてしまう。

「またごちゃごちゃ考えてる顔だな〜」

茶化すように言うと木兎さんは俺のほっぺたを引っ張った。

「赤葦はさ、セッターだし駆け引きとかダイスキじゃん?でもなぁ…相手が悪かったな!俺はエースだぞ!相手の戦術くらい読み取れるっつーの。」

「ぼ、木兎さ…」

「黒尾とか木葉とかを利用して俺を繋ぎ止めてたのも俺も利用して他の奴らと仲良くやってたのも気づいてたよ。それで…赤葦は何がしたかったの?」

木兎さんは真剣だった。

今木兎さんから逃げたらもう駄目だと思った。

たとえ嫌われても、軽蔑されても俺の本音で話さなきゃいけない。

「お、俺、俺は…愛されたかった、んです」

緊張とさっきまで泣いていたのもあって言葉が途切れ途切れになった。

「いっぱい、愛されてたくて…で、でも!誰でも、良かった訳ではないんです…信じてください…」

木兎さんは うん。うん。と相槌を打ちながら俺の言葉を聞いていた。

「俺が、木兎さんのこと好きだったから…あなたの性格を利用して、俺のこと好きになってくれたらいいなって…思って、それで」

「じゃあ俺より先に誰かが赤葦に好きって言ってたらそっちと付き合ってた?」

「…..」

そんなわけない、とは言えなかった。

だって少し前の俺なら多分…でも今なら分かる。俺は、

「俺には木兎さんしかいないです。こんなめんどくさい俺でも受け止めてくれるのは…木兎さんしか考えられないです。」

今までどれだけ愛されても、足りなかった。満たされなかった。

でも不思議なことに今は木兎さんの愛でお腹いっぱいだ。

これはきっと木兎さんの愛が重いから。俺のと釣り合うほどに…いや、それ以上かもしれない。

そう思うと多分、この人にも俺しかいない。俺にしか受け止めきれない。

「本当に?赤葦は俺以外いらない?」

「はい。木兎さんがいいです。」

「うれしい…赤葦、俺も赤葦しかいらない」

木兎さんはそう囁くと俺に巻かれたままのネクタイを解いた。

「ごめんな、痛くなかった?でも俺、どうしても赤葦の本音が聞きたかったからさ」

「痛くないです、こんなの全然」

「本当は赤葦に釣り合うのなんて俺しかいないって分かってたけど、やっぱ心配だし。赤葦の言葉で聞けてよかった。」

普段からは考えられないいたずらっぽい顔で笑う木兎さん。

この人には敵わない。

「ってことでさ!赤葦、ケータイ出して!」

「携帯ですか?」

「うん。俺以外の連絡先 全消しな!」

「えっ?」

「あ〜親はセーフでいいよ?」

「全部?」

「そう、全部」

やっぱり普通じゃない。

恋人の連絡先管理するのも、それに対して嬉しいと感じる俺も。

「でも部活の連絡とかありますし…」

「別に俺を通して連絡すればいいじゃん」

もっと俺に必死になってる木兎さんが見たくてわざと躊躇う素振りを見せる。

「それともやっぱり俺だけじゃ足りないの?」

「そんなわけないじゃないですか。じゃあ木兎さんが消してくださいよ。」

あなたが俺から木兎さん以外の選択肢を消して。なんてわがままが過ぎるだろうか。

「え〜ヤダ!赤葦が自分の意思で俺だけを選んでよ。」

どうやらもうとっくに俺の中には選択肢なんて存在しなかったようだ。

俺は操作し終わった携帯の画面を見せた。

「木兎さんだけですよ。」

アドレス帳も、愛しているのも。

二つの意味を含ませた言葉を木兎さんはどう受け取ったのかわからないけど、木兎さんは嬉しそうに抱きついてきた。

「あっそうだ。木兎さんもなるべく消してくださいね?必要最低限の連絡先だけでいいでしょ?」

さすがに木兎さんは部活関とかの連絡先を消す訳にはいかないけど、それ以外なら俺も望んでいいだろう。

だって木兎さんもこんなに嬉しそうにしてるし。

「もちろん!今すぐ消してやるよ!」

木兎さんはかなり連絡先の減った画面を見せると、俺にキスをした。

たったこれだけのことで相手が自分だけのものになったとは思わない。

けれど…


「なぁ、赤葦」「ねえ、木兎さん」


絶対に、



「もう逃がさないから」「もう逃げられないですね」




happy bokuaka end






赤葦くんは愛されたい

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コメント

3

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あぁぁぁぁあああああ…… 愛の重い兎赤最高すぎます……、、 他のエンドでもどうなるか尚更楽しみになりました、笑! 他のエンドも頑張ってくださいッ、!

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