テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
元お兄ちゃん、現彼氏と言うだけで属性のオンパレードですね。
寝取られが大好きなのでそれによってメチャクチャにされる人々も もれなく愛しています。
クズな推しを見るのも好き
※アホ長いです
ーーー
HELLO !!!
俺が誰だって?
勿論世界のヒーローさ!
俺はヒーローだから 、今とてつもなく急いでるんだぞ!
自分のことなんか離している暇はないんだけど…
今日は本当に気分が良いんだ!
だから、君らにも少しだけ話してやろうじゃないか!
今の俺は、多分ここ数十年で一番浮かれている。
勿論彼からOKを貰ったときは飛び上がるくらい嬉しかったけれど、それ以上の驚きが勝ってしばらくは現実を受け入れられなかった。
” 付き合う “というのは国体にとって思っている以上に難解なもので…。
実際、愛というものは短い間だからこそ存在しうるものなんだ。
フランスは、人と俺らの感覚の違いを理解しているし、そういう点に関してはエキスパートだからまだ良いのかもしれないけど。
俺は誰かを好きになったこと自体は合っても、それを形にしたことなんてない。
きっと彼は、フランスと同じようにそういうのに慣れているのだろう。
男女ともに” 経験 “だってあるようだし。
俺は彼の全てを、他の誰かの上書きでしか成せない。
彼は俺が…、自分で言うのは吝かではないけれど…。
そういう面で情けないってのを知ってる。
だけど彼の難儀な性格上、滅多に一歩を踏み出してくれないんだ。
そう、ささやかなデートでさえ。
…昨日はデートを済ました。
以前から、デートと呼べるのか怪しいものは何回かしていた。
でも、昨日は違ったんだ。
手を繋いだ。着ぐるみと一緒に写真を撮った。ジェットコースターに乗ってヨボヨボになった彼を介護してやった。観覧車のなかで、彼と…。
いや、それは話さないでおこう。
その後俺の家に泊まった。
2人きりしか居ないんだ。
そういう雰囲気にもなるだろう。
でも、彼は止めた。
「ーまた今度、な? 」
そんな彼から、お呼びが掛かったんだ。
彼の家では彼の兄がいるから、離れの少し狭いアパートにしよう。
そこは彼が家に帰れないほど忙しいとき、少し休息を取るためだけに借りられた所。
ベッドしかないけど、繊細な彼のために防音加工はくまなく施されている。
…そういうことだろう?
勿論行為が全てってもんじゃないけど、彼が俺にここまで心を許してくれたんだと思うと、本当に気分が良いんだ。
彼を傷つけないよう、恥ずかしながら何度も練習した。
当日、俺は仕事が終わってから急いで集合場所に向かった。
「…なっ、手前…っ、…!」
「もう、…ぁ゛ッ、!?…満足…っ、した、だろ…! 」
「早く、帰れ…ッ、…よ…っ、!」
[ 随分悲しいこと言ってくれますね、” アーサー “さん。
何か月ぶりですか?そんなつまらないこと言わず、もっと楽しみましょうよ!]
「 、はッ、…は…」
「もう終わりだって、言ったじゃねぇか…ッ!」
「…それに、今日は先約が…」
[ ふーん、もう他の男に乗り換えたんですか…。
…言いましたよね?俺、気に入った人に逃げられるのが一番嫌いだって。 ]
[ 約束を破るような方だと思っていませんでしたが…。
…まぁ、そんな男も考えられないほどにしてしまえば良いことです。]
「は、お前なにいっ…」
鍵が開いていたから、彼の身に何かあったのか、心配になって。
ノックもせずに勢いよく扉を開けたが、そんな音なんて何一つ気にならなかった。
電気は付いておらず、俺の方は真っ暗で殆ど何も見えない。
それに対し、彼と、彼の上に乗る男の辺りは月明かりに照らされ、2人はそれにまで興奮を覚えているかのようだった。
彼の言葉を皮切りに、その男は彼の脚を抑えて激しく腰を揺さぶる。
それに応えるように彼も、声にならない快楽を沿った腰に表した。
彼の顔は一向に見えないのに、首筋を伝う汗と、刺激をどこかに逃がすためだけに動く其。
彼の表情を想像するのは、そう難しくなかった。
目の前で愛する人が見知らぬ男に犯されていると言うのに、俺は目を見開き、ただ立ち尽くすだけだった。
彼の快楽で蕩けた瞳が、俺の像を写すまでは。
その輪郭がまだ鮮明にならないうちに俺はベッドに走り込み、男を彼から引き剥がして彼を抱き締めた。
感情が曖昧だった。
どの感情が自分を支配しているのかさえ分からず、彼を強く、強く抱き締めることしかできなかった。
男が何を言っていたのかすら覚えていない。
その男が服を着替え、部屋から出たことを知らせるドアの音でようやく我に返った。
ドアが完全に閉まった途端、全ての出来事が鮮明に脳を駆け巡る。
ベッドは激しく乱れ、誰のものだか分からない白濁がそこらじゅうに散らばっている。
間もなく猛烈な吐き気を催し、トイレに駆け込んだ。
なんで?どうして?
意味の無い問いが次から次へと現れる。
答えなんかとっくに出ているだろう。
あの男は、彼の無数にいる性欲を発散するためだけの人間だ。
彼も仮名を使っていたし、本気ではないことだけが事実。
あぁ、分かってたさ。
俺じゃ満足できないって、思っているんだろう。
そりゃそうだろうな。
初めてを奪うことなんて、彼にとってそう珍しいことでもない。
彼はどんな顔をするんだろう、最終的にその呑気な疑問だけをもってベッドに戻った。
「…は、ッ…」
「は、……っ…、 」
ひどく脆く、荒い呼吸音が部屋に響く。
駆けつけたときには、真っ青な顔で懸命に息を吸う彼がいた。
首の後には手形が残り、虚ろな目からはだらだらと涙が流れ落ちる。
呼吸を整えさせた後、水をゆっくりと飲ませた。
彼は少し落ち着くと、口を開いた。
「…本当に、すまない。」
「あいつは…、一年ぐらい前からここでちょくちょく会ってたやつで… 半年前に、もう終わりにしようって言って、あいつも了承したんだ…。」
「鍵をかけ忘れてたんだ。
部屋の明かりが付いてることに気付いて、あいつは入ってきた。」
「それで…」
『君、それが言い訳のつもりかい?』
自分からこんなに低い声が出るなんて。
不思議なことに、彼に何の感情も沸いてこない。
「ちが…っ!
…いや、そうだな。」
「こんなことをして、こんな説明をして…。
言い訳としか言いようがないな。」
「恨んで貰って構わない。
お前が俺にどんなことをしようと、俺は何もやり返さないし、受け入れる。」
「こんなんで償いになるとは思っていないが、本当に…、本当にごめん。」
そう言って彼はよれたシャツを羽織った。
てきぱきと準備を済ませ、きっともう帰るつもりなのだろう。
そんなことは許されない。そんなことは…。
『…ねぇ、続き。』
「…は?」
『続き、やろうよ。』
『俺は、他の男の手でイった奴、明日も話さなければきけないなんて、そんな仕打ちあんまりだろう? 』
『それに、全て受け入れてくれるんだよね?』
「…お前、正気か?」
『他の男に抵抗もせず、抱かれるような人に正気かなんて聞かれなくないね。』
『ほら、戻っておいでよ。 』
きっとどちらも正気じゃない。
お互いに腐った傷を舐めあい、壊れかけた心を埋める。
2人の限界が来ようとも、その心が埋まるまで。
目を覚ましたのは、朝はやく。
いや早くはないのだろうか、時計の針は既に9時を示している。
隣で、気絶に近い眠りに沈んでいる彼の頬には涙の跡が残る。
君が俺の前からいつ姿を消そうと、あの夜を忘れることはできない。
俺たちは愛を作ることが難しい。
ならば、愛という皮を被ったトラウマで、がんじがらめにしてしまえばいい。
これから君は、俺から逃げる度に。
俺は、君が俺の前からいなくなる度に。
一生残る傷を背負い、それが腐ったとき、またそれを舐めあうんだ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!