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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第42話 〚計画が“見られている”と感じる回〛
――西園寺恒一視点――
おかしい。
——何かが。
修学旅行の話が出てから、
西園寺恒一の中では、
すべてが計算通りに進むはずだった。
班。
部屋。
時間。
(完璧だ)
澪が一人になる瞬間は、
必ずある。
その“一瞬”だけを、
拾えばいい。
——はずだった。
「……」
教室の隅。
誰にも気づかれない位置。
いつも通りの場所で、
西園寺は周囲を眺める。
澪は、笑っている。
海翔の隣で。
(……また、あいつか)
その瞬間。
——視線が、ぶつかった。
ほんの一瞬。
ほんの偶然。
でも、
海翔の目は、明確にこちらを捉えていた。
(……今のは)
すぐに逸らされた。
何事もなかったように。
(……気のせいか?)
西園寺は、
自分にそう言い聞かせた。
でも、
胸の奥がざわつく。
(なんで、今……)
それだけじゃない。
担任が、
この班をやたら確認してくる。
人数。
配置。
行動予定。
(今まで、こんなに見られたことはない)
——見られている。
その感覚が、
じわじわと背中に貼りつく。
(……いや、違う)
(俺は、何もしてない)
(まだ、だ)
なのに。
放課後、
澪が一人で教室を出た瞬間。
動こうとした——その時。
「西園寺」
担任の声。
「ちょっと、残れ」
(……っ)
心臓が、跳ねた。
(なんで、今)
ただの連絡事項。
それだけだ。
——それだけなのに。
(……計画が、ズレてる)
教室を出るとき、
廊下の先で。
海翔が、
澪の横に立っていた。
守るように。
当たり前みたいに。
(……邪魔だ)
でも。
その背中が、
ただの“偶然”には見えなかった。
(……あいつ、気づいてる?)
考えすぎだと、
頭では分かっている。
でも、
胸の奥が冷える。
(まだ、何もしてないのに)
(なのに、
もう“囲まれてる”気がする)
その夜。
布団に入っても、
眠れなかった。
海翔の視線。
担任の声。
教室の空気。
(……早めた方がいい?)
——いや。
(下手に動いたら、
本当に見られる)
初めて、
西園寺恒一は迷った。
計画が、
“完璧じゃなくなった”から。
(……誰かが、
俺を見てる)
その感覚だけが、
頭から離れなかった。