唄の泡沫

何故人魚姫は王子を殺さなかったのだろう

私だったら絶対に刺すのに

だってそうでしょ？

泡にならずに済む

自分の望みが叶うんだ

これこそ本当のハッピーエンドじゃないか

なのに

“なんで人魚姫は王子を刺さなかっのだろうか”

~♪……~~~♪♪…♪

懐かしい声がする。

~♪………~~♪…♪♪

美しい声がする。

海の底から泡と共に聞き覚えのある声がした。

「………て」

誰？

「……きて…」

私を呼ぶのは誰なの？

「起きて！！」

私は誰かの声で目が覚めた。。

声の主は何処にもいなかった。

聞こえたはずなのに。

いつからだろうかこの暖かな野原から見える広い海を1人で放浪しているのは。

喉が痛いの。

焼ける様に喉が痛くて…痛くて痛くて痛くて

瞼が重くて何も思い出せない。

夢から覚めたみたいに。

「誰ですか？」

男の人が私を見下ろしていた。

仰向けのまま動けないせいで数秒間見つめ合う事になってしまった。

「~！！…ッ！」

何をしても声が出せない。

喉も痛くて体も熱い。

また段々と視界がぼやけていって夢の中へと落ちる事になった。

　　　　

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