テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
お花屋さんの面接は、お店の中で立ったままの井戸端会議の雰囲気で、緊張せずにいられた。
「月曜日と金曜日に切花、木曜日に鉢物の仕入れで早朝から動くんです。特に切り花を仕入れた日は午前中忙しくって。うちは大手のフラワーショップさんと違って町の花屋だから、開店前にここまで整えなきゃ、っていうマニュアルはないんですけど」
「娘が仕入れに行って、私もそれに合わせて開店前からここで作業を始めたら、12時間働くのね。週に二度のそれが50を過ぎてからしんどくて…」
「なので、勤務時間はご相談ですけど、月曜と金曜の午前中は来て欲しいです」
「私の希望は、子どもが学校から帰るまでの時間なので、午前中は大丈夫です」
「開店は9時半ですけど、仕入れ日はできるだけ早く来て欲しいと言えば、何時に来られます?8時くらいにお子さんが学校に行かれたあとですよね?」
「そうですね。それまでには出られないですけど、8時半には来られると思います」
「一駅っておっしゃっていたからね。ぜひ秋山さんにお願いしたいですけど、一度おうちで相談されてからまたお話しましょう」
よかった…私の希望通り、15時までの仕事にしてもらえそうだ。
でも、夫にいよいよ言わなくちゃ…だわ。
それに自分の生活リズムも大きく変わる。
朝の家事、昼間に時間を気にせずに行っていた買い物。
アレンジメント教室もやめることになるかな。
往路の緊張から解放され、秋の深まる香りを吸いながら家に向かって歩く。
毎日ここを歩くことになるなぁ。
15時までの仕事って、夏は一番暑い時間に帰ってくるのね。
いろいろなことを頭に浮かべながら家に帰ると、喉が渇いている。
お茶を一気に飲むと
ピンポーン……
え…誰だろう?
「はい…」
“秋山宗人さんの奥さまですか?佐野キミです…少しお話いいですか…?”
コメント
1件
家まで来た…😱