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コメント
1件
うわあ、すごく楽しい番外編でした!ハロウィンに合わせて生徒会メンバーが即興で赤ずきん劇をするっていう発想がもう最高です。特に、サクラちゃんが足を捻っちゃった後に玲会長が「私が代わる!」って即座に名乗り出るところ、リーダーシップと優しさがにじみ出ててかっこよかったです。 そして何より、台本無視で暴走するメンバーたち(冴さんに羽交い締めにされる烈さん、真面目に守ろうとする豪さん)の掛け合いが秀逸すぎて、読んでるこっちまで大笑いしました。律くんの「玲の方が可愛い」発言もさりげない愛情が感じられてニヤリ。こういうアットホームな空気感、本編とはまた違った魅力があって大好きです!
十月三十一日。 ハロウィン当日。
放課後の生徒会室は、かぼちゃやお化けの飾りで彩られ、いつも以上に賑やかだった。
「せっかくのハロウィンなんで、みんなで仮装しませんか!?」
サクラの提案に、玲は大きく頷いた。
「いいね! 楽しそう!」
すると豪が腕を組む。
「でも衣装なんてどうすんだ?」
「演劇部に頼んでみましょうか?」
絢がそう提案すると、数十分後。
本格的すぎる衣装の数々が運び込まれた。
「うわぁ……!」
「すげぇ……!」
「本物みたい……!」
文化祭でできなかった演劇企画。
その代わりとして、生徒会メンバーだけの即興劇をやることになった。
演目は――『赤ずきん』
「配役はこんな感じですね。」
絢が台本を配る。
サクラ=赤ずきん
烈=オオカミ
豪=狩人
冴=お婆さん
絢=ナレーション
律=裏方
玲=お母さん
「えっ? お母さん!?」
鏡の前で玲が固まる。
高校生男子の役柄としては浮いてしまいそうだが……。
元が二十五歳女性のせいか、エプロンドレスに三角巾が妙に似合っている。
「玲、かわいい……。」
律がスマホを向ける。
「写真撮っとこ。」
「ちょっと!?」
「ふふっ。綺麗ですよ?」
絢が微笑み、
「悪くねぇな。」
烈もニヤニヤしている。
「ああ、似合ってる。」
豪が少し顔を赤らめて笑うと、
冴は小さく息を吐いた。
幕が上がった――
「赤ずきん、お婆さんにこのお菓子を届けておくれ。」
玲が優しく微笑む。
「はい、お母さま!」
赤いフード姿のサクラが元気よく返事をする。
「いってきまーす!」
客席から歓声が上がった。
「サクラちゃん可愛い〜!」
「赤ずきんよりお母さん派!」
「癒される〜。」
滑り出しは順調。
玲の出番も終わり、律と一緒に舞台袖へ下がる。
「サクラちゃん、赤ずきん似合うなぁ」
「……玲の方が可愛い。」
「え?」
「なんでもない……。」
律はぷいっと顔を逸らした。
その時。
「いたっ!」
「え?」
舞台から小さな悲鳴が響く。
「サクラちゃん!?」
花を摘むシーンの直後、サクラが足を押さえてしゃがみ込んでいた。
「ご、ごめんなさい……捻っちゃって……。」
サクラは足を引きずりながら、舞台袖に戻ってきた。
「大丈夫!?」
「歩けますけど……続けるのは……。」
涙目になって俯くサクラ。
その顔を見た瞬間。
「私が代わる!」
「え?」
「赤ずきん役、私がやる!」
「玲会長……!」
その頃、舞台の上では。
「ふん。」
お婆さん役の冴が腕を組んでいた。
「お前なんかに誰が食われるか。」
「おいおい。」
オオカミ姿の烈が笑う。
「シナリオ無視すんなよ。」
「くだらん。」
「そっちがその気なら、力ずくで黙らせてもいいんだぜ?」
客席がざわつく。
「黒崎先輩、怖っ!」
「鬼塚先輩本気!?」
(どうしましょう……。)
ナレーション役の絢も困り顔だ。
その時。
「お婆さーん!」
赤いフードを被った玲が飛び出した。
「お見舞いに来たよ!」
「玲!」
絢がほっと息を吐く。
「……あれ? オオカミさん?」
玲は演技を続ける。
すると――
烈の金色の瞳が細くなった。
「ほぉ?」
ニヤリ、と笑う。
「これはこれは、可愛いお嬢さん。」
「え?」
「あんな婆さんより、お前の方が美味そうだな。」
じりじりと距離を詰める。
(近い近い近い!!)
「いただくとするか?」
「誰が婆さんだ!」
そこへ、冴が立ち上がった。
「玲……赤ずきんを渡すわけがない!」
「うおっ!?」
後ろからお婆さんに羽交い締めにされるオオカミ。
「ちょっ、冴先輩!?」
「黙れ」
「離せって!」
客席は大爆笑。
「ふふっ……。」
絢も笑いを堪えきれない。
その時。
「赤ずきん!!」
狩人・豪が飛び込んできた。
「大丈夫か!?」
玲の前に立ち、
「俺の後ろに隠れてろ!」
「豪!?」
「オオカミなんかにやらせねぇ!」
バァン!!
効果音係の律が慌てて音を鳴らす。
「ぐはっ!」
烈もその音に合わせる。
「ちくしょう……負けたぜ……。」
「こうして赤ずきんは無事、お婆さんを助けました。めでたし、めでたしです。」
絢が何事もなかったかのように物語を締めくくり――
バタン!!
それを聞いた律は慌てて幕を下ろした。
会場は大歓声だった。
「すごい迫力だった!」
「生徒会最高!!」
「写真撮ってーー!!」
黄色い声が飛び交う。
「疲れたぁ……。」
椅子に座り込む玲。
そこへ――
「玲会長!」
治療を終えたサクラが駆け寄ってきた。
「代わってくれてありがとうございました!」
「気にしないで。それよりサクラちゃんは大丈夫?」
「はいっ! ありがとうございます!」
にこっと笑うサクラ。
「それにしても、玲会長の赤ずきん……なんだか、すごく可愛らしかったですっ!」
サクラがほんのり頬を染めた。
その笑顔に、玲も自然と頬を緩める。
「玲、次も一緒にやろ?」
「次も俺が守る!」
「次は恋人役やろうぜ?」
「次は二人で主演しませんか?」
「……騒がしい。」
笑い声が広がる。
推したちと笑い合って、みんなで馬鹿をして――
ただ楽しいと思える時間。
それだけで幸せなのだと、玲は噛み締めていた。