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*授業中:* あ、シャーペン落としちゃった
っは、は、びっくりした。いや、びっくりしたのは彼か。ああ、ええと、今私がシャーペンを落としたら彼が、びくっと肩を跳ねさせた。そして、ぐりんと首を回してこっちを向いた。目を見開いた。シャーペンを凝視した。それから私を凝視した。こっちを見ないで、なんで?なんでだろう。見て欲しくない、いや、正直もうどうでもいいや。ジロジロ見られてるとシャーペン取りにくいじゃんと、思いながら下を向いてシャーペンを取る、取ろうとした。
彼が、彼の腕が、裂け、た。縦に。縦に?いや、よく見えなかったけどおそらく。裂け目から黒くてどろっとした、細い触手が生えてきた。1本、2本、5本、10本。某映画に出てくる巨大なダンゴムシを連想した。触手がするすると下に伸び、私のシャーペンを掴む。巻き込む感じに掴んだ。そして、それを持ち上げて、私に差し出した。
一瞬だった。
あ、あは、ごめんね、ありがとう。
私が手を差し出す。黒くてどろっとした触手が手のひらに触れる。粘液(?)が纏わりつく。冷たい。ぞくっとした。
手にかたい感触がした。触手が手のひらから離れる。手には、シャーペンがあった。彼の触手が、離れ、腕の裂け目にすいこまれる
そして、さも最初からなにも無かったかのように、黒板を向いた。
私の手のひらにはなぜか、さっきの粘液のようなものは残っていない
シャーペンにも。
でも、何かが残ってる
彼の、気配?不快感?違和感?そんなものがまだ手のひらに纏わりついてる
気持ち悪い、わけじゃない気がする。でも、ただただ不思議。
シャーペンを拾ってもらった、だけなのに。
く、喰われるかと、思った。
見慣れない触手に、きっと体が本能的にそう感じたのだろう
まだ少し、身体がこわばっている。気がする。
変な汗が、頬を伝う
あ、やば、ノート取らないと。