テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あの凶悪なヴァンパイアアパート全焼事件から約4年が経ちました。当時の生存者は0名で、そのうちの1名は未だに行方が分かっておりません。警察は引き続き行方不明者の―――」
パトカーにつけられたラジオから何度も聞いた事件の報道が流れてくる
男は舌打ちをし、チャンネルをひねると再び目を閉じた
―――コンコン
警察官の一人がパトカーの窓を叩いてきた
男は警官の顔を見るとドアを開けパトカーから降りた
「現場の安全確認と一般市民の非難は?」
男はマッチを取り出しじっくりタバコに火をつけながら問いかけた
「完了しました。あと磯名路《いそなじ》さん、ここ禁煙ですよ」
「うるせぇなぁコレが人生で最後の一本かもしれねぇだろ」
磯名路はそう言い一口吸うとタバコを地面に落とし、靴で踏み消した
「んで、人質は?」
「教員1名と逃げ遅れた生徒7名です」
「おぉ、結構な数いるな」
「えぇ、授業中だったようで、逆にヴァンパイア相手にこれだけしか逃げ残りがいないことが奇跡に近いですよ」
磯名路は高校の上階を指さした
「それもそうだな、えーと例のヴァンパイアは4階のォ……だいたいあそこら辺の教室で立てこもってるんだよな」
「はい」
「じゃぁ俺は裏から回っていくから、アンタたちはなんかヴァンパイアと話して気でもそらしておいてくれ」
「分かりました」
警官はそう言うと敬礼し、無線を取り出し別の警官と話し始めた
磯名路は内ポケットに入った銀のナイフを確認すると校舎に入って行った
「―――さすが私立、中が迷路みたいだな」
遠くから警官とヴァンパイアが話す声が聞こえてくる
幸い、磯名路の事はまだ気づかれていないようだ
パトカーの中で見た学校の全体図を思い出しながら磯名路は階段を上っていく
踊り場の隅には誰かが落としたのだろうか教科書やノート、スマホまで落ちていた
磯名路は四階に付くと、ヴァンパイアが立てこもっている教室に向かって歩きだしたが2、3歩歩いただけで気づかれてしまった
「―――おい、そこにいるのは誰だ!」
磯名路の存在に気が付いた立てこもり犯のヴァンパイアが叫ぶ
それに構わず磯名路は歩き続ける
「そこに居るんだろ!なぁ!」
ヴァンパイアが震えた声で叫ぶが、磯名路は歩みを止めない
磯名路は内ポケットから銀のナイフを取り出すと刃を手首に当てる
「―――いやっ!」
女の首を絞めながらヴァンパイアが教室から出てきた
「おいそこのお前!それ以上動いたらこの女が死ぬぞ!」
ヴァンパイアがその長い爪を女に当てながら叫ぶ
「おいヴァンパイア、お前は―――」
「うるせぇ喋るな!」
ヴァンパイアは磯名路の言葉を遮り怒鳴る
「―――こりゃダメか」
磯名路はそうポツリとつぶやくと手に持ったナイフで自分の手首を小さく切った
傷口からあふれた血が服に赤黒いシミを付ける
「おいお前!何してる!」
ヴァンパイアが叫ぶ最中も磯名路の手首から流れる血は止まらない
「………人は食べた物でできてる。じゃぁ毎日豚を食べた人がいたら一年後にはそいつは豚になってると思うか?」
磯名路は流れていく自分の血を見ながらヴァンパイアにそう尋ねる
「は?お、お前なにいt―――」
磯名路の腕に血がまとわりつく
―――ドォオン!
ヴァンパイアが口を開くと同時に磯名路は踏み込み一気に距離を詰め
「―――は?」
ヴァンパイアの頭を吹き飛ばした
胴だけだけになったヴァンパイアからは血があふれだし磯名路の服を赤黒く染めた
「―――おいアンタ、教室にいる人質と一緒に逃げな。コイツはまた生き返る。早くしないとまた人質になるぞ」
磯名路は人質に声をかけたが、口をパクパクさせたまま動かない
「……まぁいい、教室で待ってな」
磯名路はそう言うと人質の女を教室に戻し、教室の扉を閉めると無線をつなげた
『こちら磯名路、ヴァンパイアとの戦闘を開始する』