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紅葉@物語作成中
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柘榴とAI

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「アリス」
「やだやだっ、そんなもの持ってこないで。ぐっ」
私は吐き気を覚えて、その場に蹲った。胃液の逆流を必死に抑える。涙が滲んだ。だめ……吐くかも。
そう思った時、ポンと背中に手が置かれる。見えないけど、チェシャ猫の手だろう。その手が熱を帯びた気がした。同時に、ふっと吐き気が消え失せる。何? 今の。
「大丈夫だよ、アリス」
頭の上からチェシャ猫の声がした。
「大丈夫じゃないです……そんなもの持ってこないで……!」
蹲ったまま、腕を見ないようにして喚く。
「お食べ」
「はい?」
あまりにも唐突な言葉に、思わず顔を上げてしまった。黒色フードの男が千切れた白い腕を持って、ニンマリ笑う。腕からは赤い汁が滴っている。めまいがする。
「それを……食べろって……言ったの?」
「お食べ」
さあっと血の気が引いた。ついでに意識も遠のきそうになる。や、やっぱりおかしい。この人! 間違いなくおかしい! こういうのって、こういうのって……カニバリズムとかって……? いやだ。そんな趣味、私にはない!! 絶対にない!! に、逃げなきゃ……!
逃げようとしたものの、足が震えて力が入らない。ガクンと床に転がった。
「さあ」
チェシャ猫が、かがみ込んで白い腕を差し出す。いや!! 助けて、誰か!!
もがく私を、彼の手がやんわりと押さえつけた。
「美味しいよ」
「いやああっ! 離して!!」
必死で顔を背け、自由な右手でめちゃくちゃにチェシャ猫を叩く。
「何考えてるのよ! に、に、人間の腕を食べろだなんて!! しかもそんな子どもの……!」
そんな酷いこと、誰が……!
「ニンゲンじゃないよ」
パシパシと私に顔を叩かれながら、彼が言った。
「え……?」
思わず手を止めてチェシャ猫を見る。
「パンの腕だよ」
「パン? パンって……食べるパン?」
彼はニンマリ笑って、腕を差し出した。私は恐る恐る白い腕を見る。
ふっくらとした腕。関節にはシワがあって手相だってあるし、指先には爪が付いている。やっぱり本物じゃない! パンでこんなに上手に作れるわけないもの!
私は再び、ポカポカと彼を叩いた。
「ち、血だってついてるもん!」
チェシャ猫は肘関節より少し下で切られた腕の断面を、こちらに向ける。
「嫌! もういい、見せないで!」
目を瞑って顔を背けた。…………。うん? この匂いって……。
「パンの匂い……?」
香ばしい匂いに片目を開ける。目を開けると、鼻先に白い腕がしかも切断面が突き立てられていた。
「!!」
咄嗟に払い除けようとして、あることに気づく。
「あ、あれ……? 骨がない……」
腕の切断面から骨が見えない。普通骨がある部分には、赤いドロリとした液体が詰まっていた。艶やかな赤い液体には、黒いつぶつぶが混じっている。
「これ、血じゃなくて……ジャム? いちごジャム?」
落ち着いて断面をよく見れば、それは確かにパンだった。外見はまさに人間の腕なんだけど、中は小さな気泡がぎっしり詰まったパンだ。
「ほ、ほんとに……パンなの……」
「パンだよ」
「よ……よくできてるね」
蝋人形ならぬパンの人形館が作れそう。趣味悪いけど。
「お食べ」
「い、嫌だよ! いくらパンだってこんなの食べたくないよ。お腹空いてないし」
「…………」
少し黙った後、腕の肉もといパンをむしり取った。パンだとわかっていても、その光景にはゾクリとさせられる。チェシャ猫はパンを片手に、ニンマリした。
「?」
目にも止まらぬ早業っていうのは、まさにこの時に使うんだろう。私は一瞬、何が起きたのか分からなかった。口の中に捩じ込まれてーー。
「!!」
すかさず彼が私の口と鼻を片手で覆う。
「うーー!」
い、息ができない! 必死に暴れてみたけど、猫の手は一向に外れない。ほっそりしてるくせになんて力持ちなの!
「むーーーー!!」
く、苦しい! この人、私を殺す気!? とにかく息をしようと無我夢中だった私は、その物体を飲み込んでしまう。うぇ……飲んじゃった……。
私がパンを飲み込むのを確認すると、チェシャ猫はようやく手を離した。
「美味しいね」
「…………」
美味しい、美味しくないの問題じゃない。確かに甘くてクリームを練り込んだお菓子みたいで美味しかったけど、そういう問題じゃない! 酸味の効いた甘すぎないいちごジャムがよく合ってるとか、そういう問題でもない!!
「た、食べたくないって、私言ったのにーー!!」
猛然と抗議しかけた時、不意に眩暈がした。グラグラと世界が揺れ、平衡感覚を失う。ぐにゃりと景色が歪んで、その中のチェシャ猫の顔と歪んだ。ニンマリ笑顔がみるみる大きくなって、世界を覆っていく。ほら、人そっくりのパンなんて変なもの食べちゃったから……。
コメント
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うわ、やっぱりチェシャ猫、見た目通りの狂人だった……! "パンの腕"って聞いて一瞬ホッとしたけど、無理やり口にねじ込むのは暴力だよなあ。でも断面の描写が細かくて、いちごジャムが血に見える仕掛けに世界観の凝り方を感じた。アリスのパニックとチェシャ猫の飄々とした温度差が絶妙で、最後の眩暈の一文でまた次の展開が気になったよ。第5話が待ち遠しい!