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ーー気は病から、なんて言葉がある。

私ーー博麗霊夢もその通りだと思う。

気分が落ち込むほど身体も落ち込み、結果風邪をもらって来る。そういった人間は何人も見たし、妖怪なんて生態そのものがそれを体現している。尤も、霊夢自身は度を越した精神肉体共に健康体の人間なので、あくまで他人事だが。


鬱病などの精神病は、正にそうだ。

外の世界に比べれば遥かに狭い、ある意味では閉鎖空間とも言える幻想郷には鬱病などになる者も特段珍しくはない。


霊夢にはこの言葉自体は身近ではないものの、もしそのような者が身近に現れれば、巫女として手を貸すつもりでいた。


ーーいた、のだが。


「…ザキも駄目っぽいぜ。こりゃいよいよ黒幕退治に本腰入れないとマズいな」

「……そうね」


ーー流石に、仲間の半分以上が精神を病むというのは予想外だった。





事の発端は、外の世界から来た者筆頭ーーキラがマスターをしているカフェを、休んだことだった。

もちろんキラは週に何度かのペースで店を開けるが、絶対にそれを守る人間ではない。サボりたい時はすぐサボり紅葉に三枚おろしにされるし、異変時など急用の時は臨時休業の札をドアに掛けている。

しかし一日も経つか異変が解決すればもう元通り営業を開始し、皆の憩いの場になっているのが日常だ。


そんなカフェが本来営業しているはずの日に突然休み、一日目。いつものことだからと誰も騒がない。二日目。紅葉が用事から帰って来て、開いていないのに首を傾げるのみ。三日目。ザキが店に来てもキラは居らず、何も無いのに会っていないなと思うのみ。四日目。紅葉が皆にキラの居場所を訊いて回るも、誰も知らない。

四日目でようやく、何かが起こっていると気がついた。


キラの身に何が起こったのか。それは案外すぐわかった。彼が居たのは自宅ーーカフェや紅魔館で寝泊まりすることが多いキラは、ほとんど使っていない場所だった。

ザキがその存在を思い出し、訪ねた。インターホンを鳴らしても出て来ないのを確認すると、躊躇うことなく突撃しーー二重の意味で、とても気分の悪そうなキラを発見する。


それからは早かった。体調の優れないキラを永遠亭に連れて、栄養不足に加えて、想定外の『鬱病』という診断結果を貰って来たキラは、たいそう気まずい顔をしながら紅魔館に歩いて来た。なにせ、それを聞いた仲間がどのような反応をするか、IQ2と名高いキラでも想像に容易かったものだから。というか、同伴の紅葉がとにかく凄い顔をしていたので、みんながそうならないわけも無いだろう、と。


そして、幻想郷の人間が次々に精神を病む、という事件は連続していった。

人間だろうが妖怪だろうが無差別的で、精神力が強い者というよりは実力のある者ーーそれも霊夢やルビークラスのーーや、能力無効化の能力を持つ紫霊がその影響を受けなかったことから、この現象は異変と断定され、調査を進めた。

しかし、その仲間も次々と精神を病んでいくのだ。

精神力などによって症状の重さには多少の違いはあれど、上記の者達以外は、まだ影響を受けていないだけでなる可能性は高い、と霊夢は考えている。


「無効化の能力が働いている気配はあるのよね?」

「ああ、常時…つっても断続的だけどな。五秒以上のペースだったらヤバかったと思う」


紫霊が言うには、十二時間周期で能力を使う感覚があるらしい。


「俺が寝ている間も能力使える凄腕能力者で良かったけどよ〜」

「ふふ…そうね。頼りになるわ」


これは紛れもない事実だ。きつい言い方をすれば、いつ離脱するかわからない仲間が大勢居るより確固たる意思を持った仲間が一人居る方が、ありがたい。

といっても、能力にかかった者達も、何かがあって病んだわけではないので。案外話してみるのは出来る。ただ自虐が酷くなっていたり、部屋が荒れていたりと、惨状が量産されている以外は。


「アイツらの情けない姿とか気持ち悪りぃからな…まず、何処を調査する?」

「そうねーー」


会議は、調査に向かっていたルビーが戻るまでーー、否、戻った後も夜通し続いたのだった。






思い出した時に更新していきます

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