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瓦礫を踏みしめ、埼玉は一人歩く。
その表情は、怒りでも悲しみでもない。ただ、“決意”。
後ろには、誰もいない。
彼は、味方を作らなければならない。
標識に沿って、北関東三県の名が並ぶ。
「栃木・宇都宮」
「群馬・前橋」
「茨城・水戸」
埼玉はそれぞれの領域に足を運び、
時には怒鳴られ、時には黙殺され、それでも語る。
埼玉県:いいか……!俺は戦うために来たんじゃねえ……!あのバカみてぇに消されねえために、“繋ぐ”ために来たんだ……!……なぁ、俺たちはいつも笑われてきたろうが……!!
雪の積もる古戦場跡。
刀を背負った男が振り返る。
栃木県:貴様……関東で“格”を語れると思ってるのか?だが、“捨て身”には……嫌いじゃねぇ。
刀の刃を地に突き立て、頷く。
栃木:一本、貸しといてやる。礼はいい。
水郷の鉄塔の上、煙草を吸う青年。
片目にサングラス。ヤンキー風。
茨城 : ダッセェな……でもまあ、よぉ……その“ダセェの”が、いっちゃん腹立つほど、心に刺さるんだよ。
タバコを地面に叩きつける。
茨城:やるなら、とことん泥でやろうぜ。
山の向こう、赤城の稜線に佇む軍人女。
群馬 : ここを通すかは、“風”が決める。……だが今日は、風が東を向いてる。ついてこい、“関東の盾”。
瓦礫の中に四人。焚き火。言葉は少ない。ただ、一つだけ“合意”があった。
埼玉:俺たちは、関東を守る。関東を――誰にも壊させねぇ。
五県、各々の流儀で頷く。握手ではなく、拳を一瞬だけぶつける。それが合図。
関東を南から侵攻する敵に備えるため、埼玉を主軸とした関東五県の協力同盟が成立。
◆ 中心:埼玉・神奈川(戦意・説得)
◆ 栃木:剣士型、対人戦闘能力に優れる
◆ 群馬:砦戦・陣地防衛のプロ
◆ 茨城:奇襲・攪乱の専門家
弱き者が集まったのではない。
ただ、誰もが“このまま終わらせたくない”と思っただけ。
そしてその意志こそが、
鋼の暴力に立ち向かう最初の“楔”となる。