テラーノベル
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「あ、」
カレンダーを見た。
5月31日。
「終わっちゃう……」
5月が終わるのが嫌なわけじゃない。
プルルル…
着信音が鳴る。
雅さんからだった。
「っもしもし、!!」
慌ててスマホを耳に押し当てる。
「んぁ、凪。いま大丈夫だった?」
気の抜けた声。
可愛い。
「大丈夫です、何か用ですか?」
平静を取り繕って尋ねた。
「んーん、暇だったから電話してみただけ。」
話し方だけじゃなくて、理由まで可愛い。
「そっか、……」
思わずにやけてしまう。
でも音声しか伝わらないからバレn___
「なにニヤニヤしてんの」
「へっ、!?」
驚きすぎて、情けない声が出てしまった。
恥ずかしい。
「な、なんでわかったんですか!?」
「んー?」
気づかないうちに、ビデオ通話になっていたのかな。
まだお互い顔も知らないのに。
「なんとなくだよ。凪、にやけてるだろうなって」
なんとなく。
「なんですかそれぇ…!!」
「はは」
数時間、雑談をしていた。
「あ、そういえば…」
「ん?」
ふと、思い出したことを言ってみる。
「……カップル、今日までですね」
カップル。
それは、私たちが知り合ったアプリのイベントで用いられる関係の名前。
「……今月も、ありがとうございました。」
出会ってから3ヶ月、毎月カップルだったけど、
イベントの終わり___月末が来ると、毎回寂しくなる。
「こちらこそありがとう。凪、このイベント頑張ってたもんね」
「え、いやそんな……」
私の我儘でカップルになってもらったんだから、当たり前のことをしただけだったのに。
まさか感謝されるとは。
「楽しかったよ、ありがとう」
「〜〜っ、私も、楽しかったです!!」
いつか、本物のカップルになれるときまで、
それまでは、このカップル“ごっこ”を楽しんでいたい
コメント
1件
うわ、これ切ない…!「カップルごっこ」って言葉がすごく刺さったよ。月が変わるたびに終わる関係って、最初から期限が決まってるのが辛いね。でも雅さんの「なんとなく」で凪のニヤニヤがバレてるの、仲良さが滲み出てて好きだな〜。まだ顔も知らないのに、声と空気感だけでここまで通じ合ってるのが尊い。続きどうなるんだろう…!