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「――ヒカルか?」
「あ、お久しぶりです。カトルさん」
金色の髪をした、ザ、王子様な人と、紫色の綺麗な髪の女の人が、僕の休んでいる場所にやってきた。この国の王子カトルさんとそのお嫁さんのメリエルさんだ。二人で散歩だろうか?
「時間を飛んだのかい? 大きくなったな」
「そうなんすよ。ミツキのやつが無理やり」
僕達双子は揃わないと、この世界に飛べない。僕はもう大きくなってこの世界に興味がなくなっていたのに、むしろミツキの方が来たくないと言っていたのに、18の誕生日を過ぎた次の日、いきなり首根っこを捕まれて僕はこの世界に引きずり落とされた。
「ったく、急になんなんだ」
僕が怒っていると、メリエルさんがクスクスと笑っていた。何か知っているんだろうか?
「それにしても、相変わらず可愛いですわね」
「えっ、あぁ」
この世界に来ると僕には何故か黒い猫耳と猫の尻尾がはえる。何の呪いだよ。どうせならミツキにはえろよ。男の猫耳とか萌えねーだろ! 普通。
「この国に、獣人はいないのに、何故か懐かしい気持ちになりますわね」
――――この国の第二王子だった父さんの存在は、きれいさっぱり消えてしまったそうだ。それが彼の願いの代償で、しょうがないことなのだけれど。その話を聞いた時、僕はこの人達に伝えてあげようと試みたけれど、そこだけ彼らの記憶にまったく残らないのだ。代償というのは軽いものじゃないらしい。
戻った時そのことをそのまま素直に話してしまい、父さんは寂しそうに笑ってたっけ。悪いことしたかなぁ。
「リサ様は元気ですの?」
「はい、元気に父さんと仲良くしてますよ」
僕がそう言うと、メリエルさんとカトルさんは微笑んでいた。カトルさんは少しだけぎこちない感じだったけれど。
「そういえば、メリエルさん。少し、気分が悪そうですが大丈夫ですか?」
前に見た時と比べると顔色が優れないような気がする。
「えぇ、大丈夫ですわ。少し疲れましたので外の空気をと」
「そうなんですか」
そう言ってはいるが、やっぱり顔色が……。そう思っていたら、ふらりとメリエルさんがよろけた。カトルさんがすぐに支えてはいたけれどやはりおかしい。
「何か、おかしいのでは? おい、ライト! 癒しの魔法を彼女に!」
僕は母さんから精霊達の名前を聞いていたから、最初から、全魔法が使えた。契約が必要な浄化魔法以外は出来る。いわゆるチートモードだ。母さんに言ったらすごく驚かれたっけ。
「何をしている、ヒカル」
金の髪が肩にかかる、赤い瞳の青年がふっと姿を現す。
「いや、倒れそうになってるんだぞ。はやく魔法を」
「ヒカル、あれは――」
「ヒカル君、大丈夫だ」
金髪二人が同時に話しかけてくる。どっちかにしてくれー!
「ヒカル、その娘のお腹の中に新しい命がいるだけだ」
そう言って、青年の姿の光の精霊は姿を消した。えっと、新しい命? え、それって……。
「ヒカル君、メリエはその……だな……」
「あ、はい。ライトに聞きました。あー、わかりました」
皆で顔を赤くする。ピュアかよと突っ込みたい気持ちを抑えて僕は彼らに伝えた。
「おめでとうございます。元気な赤ちゃんを産んで下さい」
僕と彼らに血の繋がりはないけれど――。きっと父さんが彼らに言いたかったであろう言葉を僕は口にした。
どんな赤ちゃんが産まれるのかな。二人に似て、可愛い赤ちゃんが産まれるんだろうな。
僕はなんだか嬉しくなってしまい、――しっぽが勝手にふりふりしだした。
コメント
1件
ちょっと番外編ってだけでこんなにほっこりするなんて……! ヒカルくん猫耳しっぽ完全に萌えキャラなんだけど、無自覚にふりふりしちゃうの可愛すぎる(笑)。しかもメリエルさんの妊娠に気づかず癒し魔法かけようとするところ、ピュアすぎて尊い〜。それに“父さんの代わりに祝福の言葉を伝える”シーン、心にじんわりきたよ。血は繋がってなくても家族の温かさがちゃんと受け継がれてる感じがして…素敵な番外編をありがとうございます。
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