テラーノベル
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☀️スマホの着信音で目が覚める。
まだ外は薄暗い。
〇〇「……ん」
枕元のスマホを手探りで取る。
画面を見た瞬間、
一気に意識がはっきりする。
“上の方”
〇〇「……はい」
声を抑えて出る。
隣では北斗がまだ寝てる。
「例の件だが、状況の共有だけ」
低く、事務的な声。
〇〇「……はい」
「最近、目立った動きはない」
〇〇「……」
ほんの少しだけ、肩の力が抜ける。
「ただし警戒は継続」
〇〇「……はい」
「短時間の外出は許可する」
〇〇「……」
一瞬、言葉の意味を整理する。
「ただし単独は不可」
「必ず警備をつける」
〇〇「……警備付きで、ですね」
「そういうことだ」
淡々とした確認。
「移動ルート、滞在先は事前共有」
「スケジュールも細かく出してもらう」
〇〇「……了解です」
少し間。
「無理はするな。何かあればすぐ連絡」
〇〇「……はい」
通話が切れる。
静かな部屋に戻る。
スマホを見たまま、
小さく息を吐く。
(……落ち着いてはいるんだ)
でも完全に終わったわけじゃない。
むしろ、
“気を抜くな”っていう状態。
〇〇「……めんどくさい」
小さく呟く。
自由に動けるわけじゃない。
でも、完全に止められるわけでもない。
中途半端。
そのとき——
北斗「……朝から何」
寝ぼけた声。
〇〇「……ごめん、起こした?」
北斗「起きた」
目をこすりながら、
少しだけこっちを見る。
北斗「仕事?」
〇〇「うん」
少しだけ間を置いて、
〇〇「例の件」
北斗「……」
一瞬で空気が変わる。
北斗「どうなった」
〇〇「最近は動きないって」
北斗「……」
〇〇「だから短い外出はいいって」
北斗「へぇ」
〇〇「でも警備付き」
北斗「……そりゃそうだろ」
〇〇「まぁね」
少しだけ苦笑する。
〇〇「自由ってわけじゃない」
北斗「当たり前」
〇〇「わかってるけどさ」
ベッドの上で少しだけ膝を抱える。
〇〇「なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「普通に生活してるだけなのに」
〇〇「いちいち気にしなきゃいけないの、だるい」
北斗「……」
少しだけ沈黙。
北斗「じゃあ気にすんな」
〇〇「無理でしょ」
〇〇「警備つく時点で気にするわ」
北斗「……まぁな」
〇〇「でしょ」
少しだけ空気が緩む。
〇〇「でもまぁ」
〇〇「完全にダメじゃないだけマシか」
北斗「そう思っとけ」
〇〇「うん」
小さく頷く。
完全な安心じゃない。
でも、
昨日みたいな重さとも違う。
“続いてる現実”って感じ。
〇〇「……今日も仕事だし」
北斗「だな」
〇〇「とりあえず起きる」
北斗「……あと5分」
〇〇「無理」
〇〇「起きて」
北斗「……」
布団に潜り直そうとする。
〇〇「ほら」
軽く布団引っ張る。
北斗「うるさい」
〇〇「朝だから」
少しだけ笑う。
さっきまでの空気が、
少しずつ日常に戻っていく。
〇〇「ほら、起きて」
布団を軽く引っ張る。
北斗「……あと5分」
声がこもる。
〇〇「さっきもそれ言ってた」
北斗「気のせい」
〇〇「気のせいじゃない」
全然起きる気配ない。
〇〇「珍しくない?」
北斗「……なにが」
〇〇「こんな起きないの」
北斗「昨日遅かった」
〇〇「私もだけど」
北斗「……」
無視。
〇〇「ねぇ」
軽く肩つつく。
反応薄い。
〇〇「ほんとに起きないじゃん」
ちょっと面白くなってくる。
〇〇「北斗ー」
少しだけ顔覗き込む。
目、閉じたまま。
〇〇「……起きない」
少し考えて、
〇〇「……いいこと思いついた」
北斗「……やめろ」
まだ目閉じたままなのに返してくる。
〇〇「まだ何もしてないけど?」
北斗「その声がもうやるやつ」
〇〇「バレてる」
ちょっと笑う。
でもやめない。
〇〇「ねぇ、起きないとさ」
北斗「……」
〇〇「今日の朝ごはんなしね」
北斗「いらない」
即答。
〇〇「じゃあコーヒーもなし」
北斗「……」
一瞬だけ沈黙。
〇〇「ほら」
北斗「……あと3分」
〇〇「減った」
〇〇「じゃあ——」
布団を一気にめくる。
北斗「……寒っ」
〇〇「起きろ」
北斗「最悪」
目を細めてこっち見る。
〇〇「やっと起きた」
北斗「起こし方雑すぎだろ」
〇〇「起きない方が悪い」
北斗「……」
まだ完全に起きてない顔。
〇〇「ほら、早く」
北斗「……」
また横になろうとする。
〇〇「だめ」
今度は腕軽く引く。
北斗「……うるさい」
〇〇「知ってる」
ちょっと笑いながら言う。
北斗は小さくため息ついて、
やっと体を起こす。
北斗「……眠い」
〇〇「顔やばいよ」
北斗「ほっとけ」
〇〇「珍しいね、こんなだるそうなの」
北斗「珍しいって言うな」
〇〇「だってほんとに珍しい」
ちょっと楽しそうに言う。
北斗「……朝から元気だな」
〇〇「そっちが遅いだけ」
北斗「……やっぱ無理」
そう言って、もう一回布団を被る。
〇〇「え、戻るの?」
北斗「眠い」
完全にやる気ゼロ。
〇〇「起きたじゃん今」
北斗「気のせい」
〇〇「さっきもそれ言った」
返事なし。
もぞもぞ動いて、
完全に布団の中に潜る。
〇〇「……ほんとに起きない気だ」
少し考えて、
〇〇「じゃあいいや」
北斗「……」
反応なし。
〇〇「その代わり——」
ゆっくり近づく。
布団の端をちょっとだけめくる。
〇〇「こっちも入るね」
北斗「……は?」
中に潜り込む。
〇〇「寒いし」
北斗「出ろ」
〇〇「やだ」
そのまま距離が一気に近くなる。
北斗「……」
〇〇「起きないならさ」
北斗「……なんだよ」
〇〇「こうするしかないよね」
北斗「やめろ」
即警戒。
でも遅い。
〇〇「こちょこちょ」
脇あたりに手を入れる。
北斗「……っ、やめろって」
体が一瞬で反応する。
〇〇「起きたじゃん」
北斗「起きてない」
〇〇「起きてるって」
もう一回。
〇〇「こちょこちょ」
北斗「……っ、やめろ、ほんとに」
声に少し力が入る。
でも逃げ場ない。
布団の中。
〇〇「起きる?」
北斗「……起きる」
〇〇「ほんとに?」
北斗「起きるからやめろ」
〇〇「じゃあやめる」
手を引く。
少し間。
北斗がゆっくり布団から顔出す。
北斗「……最悪」
〇〇「起きたじゃん」
ちょっと得意げ。
北斗「朝から何してんだよ」
〇〇「起こしてあげてる」
北斗「やり方おかしい」
〇〇「効果あったからいいでしょ」
北斗「……」
ため息つきながら、
完全に起きる。
〇〇は少し笑って、
〇〇「ほら、準備して」
北斗「……はいはい」
北斗がようやく起き上がって準備し始める横で、
〇〇はやたら機嫌がいい。
〇〇「ねぇ聞いて」
北斗「……さっき聞いた」
〇〇「もう一回言う」
北斗「いらない」
〇〇「外出できるって」
北斗「知ってる」
〇〇「しかも短時間ならOK」
北斗「それも聞いた」
〇〇「やばくない?」
北斗「別に」
〇〇「え、テンション低」
北斗「警備付きだろ」
〇〇「まぁね」
〇〇「でもさ、完全NGじゃないだけで全然違う」
ちょっと弾む声。
クローゼット開けながら、
〇〇「何着ようかな」
北斗「仕事だろ」
〇〇「そうだけど」
〇〇「その前後でちょっと外出れるかもじゃん」
北斗「……」
興味なさそうに見えて、
一応聞いてる。
〇〇「久しぶりに普通に外出る感じ」
〇〇「なんかさ、ちょっと楽しみ」
北斗「警備ついてる時点で普通じゃないだろ」
〇〇「それはそうなんだけど!」
〇〇「気分の問題」
服を体に当ててみる。
〇〇「どっちがいいと思う?」
北斗「どっちでもいい」
〇〇「ちゃんと見て」
北斗「……右」
適当。
〇〇「絶対見てないじゃん」
北斗「見た」
〇〇「嘘」
でもちょっと笑う。
〇〇「まぁいいや」
右の服に決める。
〇〇「なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「ちょっと自由戻ってきた感じしない?」
北斗「気のせい」
〇〇「えー」
〇〇「ちょっとくらい言ってよ」
北斗「……まぁ」
少しだけ間。
北斗「前よりはマシなんじゃね」
〇〇「でしょ!」
すぐ乗る。
〇〇「それだけでだいぶ違う」
鏡見ながら髪整える。
〇〇「はぁ〜なんか久しぶりに気分いい」
北斗「単純」
〇〇「いいじゃん別に」
〇〇「ずっと制限されてたんだから」
北斗「まぁな」
〇〇「でしょ」
ちょっとだけ満足そうに笑う。
まだ完全に自由じゃない。
でも、
少しだけ“外に出れる”ってだけで、
こんなに気分変わるんだなって思う。
〇〇「今日終わったらどっか寄れるかな」
北斗「警備に聞け」
〇〇「現実的すぎ」
北斗「現実だろ」
〇〇「……でもちょっと楽しみ」
小さく呟く。
その声は、
昨日よりずっと軽かった。
キッチンからいい匂い。
〇〇「またちゃんと作ってるじゃん」
北斗「普通」
〇〇「朝からパスタじゃなくて安心した」
北斗「朝からは作らねぇよ」
〇〇「昨日作ってたじゃん」
北斗「昨日は夜だろ」
〇〇「はいはい」
テーブルに並べられた朝ごはん。
〇〇「いただきます」
北斗「どうぞ」
いつも通りのやりとり。
〇〇「……やっぱ美味しい」
北斗「毎回それ言うな」
〇〇「だってほんとだもん」
軽く笑う。
昨日までの重さが、
少し遠く感じる。
〇〇「今日さ」
北斗「ん」
〇〇「終わり早かったらちょっと外出れるかも」
北斗「警備つきでな」
〇〇「それ言わなくていい」
北斗「事実だろ」
〇〇「はいはい」
でも口元はちょっと緩んでる。
食べ終わって、準備。
〇〇「先行く?」
北斗「もう出る」
〇〇「りょーかい」
玄関へ。
北斗「鍵ちゃんとかけろよ」
〇〇「子どもじゃないんだけど」
北斗「一応な」
〇〇「はーい」
北斗が先に出ていく。
〇〇も少しして準備を終えて外へ。
外にはもう車。
でも——
〇〇「……あれ?」
いつものマネの車じゃない。
窓が開く。
風磨「おはよ」
〇〇「え、なんで風磨?」
風磨「マネ今日バタバタらしい」
〇〇「そうなんだ」
〇〇「っていうか普通に来るんだ」
風磨「たまたま近かったし」
〇〇「軽いな」
風磨「いいだろ別に」
〇〇「まぁいいけど」
助手席に乗る。
〇〇「おはよ」
風磨「おはよ」
車が走り出す。
風磨「今日どう?」
〇〇「ん?」
風磨「例の件」
〇〇「……あー」
少しだけ間。
〇〇「落ち着いてはいるって」
風磨「そうなんだ」
〇〇「短時間なら外出OKになった」
風磨「へぇ、よかったじゃん」
〇〇「でも警備付き」
風磨「まぁそりゃそうだろ」
〇〇「だよね」
少しだけ笑う。
風磨「無理すんなよ」
〇〇「してないよ」
風磨「ほんとか?」
〇〇「ほんとほんと」
窓の外を見ながら、
〇〇「……でもちょっと嬉しい」
ぽつり。
風磨「顔に出てる」
〇〇「出てる?」
風磨「うん」
〇〇「やば」
ちょっと笑う。
完全な自由じゃない。
でも、
こうやってまた動けるだけで、
少しだけ前に進んだ気がしてた。
ーーーーーーーーー
北斗side
楽屋。
ソファに座ってスマホをいじりながら、
なんとなく時間を潰す。
周りはいつも通り、
メンバーが好き勝手に喋ってる。
ジェシー「今日ちょっと静かじゃない?」
北斗「そうか?」
樹「いや変わんねぇだろ」
北斗「だよな」
軽く流す。
でも頭のどこかで、
朝の〇〇の顔が残ってる。
やたら機嫌よかったやつ。
慎太郎「北斗、なんかあった?」
北斗「別に」
慎太郎「絶対ある顔してる」
北斗「してない」
高地「最近どう?〇〇」
自然に名前が出る。
北斗「……まぁ普通」
樹「“普通”ってなんだよ」
北斗「落ち着いてはいる」
きょも「例の件?」
北斗「うん」
ジェシー「大丈夫なの?」
北斗「完全にじゃないけど」
少し間。
北斗「短時間なら外出OKになったらしい」
慎太郎「お、いいじゃん」
高地「ちょっと安心だね」
樹「でも条件付きだろ」
北斗「警備付き」
樹「だよな」
ジェシー「まぁそりゃそうか」
きょも「でも〇〇は嬉しいでしょ」
北斗「……めちゃくちゃ」
ぽつり。
慎太郎「じゃあいいじゃん」
北斗「……まぁな」
でも少しだけ続ける。
北斗「その分、ちょっとな」
樹「ほら出た」
北斗「違うって」
高地「どういう意味?」
北斗「いや」
少し考えて、
北斗「自由戻るとさ」
北斗「気も緩むだろ」
ジェシー「うん」
北斗「で、また何かあったら」
北斗「そのギャップきつい」
少しだけ空気が落ち着く。
高地「……あー」
樹「まぁわかる」
きょも「確かにね」
慎太郎「でも〇〇なら大丈夫そうだけどな」
北斗「……どうだろ」
小さく言う。
朝の〇〇の顔が浮かぶ。
嬉しそうで、
でも少し無理してる感じ。
高地「ちゃんと見てるね」
北斗「見てない」
即答。
樹「いや見てるだろ」
北斗「見てないって」
ジェシー「優しいね〜」
北斗「うるさい」
軽く返す。
でも否定しきれない空気。
高地「まぁでもさ」
北斗「ん?」
高地「そうやって気にしてくれる人が近くにいるのっていいことだよ」
北斗「……」
一瞬だけ言葉が止まる。
北斗「別に気にしてない」
樹「はい出ました」
慎太郎「一番気にしてるやつ」
北斗「してない」
そう言いながら、
スマホに視線落とす。
でも頭の中は、
ずっと〇〇のままだった。
樹「なぁ」
北斗「なに」
樹「どっか連れてってやれば?」
北斗「……は?」
一瞬で顔を上げる。
ジェシー「お、いいねそれ」
慎太郎「確かに」
きょも「気分転換になるしね」
高地「いいと思うけどな」
一気に乗っかる空気。
北斗「いや、無理だろ」
樹「なんで」
北斗「警備つくって言ってんだろ」
樹「じゃあそれ込みで」
北斗「めんどい」
即答。
樹「お前が一番めんどいって言うなよ」
慎太郎「でもさ、普通にいいじゃん」
ジェシー「うん、ちょっと外出るだけでも違うし」
北斗「……」
わかってる。
それくらい。
きょも「〇〇、喜びそう」
北斗「……」
朝の顔が浮かぶ。
あのテンション。
確実に喜ぶ。
でも——
北斗「……」
樹「ほら考えてる」
北斗「考えてない」
樹「いや考えてる顔」
北斗「違うって」
高地「でもタイミング的にはいいかもね」
高地「外出OKになったばっかりなら余計に」
北斗「……」
少しだけ黙る。
慎太郎「どこ行くか考えよーぜ」
ジェシー「カフェとか?」
樹「人多いとこはダメだろ」
きょも「じゃあ静かなとこ」
高地「夜とかもありじゃない?」
勝手に話が進んでいく。
北斗「……勝手に決めんな」
樹「じゃあ行くんだ」
北斗「行かねぇ」
樹「はい出た」
ジェシー「絶対行くやつ」
慎太郎「顔がもう行く顔」
北斗「行かねぇって」
でも、
少しだけ間が空く。
北斗「……」
樹「な?」
北斗「……」
ため息。
北斗「時間あったらな」
小さく呟く。
樹「はい決定〜」
北斗「決定じゃねぇよ」
でも完全否定もしない。
きょも「優しいね」
北斗「違う」
即返す。
高地「まぁでもいいと思うよ」
北斗「……」
スマホに視線落とす。
でも、
頭の中ではもう、
どこならいいか、
ちょっとだけ考え始めてた。
樹「でもさ」
北斗「なに」
樹「〇〇って一人で静かなとこ行くタイプじゃなくね?」
北斗「……まぁ」
ジェシー「あーわかる」
慎太郎「人といるの好きだよな」
きょも「にぎやかなとこ好きそう」
高地「でも人多すぎるのも危ないよね」
北斗「……そこ」
樹「だよな」
北斗「人いるとこは好きだけど」
北斗「変なの寄ってくるのは無理なやつだろ」
ジェシー「ナンパとか?」
北斗「嫌がる」
慎太郎「確かに」
きょも「想像つく」
高地「じゃあバランス難しいね」
樹「人はいるけど、ある程度コントロールできる場所」
ジェシー「なにそれ」
慎太郎「貸切とか?」
北斗「大げさすぎ」
樹「でもさ」
樹「例えばちょっとした集まりとかなら?」
きょも「知り合いだけの場とかね」
高地「安心できる環境で、人数もいる感じ」
北斗「……」
イメージする。
〇〇が楽しそうにしてる場面。
でも周りはちゃんと把握できる範囲。
北斗「……それならありかもな」
ぽつり。
樹「ほら」
ジェシー「乗ってきた」
北斗「乗ってない」
慎太郎「絶対考えてるじゃん」
北斗「……」
少しだけ黙る。
北斗「人いないと逆に暇って言いそうだしな」
きょも「言いそう」
高地「でも安心感は必要だよね」
北斗「……だな」
樹「じゃあ決まりじゃん」
北斗「決まってない」
ジェシー「でももうほぼ決まってる」
北斗「決まってないって」
でも、
頭の中ではだいぶ具体的になってきてる。
“人はいる”
“でも安全”
“〇〇が楽しめる”
北斗「……めんどくせぇ」
ぼそっと。
樹「それ考えてる時点で優しいんだよ」
北斗「違う」
即否定。
でも、
その否定もだいぶ弱かった。
慎太郎のスマホが震える。
慎太郎「ん?」
画面見て、
慎太郎「……あ、〇〇」
一瞬で全員の視線が集まる。
樹「タイミングよ」
ジェシー「噂をすれば」
慎太郎「出るわ」
電話に出る。
慎太郎「もしもしー?」
〇〇『もしもし?慎太郎?』
スピーカーにはしないけど、
声が少し漏れる距離。
慎太郎「どうした?」
〇〇『今大丈夫?』
慎太郎「大丈夫大丈夫」
〇〇『よかった』
少し明るい声。
朝のテンションのままっぽい。
樹「(めっちゃ元気じゃん)」
小声で北斗に言う。
北斗「……」
無視。
慎太郎「なんかあった?」
〇〇『いやさ、今日終わりちょっと時間ありそうで』
慎太郎「おー」
〇〇『どっか行こうかなって思ってるんだけどさ』
ジェシー「(ほら来た)」
慎太郎「いいじゃん」
〇〇『でも一人だとさすがに微妙じゃん?』
慎太郎「まぁな」
〇〇『だから誰か暇な人いないかなーって』
樹がニヤける。
樹「(完璧な流れ)」
北斗「……」
慎太郎「今みんないるけど」
〇〇『え、ほんと?』
慎太郎「SixTONES全員」
〇〇『じゃあさ!誰か来てよ』
ジェシー「(俺行くー)」
樹「(お前じゃない)」
きょも「(楽しそうだね)」
慎太郎「どこ行く予定?」
〇〇『まだ決めてないけど、ちょっと外出たいだけ』
〇〇『人いるとこがいいけど、あんまりガヤガヤしすぎないとこ』
高地「(さっき言ってたやつだ)」
慎太郎「なるほどね」
〇〇『無理ならいいけどさ』
〇〇『せっかくちょっと出れるし』
少しだけトーンが落ちる。
北斗「……」
樹が横目で見る。
樹「(ほら)」
慎太郎「んー」
わざと少し考えるフリして、
慎太郎「北斗が行くって」
北斗「は?」
即反応。
〇〇『え?ほんと?』
慎太郎「うん」
北斗「言ってねぇよ」
小声で突っ込む。
樹「いいじゃん」
ジェシー「決定〜」
慎太郎「ほら本人もいるよ」
スマホを北斗の方に差し出す。
北斗「……」
一瞬だけ止まる。
〇〇『北斗?』
その声で、
完全に逃げられなくなる。
北斗「……何」
〇〇『今日空いてる?』
まっすぐ。
迷いない聞き方。
北斗「……仕事次第」
〇〇『終わり次第でいいからさ』
〇〇『ちょっと付き合ってよ』
その一言。
北斗「……」
少しだけ間。
周りは完全にニヤニヤしてる。
樹「(ほら行け)」
北斗「……時間あればな」
〇〇『ほんと?』
北斗「……あぁ」
〇〇『やった』
声が一気に明るくなる。
〇〇『じゃあ終わったら連絡して!』
北斗「……わかった」
〇〇『ありがと』
その一言が、
やけに素直に響く。
通話が切れる。
沈黙——
からの、
樹「はい確定」
ジェシー「行くじゃん」
慎太郎「やさし〜」
北斗「うるさい」
でも、
完全に否定はしない。
北斗「……めんどくせぇ」
そう言いながら、
頭の中ではもう、
どこに連れてくか考え始めてた。
スマホを戻しかけたそのとき——
また着信。
慎太郎「……また〇〇」
樹「はや」
ジェシー「絶対なんか思いついた」
慎太郎「もしもし?」
〇〇『あ、ごめんもう一回!』
さっきよりテンション高い。
慎太郎「どうした?」
〇〇『やっぱさ、一人じゃもったいなくない?』
慎太郎「ん?」
〇〇『みんなで行こうよ』
一瞬で空気が変わる。
ジェシー「(きた)」
樹「(絶対そう言うと思った)」
慎太郎「みんなって?」
〇〇『SixTONESみんな』
ジェシー「(はい参加)」
北斗「……」
〇〇『せっかく外出れるし、普通に楽しみたい』
その言い方が、やけに素直で。
高地「(いいじゃん)」
きょも「(楽しそうだね)」
慎太郎「急だな」
〇〇『だってさ』
少しだけ間。
〇〇『一人で静かにとかじゃなくてさ』
〇〇『普通にわちゃわちゃしたい』
ジェシー「(かわいい)」
樹「(完全に通常運転)」
慎太郎「まぁ〇〇っぽいな」
〇〇『でね!』
さらにテンション上がる。
〇〇『香水買いたいの』
ジェシー「(急にかわいい話きた)」
樹「(理由それかよ)」
慎太郎「香水?」
〇〇『そう!新しいの欲しくて』
〇〇『大人っぽいやつ』
きょも「(役の影響かな)」
高地「(ありそう)」
慎太郎「なるほどね」
〇〇『だから一緒に選んでほしい』
ジェシー「(行くしかないじゃん)」
樹「(完全に決まり)」
慎太郎「どうする?みんな」
ジェシー「行く!」
高地「俺もいいよ」
きょも「楽しそう」
樹「まぁ暇だし」
慎太郎「ほぼ決まりじゃん」
〇〇『ほんと!?』
声が一気に明るくなる。
慎太郎「ただ警備どうすんの」
〇〇『そこはもう手配されてる』
樹「さすが」
〇〇『だから大丈夫』
〇〇『お願い』
ちょっとだけトーン落とす。
北斗の方を見る慎太郎。
慎太郎「……北斗は?」
全員の視線。
北斗「……」
少しだけ間。
〇〇『北斗も来て』
その一言。
まっすぐ。
北斗「……行けたらな」
樹「はい来るやつ」
北斗「うるさい」
〇〇『絶対来て』
軽く笑いながら言う。
〇〇『香水、一番ちゃんと選びそうだし』
ジェシー「(確かに)」
慎太郎「(わかる)」
北斗「……知らねぇよ」
でも完全拒否じゃない。
〇〇『じゃあ決まりね!』
慎太郎「強引だな」
〇〇『いいじゃん』
〇〇『久しぶりに楽しみたいの』
その一言で、
誰も何も言えなくなる。
慎太郎「……りょーかい」
〇〇『あとで時間送るね!』
通話が切れる。
数秒の沈黙。
ジェシー「楽しそう」
高地「いいねこういうの」
きょも「〇〇らしい」
樹「完全に巻き込まれたな」
慎太郎「でも行くだろ?」
北斗「……」
スマホ見ながら、
小さく息吐く。
北斗「……めんどくせぇ」
樹「はい来る」
北斗「うるさい」
でも——
少しだけ口元が緩んでた。
ーーーーーーーーー
20:00
車の中。
エンジンはついたまま、
外には警備の人たち。
少し離れた位置で周囲を確認してる。
〇〇は後部座席で、
スマホを何度も見てる。
〇〇「……まだかな」
時間はもう過ぎてる。
わかってる。
仕事終わりだし多少はズレる。
でも——
〇〇「……遅い」
小さく呟く。
マネ「もうすぐじゃない?」
運転席から軽く声。
〇〇「だといいけど」
スマホをまた見る。
既読はついてる。
“今向かってる”
それだけ。
〇〇「……ほんとに来るよね」
ぽつり。
マネ「来るでしょ」
〇〇「だよね」
言いながらも、
少しだけ不安。
(もし来なかったらどうしよ)
自分から誘っておいて、
変なこと考える。
〇〇「……」
窓の外を見る。
人の気配はあるけど、
近づいてくる人はいない。
警備がしっかりしてるから。
〇〇「……なんか変な感じ」
マネ「なにが」
〇〇「外出れるの久しぶりすぎて」
マネ「まぁね」
〇〇「しかもみんなでとか」
マネ「楽しそうじゃん」
〇〇「うん」
小さく頷く。
〇〇「めっちゃ楽しみ」
正直な気持ち。
でも同時に、
少しだけ落ち着かない。
(ちゃんと普通に過ごせるかな)
警備もあるし、
周りの目もある。
でも——
〇〇「……楽しみたいな」
ぽつり。
スマホが震える。
画面を見る。
“着いた”
〇〇「……!」
一気に顔が上がる。
〇〇「来た」
マネ「早」
〇〇「降りていい?」
マネ「ちょっと待って、確認する」
外の警備とやりとり。
数秒の間がやけに長い。
マネ「OK」
〇〇「よし」
ドアに手をかける。
一瞬だけ止まる。
(……大丈夫)
小さく息を吸って、
ドアを開ける。
外の空気。
少しひんやりしてて、
でも——
久しぶりに感じる“自由”の匂いだった。
ドアを開けて外に出る。
視線を上げた瞬間——
〇〇「……え」
思わず止まる。
そこにいたのは、
北斗だけじゃない。
樹「おつかれー」
ジェシー「久しぶりじゃんこういうの!」
慎太郎「テンション高いな」
きょも「こんばんは」
高地「大丈夫そう?」
SixTONES、全員。
〇〇「……え、ちょっと待って」
一瞬フリーズ。
〇〇「ほんとにみんな来たの?」
樹「来たけど」
ジェシー「呼んだのそっちでしょ」
〇〇「いや、呼んだけどさ!」
〇〇「ほんとに来ると思ってなかった」
慎太郎「失礼だな」
〇〇「だって普通誰かしら断るじゃん!」
きょも「断らないよ」
高地「楽しそうだったしね」
〇〇「……」
一瞬、言葉が詰まる。
でもすぐ——
〇〇「……めっちゃ嬉しいんだけど」
素直に出る。
ジェシー「ほら〜」
樹「顔に出てる」
〇〇「うるさい」
でも笑ってる。
北斗は少し後ろで、
その様子見てる。
〇〇「ありがとう、ほんと」
慎太郎「どういたしまして」
〇〇「じゃあさ!」
一気にテンション上がる。
〇〇「まず香水!」
ジェシー「目的それね」
〇〇「そう!」
樹「ブレないな」
〇〇「大人っぽいやつ欲しいの」
きょも「役の?」
〇〇「そう」
高地「いいじゃん」
〇〇「一緒に選んで」
ジェシー「任せて」
樹「絶対適当言うだろお前」
慎太郎「俺はちゃんとやる」
〇〇「ほんと?」
慎太郎「多分」
〇〇「不安」
笑いが広がる。
その空気が、
すごく“普通”で。
〇〇「……」
一瞬だけ、北斗を見る。
北斗と目が合う。
〇〇「来てくれたんだ」
小さく言う。
北斗「……まぁな」
短い返事。
でもそれで十分だった。
〇〇「よし!」
手を軽く叩く。
〇〇「行こ!」
警備が周りを確認して、
動き出す。
SixTONESと〇〇。
少し目立つ集団。
でも今は、
そんなことどうでもよくて。
久しぶりの“みんなで外出”。
その時間が、
思った以上に楽しみだった。
店内。
広くて、落ち着いた雰囲気。
香水の棚がずらっと並んでて、
〇〇「やば、めっちゃある」
思わず声が漏れる。
ジェシー「テンション上がってるね」
〇〇「上がるでしょこれは」
慎太郎「全部試す気?」
〇〇「気持ちはね」
樹「絶対終わらんやつ」
きょも「どんなの探してるの?」
〇〇「大人っぽくて、ちょっと色気ある感じ」
高地「難しいな」
ジェシー「任せて」
樹「不安すぎる」
笑いながら、それぞれ少しずつ動く。
〇〇は気づかないまま、
〇〇「これどうかな」
テスターを手に取る。
振り返ると——
〇〇「……あれ?」
さっきまでいたはずのメンバーがいない。
少し離れたところに見えるけど、
完全にバラけてる。
〇〇「みんな自由すぎない?」
北斗「いつもだろ」
〇〇「まぁね」
特に深く考えず、すぐ戻る。
〇〇「じゃあいいや」
〇〇「手伝って」
北斗「なんで俺」
〇〇「近くにいるから」
シンプルな理由。
北斗「……」
小さくため息つきながらも動く。
〇〇はテスターを手に取って、くんっと軽く香りを確かめる。
〇〇「……あ、これ好きかも」
少しだけ表情が緩む。
北斗「それ甘いやつだろ」
〇〇「うん」
即答。
〇〇「やっぱ落ち着くんだよね」
北斗「いつもそれだな」
〇〇「だって好きだもん」
でも——
少しだけ考える顔。
〇〇「……でもさ」
北斗「ん」
〇〇「今回の役、こういうのじゃないんだよね」
北斗「……」
〇〇「もっとさ」
〇〇「大人っていうか」
〇〇「余裕ある感じっていうか」
言いながら、さっき北斗が選んだ香水に視線が戻る。
〇〇「……こっちなんだよね、多分」
北斗「だろうな」
〇〇「でもさ」
〇〇「正直あんま得意じゃない」
少しだけ苦笑い。
北斗「知ってる」
〇〇「でしょ」
〇〇「なんか背伸びしてる感じする」
北斗「……」
北斗はそのまま一本手に取る。
さっきのとはまた少し違うやつ。
北斗「これ」
〇〇「また?」
北斗「いいから」
軽く差し出す。
〇〇は手首につける。
〇〇「……」
一瞬、静かになる。
さっきの甘さとは全然違う。
少しだけ苦くて、
でも後から柔らかく残る感じ。
〇〇「……あ」
北斗「どう」
〇〇「……いいかも」
小さく呟く。
〇〇「大人っぽいけど」
〇〇「キツすぎない」
北斗「だろ」
〇〇「これならいける気がする」
もう一度香りを確かめる。
〇〇「なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「ちゃんと役に入れる感じする」
北斗「……」
その言葉に少しだけ反応する。
〇〇「いつもの自分と違うけど」
〇〇「無理してる感じじゃない」
北斗「それでいいんだろ」
〇〇「うん」
少しだけ嬉しそうに笑う。
〇〇「ありがと」
北斗「別に」
そっけない返事。
でも、
ちゃんと〇〇の“好き”と“役”の間を考えて選んでる。
〇〇「これにしよっかな」
北斗「好きにすれば」
〇〇「うん」
頷きながらも、
もう一度だけ香りを確かめる。
甘いのが好きな自分と、
今求められてる自分。
その間を、
少しだけ埋めてくれる香りだった。
会計を済ませて、
役用の香水はひとまず決まり。
〇〇「よし」
小さく満足そうに息を吐く。
でもすぐに——
〇〇「……で」
北斗「ん」
〇〇「次」
北斗「まだあるのかよ」
〇〇「あるに決まってるじゃん」
即答。
〇〇「今度はプライベート用」
北斗「……」
〇〇「これはちゃんと選ぶ」
〇〇「妥協なし」
さっきより少し真剣な顔。
北斗「さっきも選んでただろ」
〇〇「さっきは“役”」
〇〇「今回は“私”」
その言い方が、少しだけ違う。
〇〇「絶対変なの買いたくない」
北斗「……知らねぇよ」
でも離れない。
〇〇はゆっくり棚を見ていく。
さっきみたいにテンポよくじゃなくて、
一つ一つ確かめる。
〇〇「……」
テスターを手に取って、
軽く香りをのせる。
目を閉じて確認。
〇〇「……うーん」
首をかしげる。
北斗「どう」
〇〇「悪くないけど違う」
北斗「ふーん」
また次。
〇〇「これも好き」
〇〇「でもちょっと軽い」
北斗「注文多いな」
〇〇「当たり前」
〇〇「毎日使うんだよ?」
北斗「……」
確かに。
〇〇はもう一度別のを試す。
〇〇「……これ」
少し止まる。
北斗「どう」
〇〇「甘い」
北斗「またそれか」
〇〇「でもね」
〇〇「さっきのよりちょっと落ち着いてる」
もう一度確認する。
〇〇「ちゃんと甘いのに」
〇〇「子どもっぽくない」
北斗「……」
北斗も少しだけ近づく。
香りを確かめる。
距離が自然に近い。
北斗「……まぁ、いいんじゃね」
〇〇「ほんと?」
北斗「お前っぽい」
〇〇「……」
その一言で、
少しだけ表情が変わる。
〇〇「それ大事」
ぽつり。
〇〇「“私っぽい”ってやつ」
北斗「さっきも言っただろ」
〇〇「うん」
でも今回は意味が違う。
〇〇「役じゃなくてさ」
〇〇「ちゃんと自分でいたい時のやつ」
北斗「……」
〇〇「これなら」
〇〇「気分上がりそう」
少しだけ笑う。
北斗「ならそれにしろよ」
〇〇「うん」
でもすぐには決めない。
もう一回、
別のも試す。
〇〇「……やっぱ違う」
北斗「優柔不断」
〇〇「大事なの」
〇〇「絶対後悔したくない」
真剣。
さっきよりずっと。
〇〇「……」
最後にもう一度、
さっきの香りを確かめる。
〇〇「……これだ」
小さく頷く。
北斗「決まった?」
〇〇「うん」
〇〇「これは私用」
北斗「はいはい」
〇〇「ちゃんと好き」
その言葉はシンプルだけど、
さっきよりずっとまっすぐだった。
ーーーーーーーーー
北斗side
店内の灯りがやわらかく落ちてる。
北斗は少し離れた位置から、〇〇を見てた。
棚の前で、
真剣に香水を選んでる横顔。
さっきまでのわちゃわちゃした感じじゃなくて、
仕事の時とも違う、
“素”の顔。
北斗「……」
なんでそんなに真剣なんだよ、って思いながらも、
目が離れない。
小さい手でテスター持って、
少しだけ眉寄せて、
香り確かめてる。
その仕草がやけに丁寧で——
北斗「……」
ふと、
〇〇が顔を上げる。
目が合う。
〇〇「……なに」
北斗「別に」
即逸らす。
でももう遅い。
一瞬、空気が引っかかる。
〇〇「これどう?」
手首に軽くつけて見せてくる。
北斗「……」
近づく。
香りを確かめるために、
自然と距離が縮まる。
身長差。
見下ろす形になる。
〇〇はそのまま動かない。
北斗「……」
ふわっと香る。
甘さ。
でもさっきより落ち着いてる。
北斗「……これならあり」
〇〇「ほんと?」
顔が少し近い。
思ったより距離が近い。
北斗「……あぁ」
短く返す。
でも視線を外せない。
〇〇の目。
さっきまで真剣だったのに、
今は少しだけ柔らかい。
〇〇「これにしよっかな」
北斗「好きにしろ」
〇〇「うん」
そのまま少しだけ近い距離のまま、
香りをもう一回確かめる〇〇。
北斗は一歩引く。
北斗「……」
なんでこんな距離近いんだよ、
って思いながらも、
嫌じゃないのが余計に面倒で。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「さっきのやつももう一回試していい?」
北斗「……いいけど」
また近づく。
また同じ距離。
北斗「……」
無意識に息を止める。
香りのせいか、
距離のせいか、
わからないけど、
いつもより妙に意識する。
北斗「……」
〇〇は全然気にしてない顔で、
ただ香水選んでるだけ。
その差が、
少しだけずるいと思った。
ーーーーーーーーー
北斗以外のSixTONES side
少し離れた位置。
別の棚の前にいるふりをしながら、
視線は完全にあの二人。
樹「……近くない?」
ジェシー「近いね」
慎太郎「近いってレベルじゃなくない?」
きょも「普通に距離おかしいよね」
高地「うん、ちょっとドキッとするくらい」
全員同じ方向見てる。
〇〇と北斗。
香水を試してるだけなのに、
距離がやけに近い。
樹「ほら今」
ジェシー「うわ、また近づいた」
慎太郎「顔の距離バグってるって」
きょも「本人たち気づいてなさそうなのがまた」
高地「自然すぎるね」
北斗が香り確かめるために近づいて、
〇〇がそのまま動かない。
結果、
距離ゼロに近い。
樹「いやあれアウトだろ」
ジェシー「でも本人たちセーフのつもり」
慎太郎「一番危ないやつ」
きょも「無自覚って強いね」
高地「見てるこっちがドキドキする」
樹「俺ら何見せられてんの」
ジェシー「無料でこれ見れるのすごくない?」
慎太郎「贅沢」
樹「黙れ」
でも全員目は離さない。
北斗が少し引いて、
また〇〇が近づく。
ジェシー「追いかけた」
慎太郎「今の追ったよな」
樹「無意識怖」
きょも「でもいい雰囲気だね」
高地「うん、すごく自然」
樹「自然すぎて余計やばい」
ジェシー「これ戻るタイミングなくない?」
慎太郎「もう無理でしょ」
きょも「しばらく見守ろう」
高地「うん」
誰も動かない。
むしろ——
邪魔しないように距離保ってる。
樹「……てかさ」
ジェシー「ん?」
樹「完全に二人の世界じゃん」
慎太郎「それな」
きょも「うん」
高地「気づいてないのがすごい」
少しだけ笑いながら、
でも視線はそのまま。
この空気、
壊す気は誰もなかった。
店を出る。
外の空気が少しひんやりしてて、
でも〇〇の表情は明るいまま。
袋を軽く持ちながら、
〇〇「は〜楽しかった」
ジェシー「満足そう」
慎太郎「顔に出てる」
〇〇「出るでしょ」
〇〇「久しぶりにちゃんと外出た感じ」
高地「よかったね」
きょも「いい時間だったね」
樹「結局みんな買ってるし」
ジェシー「俺も買ったし」
慎太郎「俺も」
〇〇「みんなノリいいね」
笑いながら歩く。
その中で、
〇〇はふと北斗の方を見る。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「お揃い、よかったね」
北斗「……」
急に来る。
北斗「別に」
〇〇「えー」
〇〇「よくない?」
袋を少し持ち上げて見せる。
〇〇「これと同じだよ?」
北斗「知ってる」
〇〇「なんかさ」
〇〇「テンション上がるんだけど」
北斗「お前だけだろ」
〇〇「え、普通じゃない?」
樹「普通ではない」
即ツッコミ。
ジェシー「でも〇〇っぽい」
慎太郎「わかる」
きょも「好きそうだよね」
高地「うん、お揃い」
〇〇「でしょ!」
嬉しそう。
〇〇「お揃い好きなんだよね」
北斗「知ってる」
〇〇「え、知ってた?」
北斗「なんとなく」
〇〇「さすが」
なぜか満足げ。
〇〇「だってさ」
〇〇「同じもの持ってるってだけでちょっと嬉しくない?」
ジェシー「俺はわかる」
樹「お前はわかるな」
慎太郎「俺もまぁちょっとわかる」
高地「うん、気持ちは」
きょも「共有してる感じだよね」
〇〇「そう!」
〇〇「それ!」
ぴったりきた顔。
〇〇「しかも北斗とだよ?」
北斗「……」
さらっと言う。
樹「重いって」
〇〇「重くない」
〇〇「普通」
北斗「普通じゃねぇよ」
〇〇「普通だよ」
軽く言い返す。
でも楽しそう。
〇〇「今日の一番の収穫これかも」
袋を軽く揺らす。
北斗「香水だろ普通」
〇〇「それもだけど」
〇〇「お揃いがいいの」
北斗「……」
言葉に詰まる。
〇〇「ありがとね」
さらっと言う。
北斗「別に」
でも、
少しだけ視線を逸らす。
〇〇はそんなの気にせず、
〇〇「早く使お」
って楽しそうに笑う。
その顔が、
さっきよりずっと軽くて——
“楽しかった時間”がちゃんと残ってるのが、
見ててわかるくらいだった。
車のドアが閉まる。
外のざわつきが一気に遠のいて、
中は静か。
〇〇と北斗、後部座席。
前にはマネ。
車がゆっくり動き出す。
〇〇「……はぁ〜」
大きく息を吐く。
〇〇「楽しかった」
マネ「顔見ればわかる」
〇〇「でしょ」
袋をぎゅっと抱える。
〇〇「久しぶりにちゃんと遊んだ感じ」
マネ「警備つきだけどね」
〇〇「それは言わないで」
ちょっと笑う。
〇〇「でも全然気にならなかった」
〇〇「みんないたし」
マネ「まぁそれはよかった」
少し間。
〇〇は袋の中をちらっと見る。
〇〇「……ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「これ、いつ使う?」
北斗「好きにしろよ」
〇〇「そっちも」
北斗「……」
少し考える。
北斗「適当」
〇〇「適当すぎ」
〇〇「じゃあさ」
〇〇「次外行く時つけてきてよ」
北斗「なんで」
〇〇「いいじゃん」
〇〇「同じタイミングで使うの」
北斗「……」
また“お揃い”の発想。
北斗「めんどくせぇな」
〇〇「えー」
〇〇「楽しいじゃん」
北斗「お前だけだろ」
〇〇「違うって」
軽く笑う。
〇〇「でも絶対いいと思う」
〇〇「今日の続きみたいで」
その言い方が、
少しだけ柔らかい。
北斗「……」
小さく息を吐く。
北斗「気が向いたらな」
〇〇「ほんと?」
北斗「約束はしない」
〇〇「それでいい」
満足そうに頷く。
〇〇「じゃあ私つける」
北斗「どうぞ」
〇〇「絶対いい匂いする」
北斗「知らねぇよ」
でも少しだけ口元が緩む。
車の中、
静かな時間が流れる。
〇〇は窓の外を見ながら、
〇〇「……なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「今日ちょっと普通だった」
北斗「……何が」
〇〇「全部」
〇〇「仕事じゃなくて」
〇〇「ちゃんと遊んだ感じ」
北斗「……」
〇〇「こういうの久しぶり」
小さく呟く。
北斗「……まぁな」
短く返す。
〇〇「また行こうね」
北斗「……気が向いたら」
〇〇「絶対ね」
強めに言う。
北斗「……」
返事はしない。
でも否定もしない。
〇〇は満足そうに笑って、
袋を抱えたまま、
シートに少し体を預ける。
その横で北斗は、
何も言わずに外を見ながら——
さっきの香りと、
〇〇の楽しそうな顔を、
なんとなく思い出してた。
車がゆっくり止まる。
マネ「着いたよ」
〇〇「はーい」
ドアを開けて外に出る。
夜の空気が少し冷たい。
北斗も反対側から降りてくる。
〇〇「ありがとー」
マネ「おつかれ」
軽く手を振って、車が離れていく。
静かな道。
〇〇「……なんか一気に静か」
北斗「さっきまでうるさかったからな」
〇〇「それな」
少し笑う。
並んで歩き出す。
足音だけが響く。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「ほんとありがとね」
北斗「何が」
〇〇「今日」
〇〇「来てくれて」
北斗「……別に」
〇〇「別にじゃない」
〇〇「絶対めんどくさいって思ってたでしょ」
北斗「思ってた」
〇〇「正直でよろしい」
少し笑う。
〇〇「でも来てくれたじゃん」
北斗「まぁな」
短い返事。
〇〇「楽しかった?」
北斗「……普通」
〇〇「出た“普通”」
〇〇「でもつまんなくはなかったでしょ」
北斗「まぁ」
〇〇「それならいい」
満足そうに頷く。
玄関の前。
〇〇「ただいま」
北斗「おかえり」
自然なやりとり。
靴を脱いで中に入る。
〇〇はすぐ袋を持ち上げて、
〇〇「これあとで開けよ」
北斗「好きにしろ」
〇〇「そっちもちゃんと使ってね」
北斗「……覚えてたらな」
〇〇「絶対使って」
北斗「はいはい」
軽く流す。
でも、
完全に否定はしない。
〇〇「今日さ」
北斗「ん」
〇〇「久しぶりにめっちゃ笑った」
北斗「そうかよ」
〇〇「うん」
少しだけ静かになる。
〇〇「……また行こうね」
北斗「……」
一瞬だけ間。
北斗「気が向いたら」
〇〇「絶対ね」
強めに言う。
北斗「……」
小さく息を吐く。
でも、
その空気はどこか柔らかいまま。
日常に戻ったはずなのに、
今日の余韻がまだ少しだけ残ってた。
リビング。
ソファに軽く座って、〇〇はふぅっと息を吐く。
〇〇「……お腹すいた」
ぽつり。
時計を見る。
もう完全に夜。
〇〇「ご飯どうしよ」
北斗「適当でいいだろ」
タオル持ちながら立ち上がる。
〇〇「適当が一番困るの」
北斗「じゃあなんか頼めば」
〇〇「今日はなんか作りたい気分」
北斗「……やめとけ」
即答。
〇〇「なんで」
北斗「わかってるだろ」
〇〇「失礼すぎ」
でも否定できない。
〇〇「……まぁ」
〇〇「下手だけど」
北斗「知ってる」
〇〇「でも今日はやる」
北斗「……」
少しだけ止まる。
北斗「やめとけって」
〇〇「やる」
強め。
北斗「……勝手にしろ」
諦めたように言って、
北斗「俺風呂入る」
〇〇「はーい」
そのまま風呂場へ。
ドアが閉まる音。
静かになる。
〇〇「……よし」
立ち上がる。
〇〇「やるって言ったし」
キッチンに向かう。
冷蔵庫開ける。
〇〇「……何作れるんだろ私」
一瞬フリーズ。
〇〇「……いや、いける」
根拠なし。
〇〇「簡単なやつ」
〇〇「簡単なやつ……」
考える。
〇〇「……卵?」
とりあえず出す。
〇〇「あと野菜」
適当に取る。
〇〇「……」
まな板の前で止まる。
〇〇「……やば」
包丁持つ手がぎこちない。
〇〇「……まぁいいや」
切る。
ちょっと不揃い。
〇〇「……こんなもん」
自分で納得する。
フライパン出して、
火をつける。
〇〇「……あ」
強すぎる。
慌てて弱める。
〇〇「危な」
でも止まらない。
〇〇「とりあえず炒めればいいでしょ」
完全に感覚。
〇〇「……」
ジュワッて音。
〇〇「おお」
ちょっと楽しくなる。
〇〇「なんかそれっぽい」
でも、
味付けで止まる。
〇〇「……これどうすんの」
調味料を見る。
〇〇「……とりあえず塩?」
入れる。
〇〇「……」
味見。
〇〇「……薄い」
さらに足す。
〇〇「……あれ?」
今度は濃い。
〇〇「……やばいかも」
でも止まれない。
〇〇「……なんとかなる」
そのまま続行。
風呂場から水の音。
〇〇「……」
〇〇「北斗出てくる前に完成させたい」
ちょっと焦る。
〇〇「……いける、いける」
自分に言い聞かせながら、
なんとか形にはしていく。
見た目は、
ギリギリ“料理”。
〇〇「……完成?」
自信はない。
でも、
やりきった感はある。
〇〇「……」
一歩下がって見る。
〇〇「……大丈夫かな」
不安と期待が半分ずつ。
ちょうどその時、
風呂場の水音が止まる。
〇〇「……やば」
タイミング。
〇〇「……とりあえず出すか」
急いでお皿に盛る。
〇〇「……お願いだから食べれるやつであって」
小さく祈る。
その背中は、
さっきまでの楽しそうな顔とは違って、
ちょっとだけ緊張してた。
風呂場のドアが開く。
北斗「……あっつ」
タオルで髪を軽く拭きながら出てくる。
いつも通りのラフな感じ。
でも——
北斗「……」
一歩止まる。
キッチンの方を見る。
北斗「……何してんの」
〇〇「……」
一瞬、固まる。
〇〇「……ご飯」
北斗「……」
テーブルの上を見る。
明らかに“手作り”。
北斗「……お前が?」
〇〇「……うん」
ちょっとだけ小さく。
北斗「……」
数秒、沈黙。
〇〇「……何その間」
北斗「いや」
正直すぎる反応。
北斗「ほんとに作ったんだなって」
〇〇「作るって言ったじゃん」
北斗「言ってたけど」
北斗「止めたよな俺」
〇〇「聞いてない」
北斗「だろうな」
小さくため息。
でも、
ちゃんとテーブルに近づく。
北斗「……何これ」
〇〇「……たぶん炒め物」
北斗「“たぶん”って何だよ」
〇〇「それっぽくはなってるでしょ」
北斗「見た目はな」
〇〇「でしょ」
ちょっとだけ強がる。
北斗「……」
箸を手に取る。
〇〇「……」
じっと見る。
〇〇「……やばかったら言って」
北斗「まだ食ってねぇ」
〇〇「でもさ」
〇〇「なんか失敗してる気しかしない」
北斗「自覚あんのかよ」
〇〇「ある」
真顔。
北斗「……」
少しだけ口元が緩む。
北斗「じゃあいただきます」
〇〇「……お願いします」
変な緊張感。
北斗が一口食べる。
〇〇「……」
ガン見。
北斗「……」
一瞬止まる。
〇〇「……どう?」
北斗「……」
もう一口食べる。
〇〇「え、何その間」
北斗「……」
さらにもう一口。
〇〇「ねぇ!」
北斗「……」
少しだけ考えて、
北斗「……まぁ」
〇〇「まぁ?」
北斗「食えなくはない」
〇〇「それ褒めてる?」
北斗「ギリ」
〇〇「微妙すぎる」
でも、
少しだけホッとする。
〇〇「……よかった」
北斗「期待はしてなかった」
〇〇「ひど」
北斗「でも」
少しだけ間。
北斗「思ったよりマシ」
〇〇「それ褒めてる?」
北斗「一応」
〇〇「じゃあいいや」
ちょっと笑う。
北斗はそのまま食べ続ける。
〇〇「……ちゃんと食べてる」
北斗「腹減ってるからな」
〇〇「それでもすごい」
北斗「どういう意味だよ」
〇〇「いや、普通に残されるかと思った」
北斗「そこまでじゃねぇよ」
〇〇「よかった」
少しだけ肩の力が抜ける。
〇〇「次はもっと上手く作る」
北斗「……やめとけ」
〇〇「なんで」
北斗「また同じことになる」
〇〇「ならない」
北斗「なる」
〇〇「ならない!」
少しだけ言い合い。
でもその空気は、
どこか軽くて。
〇〇「……でも」
北斗「ん」
〇〇「食べてくれてありがと」
北斗「……別に」
そっけない返事。
でも、
箸は止まらなかった。
食べ終わって、テーブルの上が少し静かになる。
〇〇「……はぁ」
小さく息を吐く。
〇〇「なんとか終わった」
北斗「戦いかよ」
〇〇「戦いだった」
真顔。
北斗「大げさ」
〇〇「いやほんとに」
少し笑う。
〇〇「片付けるね」
北斗「いい」
〇〇「え?」
北斗「やっとく」
〇〇「……珍しく優しいじゃん」
北斗「黙れ」
〇〇「はいはい」
でもちょっと嬉しそう。
〇〇「じゃあ甘える」
北斗「勝手にしろ」
〇〇「お風呂入ってくる」
北斗「どうぞ」
〇〇「その間に全部終わらせといてね」
北斗「命令すんな」
〇〇「お願い」
軽く言い直す。
北斗「……気が向いたら」
〇〇「やってくれるやつだそれ」
笑いながら立ち上がる。
〇〇「じゃあ行ってきます」
北斗「いってら」
バスルームへ。
ドアを閉めて、
静かになるリビング。
北斗は一人でテーブルを見る。
北斗「……」
皿を手に取る。
北斗「……ちゃんと作ってたな」
ぼそっと呟く。
味はともかく、
ちゃんと“作ろうとしてた”のはわかる。
北斗「……」
軽く息を吐いて、
流しに皿を運ぶ。
水の音が流れ始める。
その頃——
浴室。
〇〇「……はぁ〜」
湯船に浸かる。
〇〇「疲れた」
でも、
今日は嫌な疲れじゃない。
〇〇「楽しかったな」
ぽつり。
香水。
みんなでの時間。
北斗とのやりとり。
〇〇「……」
少しだけ思い出す。
〇〇「お揃い……」
小さく笑う。
〇〇「やっぱいいな」
誰に言うでもなく呟く。
湯気の中、
今日の余韻がゆっくり広がっていく。
そのまま、
少しだけ長めに目を閉じた。
ーーーーーーーーー
北斗side
キッチン。
水の音だけが静かに流れてる。
北斗は無言で皿を洗ってる。
北斗「……」
泡を流しながら、
ふとスマホが震える。
北斗「……ん」
濡れた手を軽く拭いて画面を見る。
表示された名前。
北斗「……風磨」
少しだけ眉が動く。
一瞬だけ浴室の方を見る。
(〇〇はまだ風呂)
そのまま通話に出る。
北斗「もしもし」
風磨『おつかれ』
北斗「おつかれ」
風磨『今大丈夫?』
北斗「まぁ」
皿を片手に持ったまま答える。
風磨『今日さ、〇〇と出かけてたんでしょ』
北斗「……なんで知ってんの」
風磨『慎太郎から聞いた』
北斗「……あいつ」
小さく舌打ち。
風磨『どうだった?』
北斗「普通」
即答。
風磨『絶対普通じゃないやつじゃんそれ』
北斗「普通だって」
風磨『はいはい』
軽く笑う気配。
風磨『〇〇、楽しそうだった?』
北斗「……まぁ」
少しだけ間。
北斗「普通にテンション高かった」
風磨『だろうね』
風磨『外出れるの久しぶりだし』
北斗「……」
風磨『で?』
北斗「何が」
風磨『何もなかったの?』
北斗「……何期待してんだよ」
風磨『いや別に』
風磨『でもさ』
少しだけトーンが変わる。
風磨『〇〇、今ちょっと不安定じゃん』
北斗「……」
風磨『廉のこともあるし』
北斗「……あぁ」
短く返す。
風磨『だからさ』
風磨『今日みたいに、ちゃんと笑えてる時間って大事だと思うんだよね』
北斗「……」
風磨『お前がいたなら、なおさら』
北斗「……なんで俺」
風磨『一番気使わない相手だからでしょ』
北斗「……」
少しだけ黙る。
風磨『変に気負わせないし』
風磨『でもちゃんと見てるし』
北斗「……買いかぶりすぎ」
風磨『そう?』
軽く笑う。
風磨『まぁいいけど』
少し間。
風磨『今日さ』
北斗「ん」
風磨『〇〇、なんか変わってた?』
北斗「……」
思い出す。
笑ってた顔。
香水選んでる時の真剣な顔。
お揃いって言ってきた時の顔。
北斗「……」
北斗「……変わってはない」
風磨『うん』
北斗「でも」
少しだけ言葉を選ぶ。
北斗「……楽しそうだった」
風磨『そっか』
その一言で、
少し空気が落ち着く。
風磨『ならよかった』
北斗「……」
風磨『無理させんなよ』
北斗「してねぇよ」
風磨『ならいい』
軽く言う。
通話はまだ続いたまま。
北斗はシンクに手をつきながらスマホを耳に当ててる。
風磨『でさ』
北斗「ん」
風磨『今〇〇いるんでしょ』
北斗「いるけど」
風磨『何してんの』
北斗「風呂」
風磨『あー』
少しだけ間。
風磨『家で二人って珍しくない?』
北斗「別に」
風磨『いや珍しいでしょ普通に』
北斗「……まぁ」
皿を流しながら答える。
風磨『今どんな感じなん』
北斗「どんなって」
風磨『空気感』
北斗「……普通」
風磨『またそれ言う』
北斗「普通は普通だろ」
風磨『なんか会話とかした?』
北斗「したけど」
風磨『どんな』
北斗「飯の話とか」
風磨『あー』
北斗「あと香水」
風磨『買ったやつ?』
北斗「そう」
風磨『〇〇、絶対楽しそうだったじゃんそれ』
北斗「……まぁな」
少しだけ間。
風磨『で?』
北斗「で?」
風磨『それだけ?』
北斗「それだけだろ」
風磨『絶対なんかあるって』
北斗「ねぇよ」
風磨『いやある』
北斗「ない」
即否定。
風磨『お前さ』
北斗「ん」
風磨『距離どうなの』
北斗「……は?」
風磨『〇〇との』
北斗「普通」
風磨『いやだからその普通が怪しいって』
北斗「怪しくねぇよ」
風磨『今日だってさ』
風磨『慎太郎が言ってたけど』
北斗「……あいつ」
風磨『ずっと一緒にいたんでしょ』
北斗「たまたまだ」
風磨『たまたまねぇ』
少し笑う気配。
北斗「……」
風磨『家でも今二人でしょ?』
北斗「……だから何だよ」
風磨『いや別に』
風磨『なんも起きないのかなって』
北斗「起きねぇよ」
即答。
風磨『ほんとに?』
北斗「ほんとに」
風磨『ふーん』
少しだけ間。
風磨『まぁいいけど』
風磨『でもさ』
北斗「ん」
風磨『〇〇、今そういう時期じゃん』
北斗「……」
風磨『一人でいるよりさ』
風磨『誰かと普通に過ごしてる方がいいと思うんだよね』
北斗「……」
風磨『今みたいに』
北斗「……」
北斗は少しだけ浴室の方を見る。
まだ水の音がしてる。
北斗「……別に」
風磨『ん?』
北斗「普通に過ごしてるだけだろ」
風磨『それがいいって言ってんの』
北斗「……」
少し黙る。
風磨『お前、変に意識させんなよ』
北斗「してねぇ」
風磨『ならいい』
風磨『でも』
風磨『距離感は間違えんなよ』
北斗「……」
その言葉に少しだけ表情が変わる。
北斗「……わかってる」
短く返す。
風磨『ならいいわ』
風磨『なぁ』
北斗「ん」
風磨『今さ』
北斗「何」
風磨『〇〇、もう風呂上がってくる感じ?』
北斗「たぶん」
風磨『ふーん』
少しだけ間。
風磨『今日さ、ベッドどうすんの』
北斗「……は?」
手が止まる。
風磨『いや、普通に』
風磨『同じ部屋でしょ?』
北斗「そうだけど」
風磨『クイーンサイズだっけ』
北斗「……あぁ」
風磨『ならさ』
北斗「おい」
一瞬で遮る。
北斗「何の話してんだよ」
風磨『いや別に変な意味じゃなくて』
風磨『普通にスペースの話』
北斗「普通に言え」
風磨『言ってるじゃん』
軽く笑う気配。
風磨『でもさ』
少しトーンが落ちる。
風磨『そういう距離ってさ』
北斗「……」
風磨『意外と大事じゃん』
北斗「何が」
風磨『近すぎても変になるし』
風磨『遠すぎても不自然だし』
北斗「……」
風磨『今の〇〇ってさ』
風磨『そういうの敏感じゃん』
北斗「……まぁ」
風磨『だからお前も変に意識すんなよ』
北斗「してねぇって」
即答。
風磨『ほんとに?』
北斗「ほんとに」
風磨『じゃあいいけど』
少し間。
風磨『でもさ』
北斗「ん」
風磨『今日の感じ見てるとさ』
風磨『普通に“安心できる相手”としては成立してるじゃん』
北斗「……」
その言葉に少し止まる。
風磨『それってさ』
風磨『結構でかいことだと思うけどね』
北斗「……」
北斗はシンクの水を止める。
静かになる。
北斗「……それ以上はいい」
風磨『はいはい』
風磨『わかったわ』
少し笑う。
風磨『でもさ』
風磨『お前が一番めんどくさくしてんのも事実だよ』
北斗「うるせぇ」
風磨『でさ』
北斗「まだ続くのかよ」
風磨『切るタイミング見失ってるだけ』
軽く笑う気配。
北斗「だったら切れ」
風磨『やだよ、面白いもん』
北斗「……何が」
風磨『いやさ』
少しだけトーンが変わる。
風磨『今日の感じ見てて思ったけど』
北斗「ん」
風磨『お前、ほんとに普通の顔して隣いるじゃん』
北斗「普通だろ」
風磨『その“普通”がさ』
風磨『逆に一番危ないやつなんだよな』
北斗「……は?」
風磨『距離感バグってるっていうか』
風磨『気づいたら近いじゃんあれ』
北斗「……」
思い出す。
店での距離。
香水のとき。
北斗「……それは」
風磨『でさ』
遮るように風磨が続ける。
風磨『俺が北斗の立場だったらさ』
北斗「やめろ」
即止める。
北斗「そういう話すんな」
風磨『いや最後まで聞けって』
北斗「聞かねぇ」
風磨『……我慢できねぇと思うけどね』
北斗「……」
一瞬、空気が止まる。
風磨『だってさ』
風磨『あの感じで隣にいてさ』
風磨『しかも楽しそうにしててさ』
風磨『何も意識してない顔で笑ってたら』
風磨『普通にそっちに引っ張られるだろ』
北斗「……」
北斗の手が止まる。
風磨『まあでもお前はそういうのちゃんと抑えるタイプだけど』
北斗「当たり前だろ」
風磨『うん、それは知ってる』
少しだけ笑う。
風磨『だから余計めんどくさいんだよな、お前』
北斗「うるせぇ」
風磨『でもさ』
風磨『今日の〇〇、結構無防備だったろ』
北斗「……別に」
風磨『別にって言うやつほど見てるんだよな』
北斗「……」
風磨『まぁいいけど』
風磨『お前がちゃんと線引くならそれでいい』
少し間。
風磨『たださ』
北斗「ん」
風磨『“普通”って言葉で済ませすぎんなよ』
北斗「……」
その一言だけが、少し残る。
風磨『じゃ、ほんとに切るわ』
風磨『風呂上がりに電話長ぇわ』
北斗「お前がかけてきたんだろ」
風磨『はいはい』
軽く笑って、
風磨『じゃな』
通話が切れる。
静けさが戻る。
北斗「……」
スマホを見つめる。
キッチンの明かりだけがついてる部屋。
そこに、〇〇の声が浴室の方から少し聞こえる。
北斗「……」
小さく息を吐く。
北斗「……うるせぇな」
ぽつり。
でも、その声はいつもより少しだけ低かった。
キッチンの明かりだけがついたまま。
北斗はスマホをテーブルに置く。
「……」
さっきの風磨の言葉が、まだ頭の端に残っている。
“普通”
“線引き”
“我慢できない”
北斗「……くだらねぇ」
小さく吐き捨てるみたいに言って、皿を拭く手を動かす。
でも、どこか動きが一瞬だけ遅い。
そのとき。
浴室の方からドアが開く音。
〇〇「はぁ〜、気持ちよかった」
タオルで髪を拭きながら出てくる。
いつもの無防備な感じ。
〇〇「北斗まだいたんだ」
北斗「いたら悪いかよ」
〇〇「悪くない」
軽く笑う。
〇〇はパジャマ姿のままソファに近づいて、
そのままぽすっと座る。
〇〇「なんか今日ずっと動いてた気する」
北斗「お前が勝手に動いてただけだろ」
〇〇「楽しかったからいいの」
即答。
その言い方があまりに自然で、
北斗は一瞬だけ黙る。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「ベッドもう行く?」
北斗「……あぁ」
短く返して、キッチンの電気を消す。
部屋の中が少し暗くなる。
クイーンサイズのベッドがある寝室へ向かう途中、
〇〇「今日さ」
北斗「何」
〇〇「香水、ほんと当たりだった」
北斗「よかったな」
〇〇「お揃いもね」
北斗「……あぁ」
それだけ。
寝室に入ると、空気が一段静かになる。
〇〇は先にベッドに腰かける。
北斗も反対側に座る。
距離はあるはずなのに、
同じ空間にいるせいで、妙に近く感じる。
〇〇「……なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「普通にさ、こういうのいいね」
北斗「何が」
〇〇「帰ってきて、ご飯食べて、お風呂入って、寝る準備して」
〇〇「そういうの」
北斗「……普通だな」
〇〇「でしょ」
少し笑う。
〇〇「でもそれがいい」
北斗「……」
返事をしないまま、視線を落とす。
〇〇はそのまま横になる準備をする。
無防備に、いつも通りに。
北斗はそれを見ながら、
さっきの風磨の言葉を一瞬思い出して、
すぐに頭の奥に押し込む。
北斗「……寝るぞ」
〇〇「はーい」
電気が消える。
暗い部屋。
同じベッド。
静かすぎるくらいの夜。
〇〇はすぐに寝息を立て始める。
北斗は天井を見たまま、少しだけ目を閉じる。
「普通」
そう言い聞かせるみたいに。
でもその“普通”が、
今日は少しだけ長く残っていた。
部屋は真っ暗。
カーテンの隙間から少しだけ街の光が入ってるだけで、ほとんど何も見えない。
横になったまま、〇〇がぽつりと声を出す。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
すぐ隣から返事。
〇〇「次の仕事さ」
北斗「……あぁ」
〇〇「役、ちょっと大人っぽいんだよね」
北斗「知ってる」
〇〇「え、もう知ってるの」
北斗「お前から聞いた」
〇〇「そうだっけ?」
小さく笑う気配。
〇〇「なんかさ、今までより落ち着いた女性っていうか」
北斗「……そうらしいな」
〇〇「でね」
少し間。
〇〇「ちょっとだけさ」
〇〇「感情とか、距離感とか、難しいやつ」
北斗「……」
北斗は天井を見たまま、黙って聞いてる。
〇〇「あと、普通に日常のシーンもあるんだけど」
〇〇「ベッドのシーンもあってさ」
その言葉に、空気が少しだけ変わる。
北斗「……」
〇〇「でもさ、そういうのってさ」
〇〇「別に“そういう意味”じゃなくて」
〇〇「ちゃんと芝居としてやるやつじゃん?」
北斗「……当たり前だろ」
少しだけ低い声。
〇〇「だよね」
軽く笑う。
〇〇「なんかさ、そういうのあんまないからさ」
〇〇「ちょっとだけ緊張する」
北斗「……別に」
北斗「仕事だろ」
〇〇「うん」
〇〇「でもさ」
少しだけ間。
〇〇「ちゃんとその人としていなきゃいけない感じがして」
北斗「……」
〇〇「難しいよね」
北斗「……まぁな」
短い返事。
しばらく沈黙。
部屋の静けさだけが続く。
〇〇「ねぇ北斗」
北斗「ん」
〇〇「そういう役のときってさ」
〇〇「どうやって切り替えてるの?」
北斗は少しだけ考える。
北斗「……終わったら終わりって決めるだけ」
〇〇「シンプル」
北斗「それだけだろ」
〇〇「でもさ」
〇〇「簡単そうで難しくない?」
北斗「難しくしてんのは自分だろ」
〇〇「うわ、厳しい」
少し笑う。
でもその笑いは柔らかい。
〇〇「でもまぁ」
〇〇「ちょっと安心した」
北斗「何が」
〇〇「ちゃんと仕事として見ていいんだって」
北斗「当たり前だろ」
〇〇「うん」
また少し沈黙。
〇〇「……ありがと」
小さく呟く。
北斗「……別に」
北斗は目を閉じる。
〇〇もそのまま静かになる。
暗い部屋の中で、
言葉だけが少しずつ落ち着いていって、
そのまま夜の空気に溶けていった。
暗い部屋の中で、スマホが小さく震える。
――ブー、ブー。
〇〇「……ん?」
北斗「誰」
〇〇「ちょっと待って」
画面を覗く。
〇〇「……弟」
北斗「出れば」
〇〇「うん」
少しだけ体を起こして通話に出る。
〇〇「もしもし?」
弟『姉ちゃん、まだ起きてる?』
〇〇「うん、どうしたの」
弟『明日さ、ちょっと会えたりする?』
〇〇「明日?」
弟『久しぶりに顔見たいだけ』
少しだけ柔らかい声。
〇〇は一瞬黙る。
〇〇「明日、仕事は?」
弟『昼くらいまでなら空いてる』
〇〇「そっか」
北斗は横で、天井を見たまま黙っている。
弟『無理ならいいけど』
〇〇「いや、大丈夫だよ」
弟『ほんと?』
〇〇「うん、ちょっとだけなら会える」
弟『やった』
少しだけ嬉しそうな声。
弟『じゃあ時間決まったら送るね』
〇〇「うん、待ってる」
通話が切れる。
静けさが戻る。
〇〇「……弟だった」
北斗「聞こえてた」
〇〇「明日ちょっと会うって」
北斗「ふーん」
それだけ。
少し間。
〇〇「なんかさ」
北斗「ん」
〇〇「家族と会うの、ちょっと久しぶりかも」
北斗「忙しかったしな」
〇〇「うん」
また静かになる。
〇〇はスマホを枕元に置く。
〇〇「……明日ちょっと早いかも」
北斗「そうかよ」
〇〇「うん」
少しだけ体を横に戻す。
その動きに合わせて、布団が軽く擦れる音。
〇〇「ねぇ北斗」
北斗「ん」
〇〇「明日も仕事?」
北斗「ある」
〇〇「そっか」
〇〇「じゃあまた普通の日だね」
北斗「……あぁ」
短く返す。
〇〇はそのまま目を閉じる。
〇〇「おやすみ」
北斗「おう」
暗闇の中で、
呼吸だけがゆっくり重なる。
少しして、〇〇の方から寝息が混じり始める。
北斗はそのまま天井を見て、
何も言わずに目を閉じる。
ーー
☀️朝のリビング。
カーテンの隙間から光が入ってきて、まだ少しぼんやりした空気。
キッチンでは北斗がコーヒーを淹れている。
その横で、〇〇はスマホを見ながらパンをかじっていた。
〇〇「ねぇ」
北斗「ん」
〇〇「今日さ」
北斗「何」
〇〇「弟、家来るかも」
北斗「……は?」
手が一瞬止まる。
〇〇「昼前くらい」
北斗「急だな」
〇〇「昨日電話きてたやつ」
北斗「……あぁ」
少しだけ納得した顔。
北斗「で、何しに」
〇〇「普通に会いに来るだけ」
北斗「ふーん」
短く返しながら、カップを置く。
北斗「何時くらい」
〇〇「まだちゃんと決まってない」
北斗「……」
少しだけ間。
北斗「俺いるけど」
〇〇「うん」
即答。
〇〇「いるよね」
北斗「当たり前だろ」
〇〇「だよね」
さらっとしたやりとり。
でも少しだけ空気が変わる。
北斗はコーヒーを飲みながら視線を外す。
北斗「普通に来るのな」
〇〇「うん、たまに急なんだよね」
北斗「……仲いいんだな」
〇〇「うん」
軽く頷く。
〇〇「弟だし」
その一言は何気ない。
でも、北斗はそれを一瞬だけ黙って聞く。
北斗「……ふーん」
それだけ。
〇〇はパンをもう一口かじる。
〇〇「別に気にしなくていいよ」
北斗「気にしてねぇよ」
即答。
〇〇「ほんと?」
北斗「ほんと」
短い沈黙。
キッチンの水音だけが少し響く。
〇〇「まぁ、普通に紹介するだけだし」
北斗「別に紹介される側でもないだろ」
〇〇「確かに」
軽く笑う。
でもその空気は重くない。
ただ日常の延長みたいに、
淡々と朝が進んでいく。
北斗はコーヒーを飲みながら、
「弟来るのか」とだけ頭の端で思って、
それ以上は特に気に留めずにいた。
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コメント
3件
続きが気になりすぎてる…!!!!! 弟登場の前のシーンで止めるなんて、、、気になりすぎる!!
いや〜今日の話めっちゃ良かった!外出許可出たときの〇〇の「外に出れる」って喜び方と、SixTONES全員で香水選びに行く流れが最高だったわ。特に北斗が〇〇の「役」とプライベートの香りをちゃんと考えて選んでるところ、距離感バグってて尊すぎた!笑 あと風磨からの電話で「我慢できねぇと思う」って言われて黙る北斗…お前もう気づいてるだろって思わずニヤけたわ。弟来る話も気になるし、日常のあったかさが詰まった回だった🔥